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弥生会計を建設業で使う方法|勘定科目設定から工事別管理まで

建設業で弥生会計を使う方法(製品選び・勘定科目設定・工事別管理・仕訳・料金)を解説する記事のアイキャッチ

決算のたびに顧問税理士から「この売上は完成工事高に、この仕入は未成工事支出金に直しておきますね」と言われ、月次で見ていた数字と決算書の数字が食い違う。弥生会計を使っている建設会社で、この状態が何年も続いているケースは珍しくありません。原因はソフトではなく、建設業向けの科目設定と工事別の集計ルールを最初に決めていないことにあります。

この記事では、弥生会計を建設業で使う方法を、製品選びから初期設定、日々の仕訳、決算、料金と補助金、導入チェックリストまで実務の順番どおりに整理しました。弥生会計 Nextと弥生会計 26のどちらを選ぶべきか、工事ごとの原価を「部門」でどう管理するか、着手金や期末の未完成工事をどう仕訳するかを、弥生公式の情報を根拠に解説します。

弥生会計でできることと、別のツールで補うべきことの線引きも先に示しますので、導入前の方は「うちの規模ならどのプランか」、導入済みの方は「今の設定で何が足りないか」を確かめながら読み進めてください。

※ 本記事に記載している料金・機能は2026年9月時点の弥生公式サイトにもとづきます。最新の内容は弥生公式サイトをご確認ください。

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弥生会計は建設業で使える?製品ラインと対応範囲

弥生会計 Next・26スタンダード・26プロフェッショナルを部門管理の有無で比較した3カラム図

結論から言うと、弥生会計は建設業の帳簿づけと決算には問題なく使えます。ただし「工事ごとの原価と粗利を追う」という建設業ならではの管理は、弥生会計だけでは設定の工夫が必要で、一部は別のツールで補うことになります。まずは製品の種類と、建設業で対応できる範囲を整理します。

弥生会計 Nextと弥生会計 26の違い

弥生会計は、弥生株式会社が提供する中小企業向けの会計ソフトです。2026年9月時点で、法人向けの製品は大きく2系統あります。クラウド型の「弥生会計 Next」と、パソコンにインストールして使うデスクトップ型の「弥生会計 26」です。

製品形態建設業で押さえておきたい点
弥生会計 Nextクラウド会計・請求に加え、ベーシックプラン以上で経費精算にも対応。証憑の保存・管理は全プランで弥生証憑 Nextと連携。部門管理はベーシックプラン以上
弥生会計 26 スタンダードデスクトップ帳簿・決算に必要な機能はそろう。部門設定はない
弥生会計 26 プロフェッショナルデスクトップ部門設定・予算実績対比表・経営分析・資金繰り表が使える

弥生会計 26のスタンダードとプロフェッショナルの差は、部門設定や予算実績対比表、キャッシュ・フロー計算書などの有無です(出典:弥生「弥生会計 26 機能一覧・比較」)。あとで説明しますが、建設業で工事別の数字を見たいなら「部門」が使える製品を選ぶのが前提になります。スタンダードやNextのエントリープランでは工事別の集計ができないため、契約前にここだけは確認してください。

建設業向けテンプレートが用意されている

弥生は、デスクトップ版の弥生会計向けに、建設業(法人・個人)の「会計データテンプレート」と勘定科目一覧表を公式サイトで配布しています。未成工事支出金や未成工事受入金などが組み込まれ、弥生会計の[ファイル]メニューから[新規作成]→[データテンプレートを利用してデータ作成する]で指定します。製造原価科目を使うため、やよいの青色申告では利用できません(出典:弥生サポート「建設業(法人・個人)のダウンロード」)。

公式ページの対象製品は「弥生会計 23 Ver.29.2.1以降」とされているため、弥生会計 26でもテンプレートを利用できます。一方、弥生会計 Nextはこのデスクトップ版用テンプレートの対象として記載されていません。Nextでは、同ページの勘定科目一覧表を参考に、[設定]→[事業所]→[詳細設定]で製造原価科目を「使用する」にしたうえで、[設定]→[科目]から勘定科目や補助科目を手動で追加します(出典:弥生サポート「事業所の基本情報や消費税設定を確認する」「科目を追加、削除する」)。

弥生会計でできること・できないこと

導入後に「思っていたのと違う」となりやすいので、先に線引きしておきます。

  • できること: 建設業特有の勘定科目での記帳、部門を使った工事別の損益集計(対応製品のみ)、決算書の作成、銀行明細やクレジットカードの自動取込。消費税申告書は弥生会計 26で作成できるが、Next単体は消費税集計までで、申告書は「消費税の達人」へのデータ連携で作成(出典:弥生「決算書の作成ができるクラウド会計ソフト」
  • 設定の工夫が必要なこと: 工事ごとの原価の内訳管理(部門や補助科目で代用)、期末の未成工事支出金への振替(振替伝票で手動)
  • できないこと: 工事種別ごとに小計を出す階層型の見積作成、実行予算と実績の差異管理、工事台帳の自動作成

ざっくり言えば、弥生会計は「経理と決算のソフト」であって「工事管理のソフト」ではありません。この前提を共有できていれば、導入後のギャップはほとんど起きません。

建設業会計の特徴と弥生会計での勘定科目設定

完成工事高と売上高など建設業の勘定科目4つを一般会計の科目と矢印で対応させた表

弥生会計を建設業で使うときに最初にやるべき作業が勘定科目の整備です。ここを飛ばして銀行口座の同期から始めると、決算のたびに税理士が科目を組み替えることになり、月次で見ていた数字と決算書の数字が食い違います。

建設業特有の7つの勘定科目

建設業は着工から引き渡しまでが長く、一般的な商売と違って「仕入れてすぐ売る」形になりません。そのため、一般会計の科目を建設業向けに読み替えた専用の勘定科目を使います(出典:弥生「建設業会計とは?独自の勘定科目や引当金と仕訳例を解説」)。

建設業の勘定科目一般会計での相当科目内容
完成工事高売上高完成・引き渡した工事の売上
完成工事原価売上原価完成工事にかかった材料費・労務費・外注費・経費
完成工事総利益売上総利益完成工事高から完成工事原価を引いた粗利
未成工事支出金仕掛品まだ完成していない工事にかかった費用
完成工事未収入金売掛金計上した完成工事高のうち未回収分
未成工事受入金前受金未完成の工事について前もって受け取った金額
工事未払金買掛金・未払金工事原価のうち未払いの金額

建設業許可業者は、毎事業年度の終了後4か月以内に、決算変更届(事業年度終了届)を提出します。財務諸表だけでなく、工事経歴書や直前3年の各事業年度における工事施工金額なども必要です。届出書の様式は国土交通省の「許可後の手続き」ページで公開されています(出典:国土交通省「許可後の手続き」)。日々の帳簿を建設業の科目でつけておくと財務諸表への組み替えを減らせますが、届出書一式が帳簿からの転記だけで完成するわけではありません。

テンプレートで科目を揃え、製造原価科目を完成工事原価として使う

弥生会計では、材料費・労務費・外注費・経費を「製造原価」の区分で管理します。建設業テンプレートも製造原価科目を使う設計なので、製造原価報告書を完成工事原価報告書として読み替えて使う形になります。テンプレートを使わずに弥生会計 26で設定する場合は、新規データ作成時に「製造原価に関する科目を使用する」にチェックを付けてから、次の科目を追加してください。この設定は後から取り消せません。一方、公式サポートでは、判断できない場合は新規作成時には設定せず、後から[事業所設定]で追加できると案内しています(出典:弥生サポート「法人の事業所データの作成」)。

  1. 売上区分に「完成工事高」を追加し、工事の売上は「売上高」ではなく完成工事高で登録する
  2. 製造原価区分に「材料費」「労務費」「外注費」「経費」を作る(初期状態の「外注費」が販売管理費にある場合は、原価用に別で作る)
  3. 資産区分に「未成工事支出金」「完成工事未収入金」、負債区分に「未成工事受入金」「工事未払金」を追加する

顧問税理士がいる会社は、この時点で科目名を税理士と揃えておくと、決算時の組み替えが最小限になります。

補助科目で取引先と工事を分ける

弥生会計には勘定科目の下に「補助科目」を設定する機能があります。完成工事未収入金に元請けごとの補助科目、工事未払金に協力業者ごとの補助科目を作っておくと、売掛・買掛の残高を取引先別に一目で確認できます。従業員10名前後までの会社なら、補助科目だけでも入出金の管理はかなり楽になります。

工事ごとの原価を弥生会計で管理する方法

A邸新築とB様店舗内装を部門として部門別損益計算書に集計する流れを示した図

「弥生会計で工事別の粗利は見られますか」という質問に対する答えは、「部門を使えば損益の集計はできる。ただし限界もある」です。この項目では、その具体的なやり方と限界をQ&A形式で整理します。

Q. 工事別の集計はどの機能で行う?

A. 「部門」を工事に割り当てます。部門は本来「工事部」「営業部」のような組織を入れる場所ですが、工事1件につき部門を1つ作れば、公式画面名の「残高試算表(部門対比)」で工事ごとの完成工事高と原価を比較できます。部門名の先頭に工事番号を付けておくと(例「2026-014 〇〇邸新築」)、並び順が安定して探しやすくなります(出典:弥生サポート「部門別に管理する」)。

弥生会計 Nextでは部門管理がベーシックプラン以上の機能で、エントリープランには含まれません(出典:弥生「弥生会計 Next 料金プラン」)。デスクトップ版では部門設定はプロフェッショナルの機能です。

Q. 仕訳を入れるときに気をつけることは?

A. 工事に紐づく取引には必ず部門を付けることです。材料店の請求書を1枚まとめて仕訳すると、A邸とB様店舗の原価が混ざります。1枚の請求書に複数現場分が入っている場合は、仕訳を明細行ごとに分け、それぞれに部門を付けてください。仕訳の摘要欄に工事名を書くルールも合わせて決めておくと、あとから元帳で追いかけるときに助かります。

共通経費(事務所家賃、車両費など)は部門を付けずに全社共通として扱い、工事別の粗利には乗せないのが一般的です。工事別の数字は「直接原価ベースの粗利」として読む、と社内で決めておくと数字の解釈がぶれません。

Q. 弥生会計だけでは難しいことは?

A. 次の3つです。

  • 見積と実績の比較: 弥生会計に見積金額を登録する仕組みがないため、実行予算と実際の原価の差異は別途Excelなどで管理することになる
  • 進行中の工事の粗利の把握: 部門別損益は「計上済みの仕訳」の集計なので、請求書が届いていない外注費や、まだ入力していない材料費は反映されない
  • 部門の増えすぎ: 工事ごとに部門を作ると、工事数に応じて選択肢が膨らむ。弥生会計 26では完成した工事の部門を「非表示」にできるが、Nextの現行サポートには使用済み部門の非表示手順がないため、工事番号や完了年を含む命名規則で進行中と完了済みを区別する

工事の数が少ないうちは部門運用で十分ですが、年間の工事件数が増えてきたら、工事管理の専用ツールで見積から原価までを追い、仕訳だけを弥生会計に流す形に切り替えるのが現実的です。

取引ごとの仕訳と記帳方法

建設会社の事務所で請求書を手に持ちながらパソコンに入力する経理担当者の手元の写真

月末、協力業者から「A邸 外壁 38万円、B様店舗 内装 22万円」の2現場分がまとまった請求書が届きました。経理担当者は合計60万円を外注費で1行仕訳し、翌月の部門別損益ではどちらの工事も外注費がゼロのまま。小規模な建設会社でよく起きる、工事別の粗利がずれる典型パターンです。ここでは、建設業で頻出する取引の仕訳を、こうしたミスを防ぐ形で整理します。

材料費・外注費・労務費の仕訳

基本の仕訳は次のとおりです。いずれも部門(工事)を必ず付けます。

取引借方貸方
材料を掛けで仕入れた材料費(部門: A邸)工事未払金(補助: 材料店)
協力業者から請求書が届いた外注費(部門: A邸)38万円/外注費(部門: B様店舗)22万円工事未払金(補助: 協力業者)
自社職人の給与を計上した(簡略例)労務費(実際額を部門ごとに按分)普通預金・預り金等
現場の駐車場代を現金で払った経費(部門: A邸)現金

自社職人の労務費は、給与データだけでは工事ごとに分かれていません。月末に出面表や勤怠データから人工数・作業時間を集計し、実際の賃金等を合理的な基準で各工事に按分します。「人工数×社内単価」を管理会計用に使う場合は、実際の給与総額との差額を会計仕訳にそのまま残さないよう、会計上の配賦方法を税理士と決めてください。

前受金は「未成工事受入金」で受ける

工事の完成・引き渡し時に売上を計上する方法を採っている場合、着手金や中間金を受け取った時点では、売上ではなく未成工事受入金(負債)で処理します。完成・引き渡し時に完成工事高へ振り替え、残額を完成工事未収入金として請求します。進捗に応じて収益を認識する契約では仕訳が異なるため、この例をそのまま使わないでください。

  • 着手金100万円を受け取った: 借方 普通預金 100万円/貸方 未成工事受入金 100万円
  • 工事が完成し、請負金額300万円を計上: 借方 未成工事受入金 100万円・完成工事未収入金 200万円/貸方 完成工事高 300万円

売上の計上時期は、会社の規模だけで一律に工事完成基準と決められるものではありません。会計上は適用する会計基準と契約の履行義務に応じて判定し、税務上も一定の長期大規模工事には工事進行基準が強制適用されます。それ以外の工事でも、着工事業年度中に引き渡されないものは、確定決算で工事進行基準により経理した場合に税務上も適用されます。ただし、適用開始後のいずれかの事業年度で工事進行基準による経理をしなかった場合、その翌事業年度以後はこの税務上の特例を適用できません。契約ごとの判定と進捗率の算定方法は、運用開始前に税理士または公認会計士と確認してください(出典:国税庁「工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度の特例」)。

期末の未成工事支出金への振替と消費税

未完成工事の原価は、本来は工事期間中に未成工事支出金として経理し、完成・引き渡し時に完成工事原価へ振り替えます。日々は材料費・労務費・外注費・経費に入力して工事別損益を見る運用なら、期末の未完成分だけを振替伝票で「借方 未成工事支出金/貸方 材料費・労務費・外注費・経費」と決算整理し、翌期の完成時に逆仕訳します。二重計上を避けるため、どちらの方法で記帳するかを統一してください。

消費税については、未成工事支出金に含めた課税仕入れは、原則として資産の引き渡しを受けた日や、下請先が役務の提供を完了した日の属する課税期間で仕入税額控除の対象にします。継続適用を条件に、請負工事の目的物を引き渡した日の属する課税期間の課税仕入れとする処理も認められています(出典:国税庁「No.6487 未成工事支出金の仕入税額控除の時期」)。どちらの方法を採るかで期中の消費税の計算が変わるため、弥生会計の税区分を設定する前に税理士へ確認しておくと安全です。

部門別損益で工事ごとの数字は出せても、まだ届いていない請求書の分や見積との差異までは弥生会計の画面には出てこないのが実情です。見積から原価・粗利までを工事ごとに一画面で管理し、仕訳は弥生会計へテキスト連携できるのが工事管理システムuconnectです(30日間無料・初期費用0円)。

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弥生会計の料金プランと導入費用を抑える補助金

弥生会計 Nextのエントリー・ベーシック・ベーシックプラスの月額と部門管理の可否を並べた図

弥生会計は、クラウド型とデスクトップ型で料金の考え方が違います。建設業で必要な「部門管理」が使えるプランを軸に、2026年9月時点の公式価格を整理します。

弥生会計 Nextの3プラン

プラン月額(年契約)月額(月契約)部門管理建設業での目安
エントリー2,900円3,480円不可社長ひとりで回している法人。工事別集計は会計では行わない
ベーシック4,200円5,040円部門=工事で運用できる最小プラン
ベーシックプラス7,000円8,400円電話サポートと仕訳相談が付く

いずれも税抜で、初期費用は0円です。無料体験は1事業者につき1回、最大2か月で、ベーシックプラス相当の機能を使えますが、決算書の作成・出力はできません。会計機能と請求機能は3名まで基本料金に含まれ、4名以上は1名あたり月額300円が加算されます。経費精算機能はベーシックで3名まで、ベーシックプラスで5名までが基本料金に含まれ、それぞれ上限を超えると1名あたり月額400円がかかります(出典:弥生「弥生会計 Next 料金プラン・価格」)。年契約の月額は年額を12で割った金額です。従業員10名前後で、社長と経理担当の2〜3人が触るなら、ベーシックプランがもっとも無理のない選択になります。

弥生会計 26(デスクトップ)の価格

デスクトップ版は製品代金と、年次で更新する「あんしん保守サポート」の組み合わせです。オンラインストアでは製品購入とサポート加入がセットになり、所定の条件を満たす事業者は、1事業者につき1製品1回の初年度優待価格を利用できます。

製品初年度優待価格(セルフプラン付き)通常合計額(セルフプラン付き)部門設定
スタンダード50,000円+税86,700円+税なし
プロフェッショナル88,000円+税138,800円+税あり
プロフェッショナル 2ユーザー115,500円+税192,600円+税あり

(出典:弥生「弥生会計 26の料金・サポートプラン」

工事別に集計したい建設会社は、プロフェッショナルが対象になります。スタンダードとの差額は数万円ですが、部門別損益が出せるかどうかで経営判断の材料が大きく変わるので、ここは削らないことをおすすめします。

デジタル化・AI導入補助金で費用を抑える

クラウド会計ソフトの利用料は、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象になり得ます。インボイス制度に対応した会計・受発注ソフトを支援する「インボイス枠」があり、クラウドサービス利用料や導入サポート費用も補助対象に含まれます(出典:デジタル化・AI導入補助金2026「制度概要」)。

申請は事務局に登録された「IT導入支援事業者」と組んで行う仕組みで、弥生の導入支援を行う税理士事務所や販売店が支援事業者になっているケースがあります。契約前に「補助金の申請支援まで対応できるか」を確認してください。会計のクラウド化は建設業DXの入口として着手しやすい領域でもあります。

失敗しない弥生会計の導入ステップとチェックリスト

テンプレート作成から期首残高入力まで弥生会計の初期設定を5ステップで並べた流れ図

弥生会計の導入は、ソフトを入れる作業そのものより「入れる前に何を決めておくか」で成否が決まります。実際につまずきやすいのは、科目を決めずに入力を始めて後から直す、担当者ごとに部門の付け方がばらつく、期末に未成工事の振替を忘れる、の3つです。この3つを避けるための手順を、順番どおりに並べます。

導入前に決めておく3つのこと

  1. 製品とプランを決める: 工事別の集計をするなら、部門が使える弥生会計 Nextのベーシック以上か、弥生会計 26プロフェッショナル。会計で工事別を追わないならエントリーやスタンダードで足りる
  2. 税理士と科目名を揃える: 完成工事高・完成工事原価・未成工事支出金など、決算書に載せる科目名を先に共有する。税理士が弥生を使っていれば、データのやり取りもスムーズになる
  3. 工事番号のルールを決める: 「年度-連番 工事名」のように命名規則を固定し、部門名・見積書・請求書で同じ番号を使う

初期設定の順番

製品によって画面と順序が異なります。弥生会計 Nextの場合は、公式ガイドに合わせて次の順に進めます。

  1. 初期セットアップで事業所・会計期間・消費税の設定を確認し、[設定]→[事業所]→[詳細設定]で製造原価科目と部門を「使用する」にする
  2. 使用する銀行口座・クレジットカードの「明細ボックス」を作成する。これらは補助科目に自動登録されるため、期首残高の入力より前に行う
  3. 建設業の勘定科目、元請け・協力業者等の補助科目、進行中工事の部門を登録する
  4. 前期の決算書と内訳資料をもとに、未成工事支出金・未成工事受入金・完成工事未収入金・工事未払金などの期首残高を入力する
  5. 各明細ボックスの[仕訳ルール]で、摘要や金額の条件に応じた勘定科目・補助科目・部門を設定する(出典:弥生会計 Next「設定をしよう」弥生サポート「明細ボックスで仕訳ルールを設定する」

弥生会計 26では、公式の建設業テンプレートを使ってデータを作成できます。テンプレートを使わない場合は、新規データの作成時に製造原価科目を使用する設定を行い、勘定科目・補助科目・部門、期首残高の順に登録します。

4番目の期首残高は忘れられがちですが、前期から続いている工事の原価を未成工事支出金で引き継いでおかないと、今期の完成時に粗利が実態より高く出ます。

運用ルールのチェックリスト

導入後は、次の項目を月次と決算前に確認します。

  • [ ] 工事に紐づく仕訳にはすべて部門が付いているか(部門なしの原価がないか)
  • [ ] 複数現場分がまとまった請求書は、明細ごとに部門を分けて入力したか
  • [ ] 自社職人の労務費を月末に工事別へ按分したか
  • [ ] 着手金・中間金を、採用する収益認識方法に沿って未成工事受入金または売上に正しく計上したか
  • [ ] 完成した工事の部門を整理したか(26は非表示、Nextは完了年を含む命名規則で区別)
  • [ ] 決算前月に進行中の工事一覧を出し、未成工事支出金への振替仕訳を準備したか

チェックリストはA4一枚で十分です。担当者が変わっても同じ手順で回るようにしておくことが、弥生会計を建設業で長く使うコツになります。会計ソフトを比較検討している段階なら、建設業でfreeeを活用する方法建設業向けマネーフォワード活用ガイドも合わせて読むと、自社に合うソフトが選びやすくなります。

弥生会計と連携して工事別の粗利管理を仕上げるクラウドツール

工事管理システムuconnect(ユーコネクト)のサービス紹介画像

ここまで見てきたとおり、弥生会計は帳簿・決算の領域に強い一方、見積と実績の比較や進行中の工事の粗利把握、工事台帳の自動作成といった「工事管理」の領域は対象外です。なお、消費税申告書は弥生会計 26で作成できますが、Nextでは消費税集計と税務ソフト連携までです。会計は弥生会計、工事別の粗利管理は建設業専用のツール、という分担で補うのが現実的な選択肢になります。

工事管理システム「uconnect」は、小規模・中規模の建設会社向けに、工事ごとの見積・原価・粗利を一画面で管理するクラウドツールです。弥生会計とはテキスト連携に対応しており、uconnectに登録した売上や原価を仕訳データとして書き出し、弥生会計に取り込めます。完成工事高などの売上区分や、材料費・外注費といった原価科目にも対応しています(出典:uconnect「会計連携(弥生・freee・マネーフォワード)」)。この記事のテーマに関わる機能は次のとおりです。

  • 材料費・外注費を工事別に自動集計し、請求書を登録した時点で進行中の工事の粗利がリアルタイムで見える
  • 見積→発注→納品→請求→領収の帳票を一元管理し、工事台帳を自動作成する
  • 売掛・買掛の管理と、弥生会計・freee・マネーフォワードへの会計連携。仕訳の二重入力がなくなる
  • 工事別・部門別・担当者別の粗利分析で、弥生会計の部門運用では追いきれない工事の採算を把握できる

初期費用は無料、月額7,920円(税込・基本料+1ユーザー)から、30日間の無料トライアルがあります。デジタル化・AI導入補助金にも対応しており、弥生会計と同じ枠組みで導入費用を抑えられる可能性があります。自社の業務フローに合うかを先に知りたい場合は、業務フローとのマッチ率を判定する導入適合性チェックも用意されています。弥生会計の帳簿を土台に、工事ごとの数字をもう一段深く追いたくなったときの選択肢として、uconnect公式サイトをご覧ください。

まとめ

弥生会計は建設業の帳簿づけと決算に十分使える会計ソフトです。ただし工事別の管理は「部門」を使って設定で補う形になり、見積との比較や工事台帳の自動作成は対象外です。記事の要点を整理します。

  • 工事別の集計をするなら、部門が使える弥生会計 Nextのベーシック以上、または弥生会計 26プロフェッショナルを選ぶ
  • 建設業テンプレートか手動追加で、完成工事高・完成工事原価・未成工事支出金などの科目を最初に整える
  • 工事に紐づく仕訳には必ず部門を付け、まとめ請求書は明細ごとに分ける
  • 着手金は未成工事受入金、期末の未完成工事は未成工事支出金へ振り替える
  • 導入費用はデジタル化・AI導入補助金の対象になり得るので、IT導入支援事業者に相談する

まずは進行中の工事1件を部門として登録し、今月届いた請求書を部門付きで入力するところから始めてみてください。部門別損益にその工事の粗利が出た時点で、弥生会計で足りる範囲と、別のツールで補う範囲がはっきり見えてきます。

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