経営スピードをアップする 粗利管理クラウドソフト「uconnect」

建設業でfreeeを活用する方法|工事別原価管理・許可申請まで解説

建設業でfreee会計・freee販売・freee許認可を組み合わせて工事別の粗利管理から建設業許可申請まで行う方法を解説する記事のアイキャッチ

「freee建設業パッケージを入れれば、工事ごとの原価も許可申請もまとめて片付く」。そう聞いてfreeeを調べ始めた建設会社の方は、まず一つ知っておいてください。freee公式には「建設業パッケージ」という製品はなく、freee会計・freee販売・freee許認可を組み合わせて建設業の経理を回すのが実態です。

この記事では、建設業でfreeeを活用する方法を、公式ヘルプを根拠にして実務の順番どおりに整理しました。建設業特有の勘定科目の設定、工事を部門やセグメントで識別するタグ設計、freee販売での案件登録から出来高請求・前受金までの流れ、複数現場がまとまった外注請求書の按分、物件単位の粗利の見方、未成工事支出金の振替、建設業許可の書類作成と補助金まで、できることとできないことを分けて解説します。

読み進める目安として、進行中の工事を1件だけ思い浮かべてみてください。その工事の見積・請求・外注費が、freeeのどの画面に、どの順番で入っていくかを追いながら読むと、自社に足りないものが具体的に見えてきます。

※ 本記事に記載している料金・機能は2026年9月時点の公式ヘルプにもとづきます。最新の内容はfreee公式サイトをご確認ください。

建設業・工事業向け uconnect

工事原価を“今”見える化する工事管理システム

見積・実行予算・原価管理・工事台帳の自動作成まで、工事のお金まわりがuconnectひとつで完結。

初期費用0円 契約の縛りなし 30日間無料
くわしく見る
uconnect(ユーコネクト)工事管理システムの画面イメージ

目次

freeeは建設業で使える?「建設業パッケージ」の正体と対応範囲

freee会計・freee販売・freee許認可の3サービスの役割を並べた3カラム図

「freee建設業パッケージ」という製品はない

「freee 建設業」で検索すると「freee建設業パッケージ」という言葉を目にしますが、freee公式サイトやヘルプセンターにこの名前の製品はありません。税理士事務所などが、建設業向けにfreeeの複数サービスを組み合わせた導入支援メニューに付けた呼び名です。

つまり「パッケージを買えば建設業の経理が全部できる」わけではなく、自社の業務に合わせてfreeeのサービスを組み合わせて使うのが実態です。この前提を知らずに契約すると、「工事台帳が自動で出ると思っていた」「見積の階層が作れない」といったギャップが生まれます。

建設業で組み合わせる3つのfreeeサービス

建設業でfreeeを使うときの基本形は、次の3つの組み合わせです。

サービス建設業での役割主な機能
freee会計帳簿・決算・税務の土台銀行同期、自動仕訳、部門・タグでの工事別集計、決算書作成
freee販売案件(工事)単位の業務管理案件登録、見積・受注・請求、発注・仕入、案件別粗利
freee許認可建設業許可の書類作成フォーム入力で許可申請書類を自動作成、提出手順の案内

freeeは公式ヘルプで「建設業での活用方法」を公開しており、物件や工事ごとに売上と経費を紐付けて利益を管理する流れは、freee販売を中心に組まれています(出典:freeeヘルプセンター「建設業での活用方法」)。会計だけで完結させようとすると工事別の管理が手作業になるため、原価をきちんと追いたい会社はfreee販売まで含めて検討するのが現実的です。

なお、人件費を工事ごとに按分したい場合は「freee工数管理」という別サービスもあります。ただし従業員数名規模の会社では優先度は低く、まずは会計と販売の2本で回してから必要に応じて足す、という順番で問題ありません。

freeeでできること・できないこと

先に「できないこと」を押さえておくと、導入後のがっかりを防げます。freee販売の公式ヘルプには、次の機能が「ない」と明記されています。

  • 工事種別ごとに小計を出す階層的な見積の作成
  • 外注費や資材などの原価に利益を乗せる見積積算
  • 元請けの指定フォーマットに合わせた見積体裁のカスタマイズ
  • 未成工事支出金から完成工事原価への自動振替(振替伝票で手動処理)

一方で、案件ごとの見積・受注・請求、発注・仕入の登録、複数現場をまとめた請求書の按分、前受金(着手金)の管理、案件別の収支サマリーは標準機能で対応できます。ざっくり言えば「経理と請求まわりは得意、積算と工事台帳の自動化は苦手」というのがfreeeの立ち位置です。

建設業の会計処理がfreeeで難しいと言われる理由

特有の勘定科目・外注費が原価の4要素目・計上タイミングの3つを番号付きで示した図解

freeeは汎用の会計ソフトなので、建設業特有の処理は「設定と運用で補う」ことになります。何を補うのかを知るために、建設業会計の特徴を3点だけ整理します。

建設業特有の7つの勘定科目

建設業許可の申請や決算変更届で提出する財務諸表(貸借対照表・損益計算書・完成工事原価報告書など)は、建設業法施行規則の別記様式にしたがって作成します。様式と記載要領は、国土交通省が「許可申請書及び添付書類」として公開しています(出典:国土交通省「許可申請の手続き」)。一般会計との対応関係は次のとおりです。

建設業の勘定科目一般会計での相当科目内容
完成工事高売上高完成・引き渡した工事の売上
完成工事原価売上原価完成工事にかかった材料費・労務費・外注費・経費
完成工事総利益売上総利益完成工事高から完成工事原価を引いた粗利
未成工事支出金仕掛品まだ完成していない工事にかかった費用
完成工事未収入金売掛金計上した完成工事高のうち未回収分
未成工事受入金前受金未完成の工事について前もって受け取った金額
工事未払金買掛金工事原価のうち未払いの金額

freee会計(法人)には、完成工事高・未成工事支出金・完成工事未収入金・未成工事受入金・工事未払金が初期状態から用意されています。一方、完成工事原価とその内訳(材料費・労務費・外注費・経費)に当たる科目は入っていないため、追加が必要です(出典:freeeヘルプセンター「デフォルト(初期状態)の勘定科目にはどんなものがありますか?」)。手順は後述しますが、ここを整えずに「売上高」「仕入高」のまま運用すると、決算のたびに税理士が組み替えることになり、月次で見ている数字と決算書の数字が食い違います。

外注費が原価の4要素目になる

一般的な原価計算は材料費・労務費・経費の3要素ですが、建設業では外注費が加わって4要素になります(出典:freee「建設業の工事原価管理とは?」)。小規模な建設会社では原価の大半が協力業者への支払いなので、外注費を工事ごとに正しく割り当てられるかどうかで、工事原価の精度がほぼ決まります。

厄介なのは、1社の外注先から複数現場分がまとまった請求書が届くケースです。Excel管理ではここで按分ミスや漏れが起きがちで、freeeでも「1枚の仕入を複数の案件に紐付ける」操作を知らないと同じことが起きます。

売上と原価を計上するタイミング

建設業は着工から引き渡しまでが長く、期をまたぐ工事では「いつ売上と原価を計上するか」が論点になります。中小企業の実務や税務では工事完成基準工事進行基準という呼び方が使われます。一方、2021年4月1日以後に開始する事業年度から上場企業などに適用されている「収益認識に関する会計基準」では、工事契約についても履行義務を「一定の期間にわたり充足」するか「一時点で充足」するかを判定します。旧「工事契約に関する会計基準」は同日以後に廃止されています。中小企業は従来どおり企業会計原則等にもとづく処理を続けることが認められています(出典:国税庁「『収益認識に関する会計基準』への対応について」企業会計基準委員会「収益認識に関する会計基準の適用指針」)。

freeeは基準を自動で判定してくれるわけではありません。期末に未完成の工事があれば、かかった費用を未成工事支出金に振り替える仕訳を自分(または税理士)が起票します。この作業を前提に、工事ごとの費用を月中から追えるようにしておくことが、freeeを建設業で使うときの設計の中心になります。

freee会計の初期設定:建設業向け勘定科目とタグ設計

勘定科目追加・部門やセグメントで工事識別・タグの使い分けルールの3ステップを矢印でつないだフロー図

初期設定を飛ばして銀行口座の同期から始めてしまう会社が多いのですが、あとから工事別に集計し直すのは手間がかかります。先に決めるのは勘定科目、工事を識別する軸、タグの使い分けルールの3点で、この順番で進めると後戻りが少なくなります。

勘定科目を建設業向けに追加・整備する

freee会計の[マスタ・口座]メニュー →[勘定科目]で、前述の科目を取引登録に使える状態にします(出典:freeeヘルプセンター「勘定科目の設定・追加を行う」)。実務上のおすすめは次の方針です。

  1. 初期状態にある完成工事高・未成工事支出金・完成工事未収入金・未成工事受入金・工事未払金は、勘定科目一覧で「入力候補」がオンになっているかを確認し、取引登録時の検索で出てくるようにする
  2. 完成工事原価を、勘定科目のカテゴリー「当期商品仕入」(損益計算書では売上原価に集計される区分)で新規追加し、工事の売上は「売上高」ではなく完成工事高、工事の原価は「仕入高」ではなく完成工事原価で登録するルールにする
  3. 完成工事原価の内訳として、材料費・労務費・外注費・経費の4科目を同じカテゴリーで追加する。初期状態の「外注費」は販売管理費の科目なので、原価用には別に作る(出典:freeeヘルプセンター「売上原価として外注費を設定するには?」

決算書を建設業許可の様式に合わせる必要がある会社は、この時点で顧問税理士と科目名を揃えておくと、後の組み替えが最小限になります。

工事を「部門」で管理するか「セグメント」で管理するか

freee会計で工事別の数字を集計する軸は、主に「部門」と「セグメント」です。他社のクラウド会計でいうプロジェクトタグに相当する機能で、どちらを使えるかはプランで決まるため、契約前に確認してください。法人向けプランの主な違いは次のとおりです(出典:freeeヘルプセンター「【法人】freee会計のプランについて(2024年7月以降)」、表示価格は税抜・年払い時の月額換算)。

プラン基本料金(月額、年払い時)部門セグメント建設業での目安
ひとり法人2,980円2つまで不可一人親方法人。工事別集計は会計では難しい
スターター5,480円+従量課金1階層・個数無制限不可部門=工事で運用できる最小プラン
スタンダード8,980円+従量課金無制限・2階層、共通費の部門配賦不可部門を「工事部/工事名」の2階層にできる
アドバンス39,780円+従量課金無制限・5階層3つまで、予実管理あり部門は組織、セグメントは工事、と軸を分けられる

従量課金は、追加メンバー、経費・各種申請、受発注書類の送付など、利用する機能や人数に応じて発生します。上表だけで総額を判断せず、契約前に自社の利用条件で見積もってください。

従業員10名前後までなら、スターターかスタンダードで「部門=工事」とするのが現実的です。部門は本来「営業部」「工事部」といった組織を入れる場所ですが、工事1件ごとに部門を切れば、損益レポートで工事別の売上と費用が並びます。工事が完成したら部門の「入力候補」をオフにして選択肢から外していけば、候補が増えすぎる問題も抑えられます(出典:freeeヘルプセンター「freee会計で部門を登録する」)。

アドバンスプランはセグメントタグを工事に割り当てられるため、部門は組織、セグメントは工事、という本来の使い分けが可能です。ただし月額が跳ね上がるので、小規模会社であれば後述するfreee販売の案件管理で工事別の粗利を見るほうが費用対効果は高くなります。freee販売の案件はfreee会計のセグメントタグと連携させることもできます(出典:freeeヘルプセンター「案件情報をfreee会計のセグメントタグと連携する」)。

個人事業主(一人親方)向けのfreee会計はスターターが月額1,780円、スタンダードが月額2,980円(いずれも税抜・月払い)ですが、部門タグを使った部門別会計はプレミアムプランの機能です(出典:freeeヘルプセンター「【個人】freee会計のプランについて」freeeヘルプセンター「freee会計で部門別会計を行う」)。個人で工事別の数字を追うなら、会計の部門よりも後述するfreee販売の案件管理で見るほうが現実的です。

取引先・品目・メモタグの使い分けルールを先に決める

freee会計には取引先・品目・部門・メモタグ・セグメント・備考という6種類の摘要があり、補助科目の代わりにこれらを取引へ付けて集計します(出典:freeeヘルプセンター「取引先・品目・部門・メモタグ・セグメント・備考を活用する」)。建設業では、次のように役割を固定しておくと入力がぶれません。

  • 取引先: 元請け、協力業者、材料店。売掛・買掛の管理に使う
  • 部門: 工事名(例「2026-014 〇〇邸新築」)。工事番号を頭に付けると並び順が安定する
  • 品目: 原価の内訳(材料費/外注費/労務費/現場経費)や、経費の種類
  • メモタグ: 「要確認」「立替」「補助金対象」など一時的な目印。集計軸には使わない
  • 備考: 請求書番号や支払条件など自由記述

ルールはA4一枚で十分です。「部門は必ず入れる」「材料店の請求は品目を材料費にする」といった程度でも、担当者が変わったときの引き継ぎコストが大きく変わります。法人のスタンダードプラン以上には取引登録時の部門入力を必須にする設定もあるので、入れ忘れが多い会社は有効にしてください(出典:freeeヘルプセンター「freee会計で部門別会計を行う」)。

freee販売で回す案件登録から請求までの流れ

案件登録から見積・受注・請求へ進み、請求が一括・出来高・前受金に分かれる流れ図

freee販売は、見積から請求、発注から仕入までを案件(工事)単位でまとめる販売管理サービスです。従業員数10名以下の法人・個人事業主向けのスタータープランが税抜で月額2,980円(年払い時。月払いは3,980円)、ユーザー追加が1人あたり月額500円からで、30日間の無料お試しがあります(出典:freeeヘルプセンター「freee販売のプランについて」)。ここでは公式ヘルプ「建設業での活用方法」に沿って、建設業での基本の流れを追います。

案件を作成して工事情報を集約する

最初にやることは、工事1件につき案件を1つ作ることです。[案件]メニュー →[登録]で案件名(物件名)を入れ、顧客に元請け会社や施主を選びます。元請けと個人宅で管理したい項目が違う場合は、カスタム項目や社内メモ、添付ファイルを使って情報を寄せておきます。

案件を工事の「ハブ」にしておくと、あとから登録する見積・受注・請求・発注・仕入がすべてこの案件に紐付き、収支サマリーで粗利が見えるようになります。逆にここを省いて請求書だけ作ると、工事別の集計はできません。

見積から受注へ

案件詳細の[データ登録]→[見積]で見積を作成し、メール送付かPDFで提出します。契約が決まったら見積詳細から[受注登録]を押し、売上予定日に工事完了予定日を入れて登録します。受注金額が最終契約金額と一致しているか、ここで必ず確認してください。

先に触れたとおり、freee販売では工事種別ごとの階層見積や、原価に利益を乗せる積算はできません。公式ヘルプも、表計算ソフトや積算ソフトで積算した結果の金額だけをfreee販売に登録するか、見積を省いて受注から登録する運用を案内しています。見積書そのものの体裁にこだわる元請け案件が多い会社は、見積は別ツール、受注以降はfreee販売、という分担で考えるのが無理のない形です。

一括請求・出来高請求・前受金の3パターン

建設業の請求は工事の性質で形が変わります。freee販売では3つのパターンに対応できます。

パターン操作の流れ向いている工事
一括請求受注詳細→[売上登録]→「売上と同時に請求登録する」にチェック→請求書送付短期のリフォーム、小規模修繕
出来高請求売上登録のたびに売上明細を今回の請求額に編集して登録。受注詳細の「売上実績」で受注残を確認数か月にわたる工事の中間請求
前受金(着手金)受注詳細→[前受金登録]→請求書送付。完成時に前受金詳細から[売上登録]で取り崩し、残額を別途売上登録着手金・中間金を受け取る新築・大型改修

前受金の勘定科目は初期値が「前受金」「前受収益」ですが、建設業で使う未成工事受入金をプルダウンに追加して選べます(出典:freeeヘルプセンター「前受金を登録する」)。前受金の登録時点ではfreee会計に「課税対象外」として連携されるため、消費税の扱いを気にする経理担当者は、この仕様を先に税理士と共有しておくと安心です。

請求書のインボイス対応(登録番号・税率別の消費税額の記載)はfreee側で整っていますが、前受金の請求書は明細行の日付が前受金発生日になります。役務提供予定日を備考欄に書く運用が公式に推奨されています。請求書の記載項目そのものは建設業の請求書の書き方で解説しています。

外注費・材料費の登録と物件単位の粗利管理

電卓とヘルメットが置かれた事務所の机で協力業者の請求書を手にノートパソコンへ入力する経理担当者の手元

月末、協力業者から1枚の請求書が届きました。中身は「A邸 外壁 38万円、B様店舗 内装 22万円」の2現場分。経理担当者は合計60万円をそのまま外注費で計上し、翌月の工事別集計ではA邸もB様店舗も外注費がゼロのままでした。

小規模な建設会社で本当によく起きる、粗利がずれる典型パターンです。freee販売の仕入登録は、この「まとめ請求書」の按分を前提に作られています。

発注→仕入登録が基本。複数現場のまとめ請求書は案件ごとに按分する

基本の流れは、案件詳細の[データ登録]→[発注]で発注書を作り、外注先や材料店から請求書が届いたら発注詳細から[仕入登録]を行う、という2段階です。届いた請求書のPDFは仕入詳細の[関連ファイル]に添付でき、freee会計と連携している場合は「ファイルボックスから選択」を使うと会計側にも同じファイルが紐付きます。freee会計のファイルボックスに保存しておけば、電子帳簿保存法の電子取引データ保存の要件にも対応しやすくなります(出典:国税庁「電子帳簿保存法関係」)。

冒頭の「まとめ請求書」は、次のどちらかで処理します。

  • 発注を登録済み: [発注]メニューで該当する複数の発注にチェック →[一つの仕入にまとめて登録]
  • 発注を登録していない: [仕入]→[登録]で「仕入に複数の案件を紐づける」にチェックし、明細行ごとに案件を選ぶ

これで請求書は1枚のまま、A邸には38万円、B様店舗には22万円だけが原価として反映されます。発注書を先に切っておく運用にしておくと、月末の按分作業がほぼ消えるのが実感できるはずです。

会計側で計上済みの費用は「その他原価」で粗利に乗せる

現場へ向かうガソリン代や、経費精算で先に会計へ登録された小口の材料費など、freee会計側で取引が済んでいる費用もあります。これをfreee販売でもう一度仕入登録すると、会計上は二重計上になります。

こうした費用はfreee販売の[その他原価]として登録します。その他原価はfreee会計には連携されず、freee販売の粗利計算にだけ加算される仕組みなので、「会計は正しく、案件の粗利も実態に近く」の両立ができます。ざっくりでも案件に乗せておかないと、粗利が高く見えすぎて次の見積が甘くなる、という副作用が出ます。

人件費(労務費)の扱いと限界

自社職人の労務費を工事ごとに乗せるには、2つの方法があります。ひとつはfreee工数管理(管理者1ユーザー月額2,000円、メンバー1ユーザー月額500円、いずれも税抜・年払い時の月額換算)で算出した人件費をfreee販売のスタンダードプランに連携する方法。もうひとつは、その他原価としておおよその人件費を手入力する方法です(出典:freeeヘルプセンター「freee工数管理のプラン・料金について」)。

従業員数名の会社であれば、まずは出面表から月末に「人工数×社内単価」を案件のその他原価に入れる運用で十分です。freeeを建設業に導入している税理士法人も、タグを工夫すれば仕入・外注費までは工事別に振り分けられるが、労務費の出面管理までは難しいと率直に書いています(出典:税理士法人ブラザシップ「クラウド会計ソフトは建設業でも活用できる?」)。労務費だけ乗っていない粗利は「見かけ上の粗利」だと理解した上で数字を読むことが、運用のコツです。

収支サマリーで物件別粗利を見る。未成工事の振替は振替伝票で

売上と原価(仕入とその他原価)が案件に集まれば、[案件一覧]→案件名をクリック→「収支サマリー」で物件別の粗利が確認できます。これがfreeeにおける工事台帳の代わりになる画面です。工事中に原価が見積を超えそうなときに気づけるかどうかは、仕入登録を月末にまとめず、請求書が届いた週のうちに入れているかで決まります。

freee販売には、未成工事支出金や未成工事受入金と完成工事原価・完成工事高の間を自動で振り替える機能はありません。freee販売の仕入を完成工事原価などの損益(PL)科目で登録した工事が期末時点で未完成なら、freee会計の[取引入力]→[振替伝票]で「借方 未成工事支出金/貸方 完成工事原価」として資産へ振り替えます。その工事が完成した時点では逆に「借方 完成工事原価/貸方 未成工事支出金」として原価へ戻します。実際の科目は材料費・労務費・外注費・経費などに分かれる場合があるため、顧問税理士と処理を確認してください。備考欄に案件名を書いておくと翌期の照合が楽になります(出典:国税庁「No.6487 未成工事支出金の仕入税額控除の時期」)。

freee販売の収支サマリーで粗利は見えても、工事種別ごとの階層見積や工事台帳の自動作成までは対応していないのが実情です。工事ごとの見積・原価・粗利を一画面で管理し、仕訳はfreee会計へ連携できるのが工事管理システムuconnectです(30日間無料・初期費用0円)。

機能と価格を見る →

建設業許可・決算書・補助金:freeeで押さえる制度対応

建設業許可の書類作成・許可用財務諸表の転記・デジタル化・AI導入補助金の3ポイントを並べた3カラム図

日々の経理が回るようになったら、次は許可関係の制度対応です。決算変更届は事業年度が終了するごとに4か月以内、建設業許可の更新は5年ごとで、有効期間満了日の30日前までに申請する必要があります(出典:国土交通省「許可後の手続き」国土交通省「建設業の許可とは」)。ここでは許可申請書類、許可用の財務諸表、それに導入費用を抑える補助金について、freeeで対応できる範囲を見ていきます。

freee許認可で建設業許可の書類を作る

freee許認可は、フォームの質問に答えていくと許認可申請の書類が自動で作成され、提出手順まで案内されるサービスで、対応項目に建設業営業許可が含まれています(出典:freeeヘルプセンター「freee許認可 サービス紹介」freee許認可「建設業」)。利用料は無料(行政機関への手数料は別途)で、パソコンとスマホの両方で使えるので、現場の合間に入力を進められます。

ただし、freee許認可の公式案内で確認できる範囲は、建設業許可申請書類の作成と提出手順の案内です。公開情報だけでは、更新申請や決算変更届まで対応するとは確認できません。申請種別と提出先によって必要書類が異なるため、利用前に作成対象をサービス画面で確認してください。常勤役員等や営業所技術者等の許可要件に不安がある場合は行政書士へ相談し、工事経歴書に載せる実績や確認資料も自社で整理します。なお、従来の「専任技術者」は、2024年12月13日施行の改正後は「営業所技術者等」という名称です(出典:国土交通省「建設業法施行規則等の一部を改正する省令等を施行」)。

建設業許可用の財務諸表は様式の組み替えが必要

建設業許可の申請や毎年の決算変更届では、貸借対照表・損益計算書・完成工事原価報告書などを建設業法施行規則の様式で提出します。freee会計が出力する決算書は一般的な様式なので、そのまま提出はできません。建設業許可で必要な決算書は、提出先の都道府県などが公開している様式や、一般財団法人建設業情報管理センター(CIIC)が無料で配布している「なんでも経審Plus」を使って作成するのが一般的です。なんでも経審Plusは建設業許可・経営事項審査の電子申請(JCIP)にも対応しています(出典:CIIC「申請書作成ソフト(無料)のご案内」)。

実務では、freee会計の試算表を勘定科目ごとに様式へ転記するか、税理士に決算と合わせて作成を依頼するのが一般的です。初期設定の段階で勘定科目を建設業向けに揃えておけば、この転記作業は「完成工事高はこの行、未成工事支出金はこの行」と機械的に進みます。経審を受ける会社は、完成工事高の業種別内訳も求められるため、部門名に業種の略称を入れておくと集計が早くなります。

会計ソフト導入に使える補助金

freee会計やfreee販売のようなクラウドサービスの利用料は、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象になり得ます。制度には通常枠のほか、インボイス制度に対応した会計ソフト・受発注ソフトの導入を支援する「インボイス枠(インボイス対応類型)」があり、クラウドサービス利用料や導入サポート費用も補助対象に含まれます(出典:デジタル化・AI導入補助金2026「制度概要」)。

申請は、事務局に登録された「IT導入支援事業者」と組んで行う仕組みです。freeeの導入支援を行う税理士事務所やベンダーが支援事業者になっているケースが多いので、契約前に「補助金の申請支援まで対応できるか」を確認してください。補助率や上限額は枠と事業規模で変わり、公募回ごとに締切があるため、導入時期は公式サイトの事業スケジュールに合わせて逆算するのが確実です。会計のクラウド化は建設業DXの最初の一歩として着手しやすい領域でもあります。

freee導入でよくあるつまずきと対処法

部門の使い切りや未成工事の振替忘れなどfreee導入でつまずきやすい5項目を注意アイコン付きで並べたリスト

ここまでの内容を踏まえて、建設会社がfreeeを導入したあとに相談が多いつまずきを5つ挙げます。どれも設定か運用ルールで避けられるものです。

部門を工事に使い切ってしまう

「部門=工事」で運用を始めた会社が、1年後に部門が200件を超えて選択肢から目当ての工事が探せなくなる、というケースです。完成した工事の部門は「入力候補」をオフにして非表示にする、部門名の先頭に工事番号を付けて並び順を固定する、の2つで解消します。スタンダードプランなら部門を2階層にして「2026年度/工事名」のように年度で束ねる方法もあります。

未成工事の振替を忘れて期末の利益がブレる

期をまたぐ工事の費用を未成工事支出金へ振り替えずに決算を迎えると、その期の利益が実態より小さく(翌期は大きく)出ます。銀行提出用の決算書で利益が乱高下すると、融資の場面で説明に苦労します。決算前月に「進行中の工事一覧」をfreee販売の案件一覧から出し、案件ごとの仕入合計を振替伝票に起こすチェックを、年間スケジュールに固定してください。

freee販売とfreee会計で原価が二重に乗る

経費精算やファイルボックスから会計に登録した費用を、freee販売でも仕入登録してしまうパターンです。ルールは「会計に先に入った費用は、販売では『その他原価』で登録する」の一行。その他原価は会計に連携されないので、これだけで二重計上は防げます。

労務費が乗らず粗利が高く見える

自社職人の人件費を案件に乗せていないと、労務費の分だけ収支サマリーの粗利率が実態より高く見えます。自社職人の比率が高い会社ほど、この差は大きくなります。月末に出面表から人工数を集計し、社内単価をかけた金額をその他原価で入れてください。精度は荒くても、乗せているか乗せていないかで見積の判断はまったく変わります。

税理士がfreeeに慣れていない

建設業に強い税理士と、freeeに強い税理士は必ずしも一致しません。freeeにはアドバイザー制度があり、認定アドバイザーの税理士は事業所に無料で招待できます。今の顧問税理士がfreee未経験なら、記帳と工事別管理はfreee側の設定を整えて自社で回し、決算と許可用財務諸表は税理士に任せる、という役割分担を先に話しておくと摩擦が減ります。会計ソフトの比較段階であれば、建設業向けマネーフォワード活用ガイドも参考にしてください。

なお、freeeはAIエージェントから会計データを操作できるMCPサーバーも公開しており、仕訳の確認や集計をチャットで済ませる使い方も出てきています。興味がある方はfreee MCPの導入方法をご覧ください。

freeeと連携して工事別の粗利管理を仕上げるクラウドツール

工事管理システムuconnect(ユーコネクト)のサービス紹介画像

ここまで見てきたとおり、freeeは帳簿・請求・許認可の領域には強い一方、階層型の見積や積算、工事台帳の自動作成といった「工事管理」の領域は対象外です。会計はfreee、工事別の粗利管理は建設業専用のツール、という分担で補うのが現実的な選択肢になります。

工事管理システム「uconnect」は、小規模・中規模の建設会社向けに、工事ごとの見積・実行予算・原価・粗利を一画面で管理するクラウドツールです。freee会計との仕訳連携に対応しており、freeeアプリストアにも連携アプリとして掲載されています(出典:freeeアプリストア「工事業・建設業向け 粗利管理クラウドソフト『uconnect』」)。この記事のテーマに関わる機能は次のとおりです。

  • 工事種別ごとに小計を出す階層型見積と、そこから作る実行予算(上位プランの機能)。freee販売では作れない見積の階層をここで担う
  • 外注費・材料費を工事別に自動集計し、実行予算との差異と粗利をリアルタイムで確認できる
  • 見積→発注→納品→請求→領収の帳票を一元管理し、工事台帳を自動作成する
  • 売掛・買掛の管理と、freee会計・弥生・マネーフォワードへの会計連携

初期費用は無料、月額7,920円(税込・基本料+1ユーザー)から、30日間の無料トライアルがあります。階層型見積・実行予算の機能を使う場合は、月額24,420円(税込)からの上位プランが対象です(出典:uconnect「工事業・建設業向け 料金プラン」)。デジタル化・AI導入補助金にも対応しており、freeeと同じ枠組みで導入費用を抑えられる可能性があります。

自社の業務フローに合うかを先に知りたい場合は、業務フローとのマッチ率を判定する導入適合性チェックも用意されています。freeeの会計データを土台に、工事ごとの数字をもう一段深く追いたくなったときの選択肢として、uconnect公式サイトをご覧ください。

まとめ:建設業のfreee活用は「会計+販売+許認可」の役割分担から

「freee建設業パッケージ」という単一製品はなく、建設業でfreeeを使うなら、freee会計・freee販売・freee許認可を役割分担させるのが基本形です。記事の要点を整理します。

  • freee会計は勘定科目を建設業向けに追加し、部門(またはセグメント)を工事に割り当てて集計する
  • 工事別の見積・受注・請求・仕入・粗利はfreee販売の「案件」に集める。複数現場のまとめ請求書は仕入を案件ごとに按分する
  • 階層見積・積算・未成工事の自動振替・工事台帳の自動作成はfreeeにはない。振替は決算時に振替伝票で行う
  • 建設業許可申請書類はfreee許認可の対応範囲を確認して作成し、許可用の財務諸表は所定様式に転記する
  • 導入費用はデジタル化・AI導入補助金の対象になり得るので、IT導入支援事業者と組んで申請を検討する

まずはfreee会計とfreee販売の無料お試しで、進行中の工事1件を案件登録し、今月届いた請求書を仕入として紐付けてみてください。収支サマリーに粗利が出た時点で、自社に足りない機能が何かがはっきり見えてきます。

あなたにおすすめの記事

freee MCPとは?導入方法から会計業務の自動化まで解説

freee MCPの基本から導入手順、会計・請求書の自動化まで解説。AIエージェントで業務効率化を実現する方法を紹介します。

建設業向けマネーフォワード活用ガイド|会計業務の効率化と選び方

建設業でマネーフォワードクラウドを導入するメリットや活用法を解説。建設業特有の会計処理への対応やExcelからの移行手順まで実務に役立つ情報をまとめました。

マネーフォワード クラウド会計MCPとは?AIエージェントによる自動化の導入手順と活用法

マネーフォワード クラウド会計MCPの概要から導入手順、AIエージェントによる仕訳・試算表の自動化まで解説。リモートMCPサーバーの設定方法や活用事例も紹介します。

最新記事

カテゴリー

トップへ戻る