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配管工事の見積書の書き方|継手・試験費まで漏らさない内訳と記入例

配管工事の見積書で継手・支持金物・試験費まで漏らさずに内訳を組む方法と記入例を解説する記事のアイキャッチ

図面に引かれた配管の長さをスケールで拾い、管種ごとのm単価を掛けて合計する。配管工事の見積書をこの手順だけで作っているなら、継手や支持金物、水圧試験、改修時の既設管の撤去といった費用が、どこかで抜けているおそれがあります。どれも図面に線として描かれない費用なので、気づくのは工事が終わって原価を締めたときになりがちです。

この記事では、国土交通省の公共建築工事の積算基準をもとに継手・支持金物を管の単価に対する比率で見込む方法、試験・保温・スリーブ・撤去などの付帯費用の扱い、改正建設業法で見積書に示すよう求められている内訳の項目、見積書を出してから契約に進むまでの確認事項を順に整理します。最後に、小規模な店舗の給排水改修を想定した記入例も載せました。

直近の配管工事の見積書を1枚手元に置いて読めば、直管のm数しか入っていない行がどこか、その場で見つけられます。

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配管工事の見積書が赤字を生みやすい理由

配管見積の拾い漏れ3要因として、図面に出ない継手・支持金物、試験・保温・スリーブの付帯作業、撤去・既設接続・夜間の現場条件を並べた図

配管工事の見積で赤字が出るとき、原因はたいてい単価の高い安いではなく「拾い漏れ」にあります。図面に引かれた管の長さだけを数えて見積もると、継手や支持金物、試験や保温といった、線として描かれていない費用がまるごと抜け落ちるからです。

配管工事と一口に言っても、扱う設備はさまざまです。建物の中で水・お湯・排水・空気などを運ぶ管を据え付ける工事の総称で、代表的なものは次のとおりです。

  • 給水・給湯配管(水道水やお湯を器具まで送る)
  • 排水・通気配管(トイレや厨房の排水を流し、管の中の空気圧を逃がす)
  • ガス配管
  • 空調の冷温水・冷媒配管(空調工事の一部)
  • 消火配管(スプリンクラーや屋内消火栓)

どの系統でも、見積の漏れが出る場所は共通しています。

  1. 図面のm数に出てこない材料:エルボやチーズなどの継手、接着剤やシール材、吊りバンドなどの支持金物
  2. 付帯作業:水圧試験や通水試験、保温、スリーブ(壁や床を管が貫通するための筒)、はつり(コンクリートを削る作業)
  3. 現場条件:改修工事での既設管の撤去と接続、断水を伴う作業、営業中の店舗での夜間作業

機器費と材料費の分け方や「一式」を避けた書き方など、設備工事全体に共通する見積書の組み立て方は設備工事の見積書の書き方でまとめています。この記事ではそこから一歩踏み込み、配管工事ならではの拾い方と付帯費用、それから見積書を出したあと契約に進むまでの確認事項を扱います。

配管工事の見積書の基本構成と記載項目

配管工事の見積書を表紙・内訳書・見積条件書の3点で構成し、内訳を系統→管種・呼び径→材料費・労務費の順に組む流れを示した図

配管工事の見積書は、金額を書いた1枚の紙ではなく、「表紙」「内訳書」「見積条件書」の3つで1セットと考えると漏れが減ります。それぞれの役割と、書き忘れたときに起きやすいトラブルを表にしました。

書類主な記載項目書き忘れると起きやすいこと
表紙宛先、工事名、工事場所、見積金額(税抜・消費税・税込)、見積日、有効期限、発行者期限のない見積で、材料が値上がりした分を請求できない
内訳書系統ごとの管種・呼び径・数量・単価・金額、付帯作業、法定福利費、諸経費どこまでが見積範囲かで揉める。値引き交渉の的になる
見積条件書工事範囲、含まないもの(別途工事)、作業時間帯、作業日数、支払条件、試験と保証の扱い追加工事を請求しても「込みだと思っていた」と言われる

元請や施主がまず見るのは表紙の金額ですが、あとで効いてくるのは内訳書と見積条件書のほうです。とくに見積条件書は、追加費用を請求するときの根拠になるので、小さな工事でも省略しないでください。

内訳は「系統→管種・呼び径→材料費・労務費」の順に組む

内訳書は、次の順に階層を切ると読みやすく、査定する側も確認しやすくなります。

  1. 系統:給水、給湯、排水、通気、ガスなど
  2. 管種と呼び径:たとえば「水道用ポリエチレン粉体ライニング鋼管(SGP-PA)20A」「硬質ポリ塩化ビニル管(VP)50」
  3. 費目:材料費と労務費を分けた「単価×数量」

呼び径(20Aや50といった管の太さ)ごとに行を分けるのは面倒に見えます。ただ、太さが変われば材料単価も施工の手間も変わるので、「給水配管 30m」とまとめた瞬間に金額の根拠が消えてしまいます。

材料費と労務費を分けて書くのは、見やすさのためだけではありません。建設業法はもともと、材料費・労務費などの内訳を明らかにして見積りを行うよう建設業者に求めていました(努力義務)。2025年12月に全面施行された改正建設業法では、見積書に書く内訳として法定福利費などの必要経費も明記され、材料費や労務費を著しく低くした見積りは禁止されました。この点は記事の後半で詳しく触れます。

配管材と労務費の拾い方|継手・支持金物は比率で見込む

配管1mあたりの単価を管・継手・接合材・支持金物・労務に分けた帯グラフで、直管だけの見積では管の部分しか入らないことを示す図

配管の材料費は「直管の長さ×単価」では足りません。継手・接合材・支持金物を、管の値段に対する比率で上乗せするのが、漏れを防ぐいちばん手軽な方法です。

この考え方は、国土交通省が官庁施設の工事費を積算するために定めた「公共建築工事標準単価積算基準」にそのまま書かれています。配管1mあたりの単価を、管・継手・接合材等・支持金物・配管工(労務)・はつり補修・諸経費に分解した表が、管種ごとに載っています(出典:国土交通省「公共建築工事標準単価積算基準(令和8年改定)」第4編 機械設備工事)。

管は図面のm数にロスを乗せて拾う

まずは管そのものです。図面から系統・呼び径ごとに長さを拾い、切断や端材で出るロスを見込みます。同基準の表M1-1-1では、水道用ポリエチレン粉体ライニング鋼管(SGP-PA)の屋内一般配管について、配管1mあたり管1.10m(呼び径100Aは1.05m)で計上しています。1割前後のロスを見ておく、ということです。

立て管(縦に通す管)や天井裏の横引きは、平面図だけ見ていると長さを読み落としがちです。系統図や断面図で、高さ方向の長さも足しておきましょう。

継手・接合材・支持金物は管単価に対する比率で見込む

漏れの本丸はここです。エルボ、チーズ、ソケットといった継手を図面から1個ずつ拾うのは、小さな工事でもかなりの手間になります。そこで基準では、継手などを「管単価(管1mあたりの値段)×比率」で計上しています。

管種・用途(基準の表番号)施工箇所継手接合材等支持金物
SGP-PA 給水 ねじ接合(表M1-1-1)屋内一般配管管単価×0.75管単価×0.05管単価×0.15
同上機械室・便所配管管単価×1.10管単価×0.05管単価×0.15
VP 排水・通気(表M1-1-46)屋内一般配管管単価×0.20管単価×0.10管単価×0.25
同上機械室・便所配管管単価×0.50管単価×0.10管単価×0.25

この表の読みどころは2つです。1つは、管種によって継手の比率が大きく違うこと。屋内一般配管で比べると、ねじ接合の鋼管は継手費が管単価の4分の3にあたるのに対し、塩ビの排水管は2割です。もう1つは、機械室やトイレまわりのように曲がりや分岐が多い場所ほど、管の長さに比べて継手の値段がかさむことです。

ただし、この比率は公共工事の標準的な条件を前提にした値で、市場の相場を示すものではありません。使い方としては、自社の過去の見積で「継手費が管材費の何割になっていたか」を出し、この表と見比べてみるのがおすすめです。極端に低ければ、拾い漏れか値引きのしすぎを疑うきっかけになります。

労務費は「歩掛×数量×労務単価」で出す

労務費は、配管1mあたりに必要な人工(にんく。1人が1日働く作業量)を示す歩掛に、数量と労務単価を掛けて求めます。基準の表M1-1-1では、SGP-PA 20Aの屋内一般配管が0.100人/m、機械室・便所配管が0.120人/mです。

ここまでの数字を使い、SGP-PA 20Aを屋内で30m配管する場合を計算してみます。単価は説明用の仮の数字です(管単価1,200円/m、労務単価25,000円/人)。

項目計算金額
管30m×1.10×1,200円39,600円
継手30m×1,200円×0.7527,000円
接合材等30m×1,200円×0.051,800円
支持金物30m×1,200円×0.155,400円
材料費 計73,800円
配管工(労務費)30m×0.100人×25,000円75,000円
合計148,800円

直管の長さ×単価だけで計算すると、材料費は30m×1,200円の36,000円です。継手や支持金物まで見込んだ73,800円と比べると、材料費を半分以下に見積もってしまう計算になります。この差額は、そのまま粗利から消えていきます。

労務単価は、自社で実際に払っている賃金をもとに決めるのが基本です。目安としては、公共工事の積算に使われる「公共工事設計労務単価」の配管工の値も参考になります。歩掛を使った計算の流れは積算とはの記事でも解説しています。

見落としやすい付帯費用|試験・保温・スリーブ・撤去

改修現場で作業員が手押しポンプにつないだ圧力計を見ながら給水管の水圧試験を行う様子

配管工事では、管をつなぐ作業そのものより、その前後の作業で費用が膨らむことがよくあります。現場でよく出る疑問の形で整理しました。

Q. 水圧試験や通水試験の手間は、どこに入れればいい?

単価に含めるか別の行にするか、どちらかに決めて見積書に明記してください。

公共建築の積算基準は、配管工の労務に「すみ出し、インサート取付け、小運搬、支持金物取付け、吊込み及び満水、通気、通水又は耐圧試験」を含めて扱っています。公共工事の歩掛を目安に単価を作るなら、試験の手間は単価に入っている前提です。

一方、小規模な改修工事は配管の延長が短く、m単価に試験の手間を薄く乗せても回収しきれないことがあります。その場合は「試験(給水水圧・排水満水・通水)2系統」のように別の行で立てたほうが、施主にも元請にも伝わります。試験の写真や圧力計の記録を引き渡し書類に付けるなら、その作成時間も忘れずに見ておきましょう。

Q. 保温、スリーブ、はつり補修は別に立てるべき?

保温は別に立てるのが一般的です。給水管の結露防止や給湯管の保温は、管の長さとほぼ同じだけ施工が発生するので、配管とは別の行で「保温 ○m」と計上します。

スリーブとはつり補修は、建物の構造によって考え方が変わります。基準では、鉄筋コンクリート造の給排水衛生設備工事でスリーブ費を配管工事費の10%、鉄骨鉄筋コンクリート造で7%といった率で別途計上し、はつり補修は配管の労務費の8%としています。

ただし、これはRC造・SRC造の新築を前提にした率です。木造住宅や小規模なテナント改修には当てはまらないので、実際に床や壁を開口する箇所を数え、「床開口・復旧 ○m」「壁貫通 ○箇所」のように拾ってください。

Q. 改修工事で増えるのはどんな費用?

既設配管の撤去、既設管との接続、断水や仮設配管、それに作業時間帯の制約です。

基準でも、改修工事の配管は新築の歩掛から「はつり補修」を除いて扱い、撤去は新設の歩掛に0.3を掛けた歩掛で別に計上する建て付けになっています(撤去後に再使用しない配管の場合。表M2-4-1)。新築と同じ感覚でm単価だけ掛けると、撤去と接続の手間が抜け落ちます。見積の前に現地調査で既設管の材質や傷み具合、接続できる位置を確かめ、見きれなかった部分は前提条件として見積条件書に残しておくと、追加請求の根拠になります。

営業中の店舗やテナントビルでは、断水できる時間が夜間や休日に限られることもあります。公共工事設計労務単価は所定労働時間8時間あたりの単価で、時間外や深夜の割増賃金は含まれていません(出典:国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」)。夜間作業が前提なら単価を分けて見積もり、見積条件にも「夜間作業」と書いておきましょう。

Q. 給水装置工事の申請や検査の費用は?

水道事業者ごとに金額も手続きも違うので、実費として別途にしておくのが安全です。

給水装置とは、配水管から分岐して設けられた給水管と、これに直結する給水用具のことです。受水槽を通さず配水管に直結している建物内の給水管も含まれます(水道法第3条第9項。出典:e-Gov法令検索「水道法」)。

水道事業者は、自らが指定した指定給水装置工事事業者(または水道事業者自身)が施工したものでなければ、給水契約の申込みを拒んだり給水を止めたりできると定められています。蛇口(単独水栓)の取替えのような軽微な変更などは例外とされています(水道法第16条の2。出典:国土交通省「水道法第16条の2第3項のただし書き(指定給水装置工事事業者以外の施行の場合)について」)。指定は水道事業者ごとに受けるものなので、自社が指定を受けていない地域の工事では、指定事業者に依頼する分の費用も見積に入れておく必要があります。

申請や検査の手数料、加入金などは各水道事業者が定めています。金額を見積に固定で入れず、「水道局への申請手数料等は実費別途」と書いておくと、あとで揉めずに済みます。

改正建設業法で配管業者の見積書に求められること

改正建設業法で見積書の内訳に示す材料費・労務費・法定福利費・安全衛生経費・建退共掛金・作業日数の6項目

2025年12月12日に全面施行された改正建設業法で、見積書の中身にもルールが入りました(出典:国土交通省「持続可能な建設業の実現のため、建設業法等改正法が完全施行されます」)。ここでは、設備会社や元請から配管工事を請ける立場で押さえておきたいルールを整理します。改正の全体像は改正建設業法の解説記事にまとめています。

内訳として最低限明示する6項目

国土交通省の建設業法令遵守ガイドラインは、建設業法第20条を踏まえ、下請負人が見積書の内訳として最低限明示するよう努める事項を次の6つに整理しています(出典:国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン(第12版)元請負人と下請負人の関係に係る留意点」)。

  1. 材料費(元請負人が支給する場合はその旨)
  2. 労務費
  3. 法定福利費(事業主負担分)
  4. 安全衛生経費
  5. 建設業退職金共済掛金
  6. 必要となる作業日数

配管工事の見積書で抜けやすいのは、材料支給の有無と作業日数です。元請支給の管材や器具があるならその範囲を、作業日数は「配管3日、試験・手直し1日」のように工程ごとに分けて書きます。工程が変わって日数が延びたとき、追加費用を相談する材料になります。法定福利費の計算方法は建設業の法定福利費は何パーセント?で詳しく解説しています。

低すぎる労務費の見積りは禁止。見積期間にも決まりがある

改正法では、通常必要と認められる労務費などを著しく下回る見積書を出すことも禁止されました(建設業法第20条)。受注したい一心で労務費を削った見積は、法令上のリスクにもなったわけです。「労務費に関する基準」は2025年12月に中央建設業審議会から勧告され、職種分野ごとの基準値は2026年にも追加・更新されています。自社の職種分野の最新の基準値は、国土交通省「労務費に関する基準」ポータルで確認してください。

もう1つ、請ける側として知っておきたいのが見積期間です。同ガイドラインでは、元請負人は工事1件の予定価格に応じて、下請負人が見積りをするための期間を設けなければならないとしています。

工事1件の予定価格見積期間
500万円未満1日以上
500万円以上5,000万円未満10日以上(やむを得ない事情があれば5日以内に限り短縮可)
5,000万円以上15日以上(同上)

たとえば6月1日に工事内容を示された500万円未満の工事なら、契約は6月3日以降です(下請側が期間満了を待たずに見積書を出した場合を除く)。ガイドラインは、追加工事の見積依頼でもこの期間が必要だと明記しています。

見積を依頼する際は、工事名称・施工場所・設計図書(数量を含む)・責任施工範囲・工程・施工条件などを、口頭ではなく書面やメールで示すべきだともしています。「とりあえず今日中に概算で」と頼まれても、条件があいまいなら書面での提示をお願いして構いません。

材料費と労務費を分けた見積書を毎回Excelで組み直していると、過去の単価を探すだけで時間が過ぎていきます。似た配管工事の見積書を複製して作り、そのまま請求書や工事ごとの原価・粗利の確認までつなげられるのが工事管理システムuconnectです(30日間無料・初期費用0円)。

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見積書から契約・発注へ進むときの確認事項

店舗の厨房で床をはつって開口し、腐食した既設の排水管を懐中電灯で確認する作業員の手元

こんな場面を考えてみてください。店舗の給排水改修で見積書を出し、電話で「じゃあそれでお願い」と言われて着工した。床を開けると既設の排水管が想定以上に傷んでいて、交換範囲が倍に増えた。追加分を請求したら「見積に入っていると思っていた」と返された。

金額の問題に見えて、実際の原因は見積書を出したあとの手順にあります。見積書は「この条件ならこの金額で請けます」という提案です。相手が承諾すれば口頭でも請負契約が成立し得ますが、条件の認識が一致しているとは限らず、建設業法上必要な契約内容の記録と相互交付も済みません。

契約内容は書面または電子契約で残す

建設業法第19条は、建設工事の請負契約について、工事内容・請負代金の額・工期・支払の時期と方法などを書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付するよう定めています(出典:e-Gov法令検索「建設業法」)。当事者双方が承諾すれば、法定事項を記録した電子契約も利用できます。小さな工事でも、契約書などで契約内容を残してください。注文書と注文請書を使う場合は、基本契約書を交わした上で必要事項を分担して記載するか、双方に同一内容の契約約款を添付するなど、建設業法令遵守ガイドラインが示す要件を満たす必要があります。注文請書は金額によって印紙が必要になるので、判定は注文請書の印紙金額早見表で確認できます。

見積条件に「前提」と「保証」を書いておく

冒頭の場面で追加請求が通らなかったのは、「既設管は再利用する前提」「既設管の劣化による交換は別途」という条件が見積に書かれていなかったからです。改修工事の見積条件書には、少なくとも次の項目を入れておきましょう。

  • 有効期限(例:提出日から30日。材料価格が動きやすい時期は短めに)
  • 支払条件(締め日・支払日、前払いや出来高払いの有無)
  • 前提条件(既設管を再利用する範囲、天井や床を開口できるか、断水できる時間帯)
  • 別途工事(衛生器具や給湯器などの機器本体、内装の復旧、水道局の手数料)
  • 保証とアフター対応(漏水を無償で直す期間と範囲、試験記録の提出の有無)

保証は「引き渡し後1年間、当社施工箇所からの漏水は無償で手直し」のように、期間と範囲をセットで書くのがポイントです。範囲を書かずにおくと、既設部分の漏水でも呼び出されることがあります。

追加工事は着工前に書面で合意する

工事の途中で範囲が変わったら、着工前に変更内容を書面にするのが原則です。先のガイドラインも、追加工事などに伴う契約変更は、災害時などやむを得ない場合を除き、着工前に書面で行う必要があるとしています。

その場で数量が決まらないときの方法も示されています。①追加で施工する具体的な作業内容、②それが契約変更の対象になることと変更の時期、③契約単価、の3点を書いた書面を先に取り交わし、数量が固まった時点で遅滞なく変更契約を結ぶ、というやり方です。配管の交換範囲は床を開けるまで分からないことが多いので、「既設管交換が発生した場合は○○円/mで精算」と単価だけ先に決めておく方法は、配管工事と相性がよい手です。

見積書のPDFは電子データのまま保存する

見積書をメールやクラウドでやり取りした場合、そのデータは電子帳簿保存法の「電子取引」にあたり、原則として電子データのまま保存する必要があります。国税庁も、保存対象となる取引情報として注文書・契約書・領収書などと並べて見積書を挙げています(出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」)。出した見積書と受け取った注文書を工事ごとに同じ場所へまとめておけば、あとで追加工事の経緯を確認するときにも役立ちます。

配管工事の見積書の記入例

小規模な店舗改修の配管見積を給水・排水・付帯・経費の4区分に分け、直接工事費のうち労務費が約8割を占める内訳例

ここまでの内容を、小規模な店舗改修(厨房とトイレの給排水配管のやり替え)の見積書に落とし込むと、内訳は次のようになります。単価はすべて説明用の仮の数字で、実際には地域や仕入れ値によって変わります。

区分項目数量単位材料費単価労務費単価金額
給水HIVP 20 屋内配管(継手・支持金物含む)18m6501,90045,900
給水HIVP 13 屋内配管(継手・支持金物含む)12m4801,70026,160
給水給水管保温(結露防止)30m35060028,500
排水VP 50 屋内配管(継手・支持金物含む)15m8203,00057,300
排水VP 75 屋内配管(継手・支持金物含む)8m1,2503,60038,800
排水掃除口2箇所3,5004,00015,000
付帯既設配管撤去25m01,20030,000
付帯既設管接続(給水1・排水2)3箇所2,5008,00031,500
付帯床開口・モルタル復旧3m1,8006,50024,900
付帯試験(給水水圧・排水満水・通水)2系統012,50025,000
小計直接工事費(材料費70,160/労務費252,900)323,060
経費発生材運搬・処分1回15,000
経費法定福利費(事業主負担分):労務費×15%(仮)37,935
経費諸経費:上記合計375,995×10%(仮)37,600
合計見積金額(税抜)413,595
消費税(10%)41,359
見積金額(税込)454,954

見積条件書には、たとえば次のように書きます。

  • 工事範囲:厨房・トイレの給排水配管(メーター二次側から各器具の接続まで)
  • 別途工事:衛生器具・給湯器の本体、内装・床仕上げの復旧、水道局への申請手数料等(実費)
  • 作業日数:配管3日、試験・手直し1日(営業時間外の作業は含まない)
  • 有効期限:見積提出日から30日
  • 支払条件:月末締め翌月末払い
  • 保証:引き渡し後1年間、当社施工箇所からの漏水は無償で手直し

この例で注目してほしいのは、労務費が直接工事費の約8割を占めていることです。改修の小さな配管工事では、材料の値引きより手間の読み違いのほうが利益に響きます。撤去・接続・開口・試験を別の行に出しておけば、値引きを求められたときも「どの作業を減らせば下げられるか」という話に持ち込めます。

法定福利費の率や諸経費率は自社の実績から決めるものなので、ここでは仮の数字にしています。円未満の端数は、諸経費を四捨五入、消費税を切り捨てで処理しました。また、この例では安全衛生経費と建設業退職金共済掛金を諸経費に含めました。元請から請ける工事なら、先ほどの6項目にそろえて別の行に分けておくと、元請側も内訳を確認しやすくなります。

利益をどう乗せるかの考え方は見積金額の決め方と計算方法を参考にしてください。

見積で積んだ原価を、工事後の粗利まで追いかけるには

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継手の比率や付帯作業まで積み上げて、ようやく根拠のある配管工事の見積書ができあがります。ところが、その見積書がExcelの中で止まったまま、実際にかかった材料費や外注費と突き合わせずに次の現場へ移ってしまう、という流れになりがちです。これでは、見積のどこが甘かったのかが次の見積に生かされません。

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まとめ

配管工事の見積書で利益を残すためのポイントを振り返ります。

  • 材料費は直管の長さだけでなく、継手・接合材・支持金物を管単価に対する比率で上乗せする(公共建築の基準ではSGP-PA屋内一般の継手が管単価×0.75、VP排水は×0.20)
  • 試験・保温・撤去・既設接続・夜間作業は、単価に含めるか別の行にするかを決めて明記する
  • 改正建設業法を踏まえ、材料費・労務費・法定福利費・作業日数などを内訳として示す
  • 見積を出したあとは書面で契約し、前提条件と保証範囲を見積条件書に残す。追加工事は着工前に書面で合意する

まずは直近の配管工事の見積書を1件開いて、継手費が管材費の何割になっているかを計算してみてください。自社の見積のクセが、数字ではっきり見えてきます。

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