決算を前に未成工事支出金の残高を集計しようとして、「この費用はどの工事の分だったか」と伝票をさかのぼった経験はありませんか。工期が数か月から数年に及ぶ建設業では、費用を支払うタイミングと売上を計上するタイミングがずれます。この期ズレを正しく処理するための勘定科目が、未成工事支出金です。
この記事では、未成工事支出金の意味と、対になる未成工事受入金との違いから、含まれる費用・仕訳例・決算や消費税の扱い・工事別の管理方法までを、小規模・中規模の建設会社の実務目線で整理します。仕訳の具体例を交えながら、「決算で残高が合わない」「税務調査で指摘される」といったつまずきを避けるポイントまで押さえていきます。
未成工事支出金とは?意味と建設業会計での位置づけ

未成工事支出金は、まだ完成・引き渡しが済んでいない工事のために発生し、完成工事原価に計上していない原価を、資産として計上しておくための勘定科目です。一般的な製造業でいう「仕掛品」にあたり、建設業ではこの専用の科目を使います。
なぜわざわざ資産に計上するのか。ポイントは、費用と売上を同じタイミングで対応させる考え方(費用収益対応の原則)にあります。工事が未完成のうちに材料費や外注費を経費として落としてしまうと、売上がまだ立っていない期に費用だけが先行し、利益がゆがんで見えてしまいます。そこで完成までは費用を資産として繰り越し、引き渡した期に一気に原価へ振り替えるわけです。
未成工事支出金の定義
未成工事支出金とは、決算日までに完成・引き渡しが済んでいない工事について発生し、まだ完成工事原価に計上していない工事原価を指します。材料費・労務費・外注費・経費といった工事原価の4要素がこの科目に集められます。一定の期間にわたり収益を認識する工事では、進捗に応じてすでに完成工事原価へ計上した部分は未成工事支出金に含めません。
貸借対照表では「流動資産」に区分されます。まだ費用(損益計算書の完成工事原価)にはなっておらず、工事が完成して初めて費用へと姿を変える、いわば原価の待機場所と考えると分かりやすいでしょう。
未成工事受入金との違い
未成工事支出金と名前が似ていて混同しやすいのが、未成工事受入金です。この2つは、対になる正反対の勘定科目です。
- 未成工事支出金:完成前の工事で発生した原価 → 資産(借方)
- 未成工事受入金:完成前の工事で「受け取った」お金(着手金・前受金)→ 負債(貸方)
工事完成基準を採用している場合、着手金や中間金として先に受け取った代金は、工事が完成・引き渡されるまでは売上に計上しません。そのため、いったん未成工事受入金という負債で預かっておき、完成・引き渡し時に完成工事高へ振り替えます。未完成工事の原価は資産、前受けした代金は負債、と覚えておくと取り違えを防げます。
なぜ建設業に特有の科目なのか
建設業会計には、一般的な会計とは異なる専用の勘定科目が数多くあります。工期が長く、1件あたりの金額が大きい業種特性に合わせて、工事ごとの損益を正確に測るための仕組みです。主な対応関係を整理しておきます。
| 一般会計 | 建設業会計 |
|---|---|
| 売上高 | 完成工事高 |
| 売上原価 | 完成工事原価 |
| 仕掛品 | 未成工事支出金 |
| 売掛金 | 完成工事未収入金 |
| 買掛金 | 工事未払金 |
| 前受金 | 未成工事受入金 |
この対応表を手元に置いておくと、仕訳の際に「一般会計でいう何にあたるか」がすぐ分かります。未成工事支出金は、このうち「仕掛品」に対応する科目だと押さえておきましょう。
未成工事支出金に含まれる費用と仕訳例

未成工事支出金に集計するのは、完成前の工事にかかった工事原価のうち、まだ完成工事原価に計上していない部分です。工事原価は次の4つに分類され、これは完成後に振り替わる完成工事原価の内訳とも一致します。
| 費目 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 材料費 | 工事に直接使う資材の費用 | コンクリート・鉄筋・木材・配管 |
| 労務費 | 工事に従事した直接雇用の作業員の賃金等 | 賃金・給与・手当 |
| 外注費 | 協力会社・専門業者への支払い | 型枠工事・電気工事の委託費 |
| 経費 | 上記以外の工事関連費用 | 仮設費・重機リース・現場の水道光熱費・法定福利費 |
各費用の詳しい区分は工事原価とはの記事でも解説しています。ここで大切なのは、工事完成基準では、これらの費用が発生した時点では損益計算書の完成工事原価にせず、いったん未成工事支出金という資産科目でまとめて受け止めるという流れです。
費用が発生したときの仕訳
たとえば、請負金額1,000万円の工事Aについて、期中に次のような支出があったとします。材料・外注ともに掛け(後払い)で処理する例です。
材料費40万円を仕入れたとき。
“` (借方)未成工事支出金 400,000 (貸方)工事未払金 400,000 “`
協力会社への外注費30万円が発生したとき。
“` (借方)未成工事支出金 300,000 (貸方)工事未払金 300,000 “`
このように、工事Aにひもづく費用はすべて未成工事支出金の借方に積み上げていきます。労務費・経費も同じ要領です。工事が完成するまでは、この科目の残高が「その工事にこれまでいくらかかったか」を表す形になります。
着手金を受け取ったときの仕訳
工事Aの着手金として、先に300万円を受け取ったケースも見ておきます。ここでは工事完成基準を前提としているため、受領時点では売上(完成工事高)に計上しません。
“` (借方)現金預金 3,000,000 (貸方)未成工事受入金 3,000,000 “`
受け取ったお金を未成工事受入金という負債で預かる、という点が建設業らしい処理です。この段階では、工事Aは「未完成分の原価(未成工事支出金)」と「前受け(未成工事受入金)」の両方を抱えている状態になります。
工事ごとに発生する材料費・外注費・労務費・経費を、その場で工事別に自動集計します。未成工事支出金の元になる工事別原価をリアルタイムで見える化できるのが工事管理システムuconnectです(シリーズ累計3,000社突破)。
工事開始から完成までの仕訳の流れ

未成工事支出金がもっとも威力を発揮するのは、工事が決算期をまたぐときです。ここでは工事Aが期をまたいで完成する流れを、時系列で追いかけてみます。
いつ売上を計上するか(工事完成基準と工事進行基準)
売上(完成工事高)をどの時点で計上するかについて、従来の工事契約会計では大きく2つの考え方が使われてきました。
- 工事完成基準:工事が完成し、引き渡した時点で売上と原価をまとめて計上する
- 工事進行基準:工事の進捗度に応じて、期ごとに売上と原価を分けて計上する
なお、2021年4月1日以後に開始する事業年度から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)が本適用され、上場会社や会社法上の大会社など、企業会計基準を適用する会社では対応が必要になりました。従来の「工事契約に関する会計基準」は廃止され、現在の会計基準では「工事完成基準」「工事進行基準」という区分ではなく、履行義務が「一定の期間にわたり充足される」か「一時点で充足される」かを判定して収益を認識します。
一方、会社法上の大会社等に該当しない非上場の中小企業は、企業会計基準第29号の適用が一律に強制されるわけではなく、「中小企業の会計に関する基本要領」などに基づく会計処理も選択できます。実務では、税務を意識して工事完成基準で処理する中小建設業も多くあります。ただし、法人税法上の「長期大規模工事」に該当する場合は工事進行基準による計算が必要であり、すべての中小企業・工事に工事完成基準を適用できるわけではありません。ここでは工事完成基準を適用できる工事を前提に説明します。それぞれの詳細は工事完成基準と工事進行基準の記事も参考にしてください。
完成・引き渡し時の振替
工事Aが翌期に完成し、引き渡したとします。ここで初めて、これまで資産としてためてきた未成工事支出金を、費用である完成工事原価へ振り替えます。あわせて売上と、預かっていた着手金の充当も処理します。
期中の材料費40万円・外注費30万円に、その後発生した労務費や経費も加わり、完成までに工事Aの原価が合計900万円まで積み上がったとします。この資産として繰り越してきた工事原価を、費用へ振り替える仕訳です。
“` (借方)完成工事原価 9,000,000 (貸方)未成工事支出金 9,000,000 “`
売上1,000万円を計上し、先に受け取った着手金300万円を充当、残り700万円を後日回収する仕訳。
“` (借方)未成工事受入金 3,000,000 (貸方)完成工事高 10,000,000 (借方)完成工事未収入金 7,000,000 “`
この振替によって、未成工事支出金と未成工事受入金の残高はゼロになり、工事Aの売上(1,000万円)と原価(900万円)が同じ期に対応します。粗利100万円が正しく1つの期に表れる、これが未成工事支出金を使う最大の意味です。
決算時の取り扱いと税務の注意点

決算では、未成工事支出金の扱い方しだいで利益額が変わります。集計の正確さがそのまま決算の正確さに直結するため、期末の処理はとくに慎重に進めたいところです。
決算日に未完成の工事はどうするか
決算日時点で完成していない工事にかかった原価は、費用にはせず、未成工事支出金として資産に残したまま翌期へ繰り越します。逆にいえば、完成していない工事の材料費や外注費をうっかり当期の費用に落としてしまうと、費用が過大になり利益が実際より小さく計上されてしまいます。
- 決算日までに完成・引き渡し済みの工事原価 → 完成工事原価(費用)
- 決算日時点で未完成の工事原価 → 未成工事支出金(資産として繰り越し)
工事ごとにこの線引きを正しく行うには、どの費用がどの工事のものかを日々ひもづけておく運用が前提になります。決算間際にまとめて仕分けようとすると、伝票をさかのぼる手間で残高が合わなくなりがちです。
消費税の仕入税額控除はいつ受けるか
意外と間違えやすいのが、消費税の扱いです。未成工事支出金として資産に計上していても、消費税の仕入税額控除は、原則としてその課税仕入れを行った日の属する課税期間で受けます。国税庁も、資産の引渡しを受けた日や下請外注先が役務の提供を完了した日の属する課税期間で控除する、と示しています(出典:国税庁タックスアンサー No.6487 未成工事支出金の仕入税額控除の時期)。
つまり「工事が完成した期にまとめて控除する」わけではない点に注意が必要です。ただし例外として、未成工事支出金として経理した課税仕入れを、工事の目的物を引き渡した日の属する課税期間の仕入れとして処理している場合は、継続適用を条件にその方法も認められています。自社がどちらで処理しているかを、経理担当と顧問税理士で一度そろえておくと安心です。
税務調査で指摘されやすいポイント
未成工事支出金は、期末残高しだいで利益を調整できてしまう科目のため、税務調査でも着目されやすい部分です。とくに次のような点が指摘の対象になりがちです。
- 完成・引き渡しが済んでいる工事の原価が、未成工事支出金に残ったままになっている(原価の繰り延べで利益が過大になっていないか)
- 逆に、未完成なのに費用へ落としてしまっている(本来は資産計上すべき原価の前倒し計上)
- 工事の完成・引き渡し日の判定が実態とずれている
いずれも、工事ごとの原価と進捗を正確に把握できていれば防げるものです。証憑(請求書・納品書・引き渡し書類)を工事単位で整理し、いつ完成したかを裏づけられる状態にしておきましょう。
決算前にまとめて集計しなくても、工事別の原価がふだんから見えていれば、未成工事支出金の残高もすぐに確認できます。工事台帳の自動作成で経理の手間を減らせるのが工事管理システムuconnectです(継続率98.9%)。
未成工事支出金の管理方法

未成工事支出金を正しく計上できるかどうかは、日々の原価をどれだけ工事別に管理できているかにかかっています。ここが曖昧なままだと、決算で残高が合わず、利益も読めません。
補助科目・工事台帳で工事別に管理する
未成工事支出金を1つの科目でどんぶり勘定にしてしまうと、「今どの工事にいくらかかっているか」が見えなくなります。そこで有効なのが、工事ごとに補助科目を設定して費用をひもづける方法です。工事A・工事B…と補助科目を分けておけば、未成工事支出金の残高を工事別に分解できます。
この工事別の原価集計を担うのが工事台帳です。工事台帳に発生原価をその都度記録しておけば、決算時にも「未完成の工事はどれで、残高はいくらか」がすぐに分かります。工事台帳に記録する請負契約や原価の情報は、建設業法が求める帳簿の記載事項とも重なるため、整備しておいて損はありません。
会計ソフト・原価管理システムを活用する
工事の件数が増えてくると、Excelや手作業での工事別集計には限界が出てきます。入力の二度手間や転記ミス、更新の遅れが、そのまま未成工事支出金の集計ミスにつながります。
そこで、建設業会計に対応した会計ソフトや、工事別の原価をリアルタイムで集計できる原価管理システムの出番です。現場で発生した費用がその場で工事別に積み上がる仕組みがあれば、決算を待たずに各工事の未成工事支出金の残高を把握できます。会計ソフトが仕訳・記帳を担い、原価管理システムが工事別原価の見える化を担う、という役割分担で整理すると導入のイメージがつかめます。
よくあるミスとその防止策

未成工事支出金でつまずくパターンは、だいたい決まっています。あらかじめ知っておくだけで、決算前の慌ただしさをかなり減らせます。
計上漏れ・原価の付け替え
ありがちなのが、ある工事で使った費用をうっかり別の工事に付けてしまうケースです。工事Aの材料を工事Bの原価として入力してしまうと、両方の工事の粗利が実態とずれ、未成工事支出金の内訳も狂います。
- 費用が発生したら、その場で工事番号(工事名)を必ずひもづける
- 現場で共通して使う仮設材や重機は、按分ルールをあらかじめ決めておく
- 月次で工事別の原価残高を確認し、異常な数字がないかチェックする
「あとでまとめて仕分けよう」と後回しにするほど、どの工事の費用だったか分からなくなります。発生の都度ひもづける習慣が、いちばんの防止策です。
費用計上・振替のタイミングのミス
もう1つ多いのが、完成のタイミングと振替のタイミングがずれるミスです。工事が完成・引き渡し済みなのに未成工事支出金に残したままだったり、逆にまだ完成していないのに完成工事原価へ振り替えてしまったりすると、その期の利益が正しく計算されません。
引き渡し日を基準に、完成した工事は速やかに完成工事原価へ振り替える。この運用を徹底するだけで、決算時の混乱は大きく減ります。引き渡し書類の日付と会計処理の日付をそろえておくと、税務調査でも説明がしやすくなります。
未成工事支出金を正しく管理するメリット

未成工事支出金の管理は、決算のためだけの作業ではありません。工事別の原価を正確につかむことは、そのまま経営判断の材料になります。
工事別の採算がリアルタイムで見える
工事別に未成工事支出金を管理できていれば、完成を待たずに「この工事は予算に対して原価がかかりすぎている」と気づけます。赤字になりそうな現場を施工中に発見できれば、追加原価の抑制や施主との協議など、まだ打てる手があります。
たとえば請負金額1,000万円の工事で、完成前の段階ですでに未成工事支出金が950万円まで積み上がっていれば、その時点で残る粗利の余地は最大でも50万円です。さらに完成までの追加原価が発生するため、最終的な粗利は50万円を下回る可能性があります。この気づきが早いほど、対策の選択肢は多く残ります。工事別の採算の見方は建設業の粗利を扱った記事もあわせて確認してみてください。
資金繰りの把握とリソースの最適化
未成工事支出金は、まだ完成工事原価へ振り替えていない投入原価を表します。この残高が大きい工事では、着手金・中間金などの入金状況によっては、完成・入金までの立て替え負担も大きくなります。未成工事受入金や実際の入出金とあわせて工事別に把握すると、どの工事にどれだけ資金が投じられているかが見え、資金繰りの計画も立てやすくなります。
複数の工事が同時に動く時期ほど、この見える化の効果は大きくなります。人員や重機をどの現場に振り向けるかといった判断も、工事別の原価データがあってこそ精度が上がります。
未成工事支出金に関するよくある質問
未成工事支出金と仕掛品・建設仮勘定はどう違いますか?
いずれも「完成前の資産」という点は共通しますが、使う場面が異なります。仕掛品は製造業などで使う一般的な科目で、建設業ではその代わりに未成工事支出金を使います。建設仮勘定は、自社で使うための建物や設備を建設している途中の支出を計上する科目で、こちらは「他社から受注した工事」ではなく「自社の固定資産」を作るときに使う点が決定的に違います。受注工事の原価は未成工事支出金、自社の設備投資は建設仮勘定、と整理すると混同しません。
未成工事支出金に労務費や自社経費も含めてよいですか?
はい。その工事のために発生した材料費・労務費・外注費・経費は、すべて未成工事支出金に集計します。自社の作業員の人件費(労務費)や、現場で発生した仮設費・水道光熱費などの経費も対象です。ただし、特定の工事にひもづかない本社の一般管理費は含めません。
未成工事支出金が多いと税金は増えますか?
未成工事支出金は資産であり、費用ではありません。そのため、本来は完成している工事の原価を未成工事支出金に残したままにすると、費用が少なくなり、その期の利益と税額が増える方向に働きます。逆に、正しく完成工事原価へ振り替えれば、売上と原価が対応し、適正な利益で課税されます。残高を意図的に操作するのではなく、実態どおりに処理することが大切です。
工事別の原価をリアルタイムで見える化するには

未成工事支出金を正しく計上するには、日々の費用を工事ごとにひもづけて集計しておく必要があります。とはいえ、Excelや手作業で工事別に原価を積み上げていくと、二重入力や転記ミス、更新の遅れが起きやすくなります。
この工事別の原価集計を自動化できるのが、工事管理システム「uconnect」です。現場で発生した売上・原価がその場で工事ごとに積み上がり、工事別の粗利をリアルタイムで確認できます。uconnectは会計ソフトそのものではなく、未成工事支出金の元になる工事別原価を見える化する役割を担い、仕訳・記帳は弥生会計・freee・マネーフォワードクラウドなどの会計ソフトへ連携する形です。管理会計(工事別の採算)と財務会計(仕訳)をつなぐイメージで捉えると、導入の位置づけがはっきりします。
- 工事別の売上・原価・粗利をリアルタイムに自動集計。未成工事支出金の元になる工事別原価を把握しやすくなる
- 工事台帳を自動で作成し、Excelの二重入力や集計ミスを減らせる
- 部門別・担当者別の粗利分析で、赤字になりそうな工事を早い段階で見つけられる
- 弥生・freee・マネーフォワードクラウド会計と連携し、管理会計から仕訳へスムーズに橋渡しできる
初期費用は無料、月額7,920円(税込)からで、30日間の無料トライアルも用意されています。契約期間の縛りもないため、まずは1つの工事から試してみることもできます。導入前に、自社の業務フローに合うかどうかのマッチ度を確かめられるチェックも受けられます。
まとめ
未成工事支出金は、完成前の工事にかかった原価をいったん資産として計上する、建設業ならではの勘定科目です。工事完成基準では、完成・引き渡しの期に完成工事原価へ振り替えることで売上と原価のタイミングをそろえ、工事ごとの正しい利益を測る土台になります。
最後に、実務で押さえておきたいポイントを整理します。
- 未成工事支出金は資産、対になる未成工事受入金は負債。未完成分の原価は資産・前受代金は負債と覚える
- 完成・引き渡し時に、未成工事支出金を完成工事原価へ振り替える
- 消費税の仕入税額控除は、原則として課税仕入れを行った日の課税期間で受ける(国税庁No.6487)
- 決算での残高を正しく出すには、費用を発生の都度、工事別にひもづける運用が前提
- 工事別の原価が見えれば、赤字工事の早期発見や資金繰りの把握にもつながる
まずは、いま動いている工事の原価を工事別に記録するところから始めてみてください。工事台帳や原価管理の仕組みを整えるほど、決算時の集計も、日々の経営判断も、確実に楽になります。
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