経営スピードをアップする 粗利管理クラウドソフト「uconnect」

法定福利費とは?内訳・計算方法と建設業の見積書記載を解説

法定福利費の計算方法と見積書への記載を解説する記事のアイキャッチ

従業員に支払う給与とは別に、会社は健康保険や厚生年金などの法定福利費を負担しています。令和8年度の全国平均料率で試算すると、40歳未満の従業員では労災保険を除いて標準報酬・賃金の約15.6%、介護保険の対象者では約16.4%が目安です。実際の負担率には、業種別の労災保険率などがさらに加わります。

とくに建設業では、2025年12月12日に全面施行された改正建設業法により、法定福利費などの内訳を記載した見積書を作成することが努力義務となりました。また、公共工事の入札では、改正入契法により入札金額の内訳書への記載が義務づけられています。制度を正しく理解しておく必要性は、これまで以上に高まっています。

この記事では、法定福利費の定義と福利厚生費との違い、含まれる保険の種類、令和8年度(2026年度)の料率にもとづく計算方法、会計処理の仕訳、そして建設業ならではの見積書への内訳明示ルールまでを、受注者側の実務目線で整理しました。読み終えるころには、自社の法定福利費を正確に把握し、見積や原価管理に活かす手順が見えてくるはずです。

法定福利費とは?福利厚生費・法定外福利費との違い

法定福利費(法律で義務)と福利厚生費(任意)を左右で対比した比較図

工事の見積や毎月の給与計算で当たり前のように出てくる「法定福利費」。名前は知っていても、「どこまでが法定福利費で、福利厚生費と何が違うのか」を正確に説明できる人は意外と多くありません。まずは定義と、混同しやすい福利厚生費との違いから整理します。

法定福利費の基本的な定義

法定福利費とは、法律で企業に負担が義務づけられている社会保険料・労働保険料の事業主負担分を指します。従業員が病気・けが・失業・老後といった生活上のリスクに備えられるよう、国の制度として企業が費用を負担する仕組みです。

具体的には、健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険、そして子ども・子育て拠出金などが含まれます。いずれも加入や負担が法律で定められており、企業の裁量で「払わない」という選択はできません。ここが、あとで説明する福利厚生費との決定的な違いです。

社会保険料の多くは会社と従業員が半分ずつ負担する「労使折半」ですが、労災保険料と子ども・子育て拠出金のように事業主が全額を負担するものもあります。「法定福利費」という言葉が指すのは、このうち会社側が負担する部分だと押さえておくと、経理でも見積でも迷いません。

法定福利費と福利厚生費(法定外福利費)の違い

法定福利費とよく似た言葉に「福利厚生費(法定外福利費)」があります。両者は勘定科目としても分けて扱うのが原則で、性質がまったく異なります。

福利厚生費(法定外福利費)は、企業が任意で従業員に提供する福利厚生にかかる費用です。任意の人間ドック補助、社員旅行、慶弔見舞金、社宅の補助などが代表例で、内容も金額も会社が自由に決められます。なお、労働安全衛生法にもとづく定期健康診断などは事業者の義務であり、「任意の福利厚生」には当たりません。

両者の違いを整理すると次のようになります。

項目法定福利費福利厚生費(法定外福利費)
位置づけ法律で義務企業が任意で提供
主な内容健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険など任意の人間ドック補助・社員旅行・慶弔見舞金など
金額法律で決まった料率で計算会社が自由に設定
負担者会社と従業員(一部は会社全額)主に会社

見積書や決算書でこの2つを混同すると、原価の内訳が不正確になり、あとで説明する建設業の見積ルールにも影響します。「義務か、任意か」で線を引くのが、いちばんシンプルな見分け方です。

法定福利費に含まれる保険の種類と内訳

健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険・労災保険・子ども子育て拠出金の6種類をアイコン付きで並べた一覧図

法定福利費は一つの費目ではなく、複数の保険料の集合体です。それぞれ目的も負担割合も違うため、まずは全体像を一覧で押さえてから、個別に見ていきましょう。

以下は、令和8年度(2026年度)の協会けんぽ加入・建設業を前提とした、おもな法定福利費の一覧です。

保険の種類料率(令和8年度)負担
健康保険全国平均9.90%労使折半
介護保険(40〜64歳)1.62%労使折半
厚生年金保険18.3%労使折半
子ども・子育て拠出金0.36%事業主が全額
子ども・子育て支援金0.23%労使折半
雇用保険(建設の事業)16.5/1000(1.65%)労使で負担割合が異なる
労災保険業種ごとに設定事業主が全額

(出典:全国健康保険協会「令和8年度保険料率」ほか)

健康保険・介護保険

健康保険は、業務外の病気やけがで医療を受けるときの自己負担を軽くする制度です。協会けんぽの場合、令和8年度の保険料率は全国平均で9.90%、これを会社と従業員が折半します。料率は都道府県ごとに異なり、令和8年度は新潟県の9.21%から佐賀県の10.55%まで幅があります(出典:全国健康保険協会「令和8年度保険料率」)。自社の所在地の料率を確認するのが第一歩です。

介護保険は、40歳から64歳までの従業員が対象になります。令和8年度の介護保険料率は全国一律で1.62%、これも労使折半です。法律上は誕生日の前日に年齢へ到達するため、40歳の誕生日の前日が属する月から介護保険料がかかります。誕生日が月の1日の場合は前月から対象になる点に注意してください。

厚生年金保険

厚生年金保険は、老後の年金だけでなく、障害を負ったときの障害年金、亡くなったときの遺族年金の原資にもなる制度です。保険料率は18.3%で固定されており、労使で折半します(各9.15%)。この18.3%は平成29年9月以降変わっておらず、当面は据え置かれる見込みです(出典:日本年金機構「保険料額表」)。

料率だけ見ると健康保険より高く、法定福利費のなかで最も大きな比重を占めるのが厚生年金です。

雇用保険・労災保険(労働保険)

雇用保険と労災保険は、あわせて「労働保険」と呼ばれます。建設業はこの2つを分けて申告する「二元適用事業」にあたり、一般の事業(一元適用)とは手続きが異なる点が特徴です。

雇用保険は、失業したときの給付や育児休業給付などの財源になります。建設業の料率は一般の事業より高く設定されており、令和8年度は16.5/1000(1.65%)です。内訳は労働者負担が6/1000、事業主負担が10.5/1000で、事業主のほうが多く負担します(出典:厚生労働省「令和8年度の雇用保険料率」)。ちなみに一般の事業は13.5/1000(1.35%)なので、建設業は約0.3ポイント高い計算です。

労災保険は、仕事中や通勤中のけが・病気を補償する制度で、保険料は全額を事業主が負担します。料率は事業の種類ごとに決まっており、建設業では工事の種類別に定められています。建設工事の場合は現場で働く人が入れ替わるため、賃金総額を直接把握しにくいこともあり、「請負金額 × 労務費率」で賃金総額を算定する特例が設けられています。労務費率は工事の種類ごとに決まっており、たとえば建築事業は23%、道路新設事業は19%、舗装工事業は17%です(出典:厚生労働省「令和8年度の労災保険率について」)。

子ども・子育て拠出金と子ども・子育て支援金

名前がよく似ていて混同しやすいのが、この2つです。役割も負担も違うので、分けて理解しておきましょう。

子ども・子育て拠出金は、児童手当などの財源にあてられるもので、厚生年金の保険料と一緒に納めます。令和8年度の料率は0.36%で、全額を事業主が負担します。従業員の給与から天引きするものではありません。

一方、子ども・子育て支援金は令和8年(2026年)4月に新しく始まった制度です。少子化対策の財源として、健康保険料と一緒に徴収されます。令和8年度の料率は0.23%で、こちらは労使折半(それぞれ0.115%)です(出典:全国健康保険協会「令和8年度保険料率」)。2026年度から会社の負担がわずかに増えた形なので、給与計算のシステム設定を見直していない場合は確認しておきましょう。

健康保険や厚生年金といった法定福利費は、現場で働く従業員の労務費に伴って発生し、工事原価の一部として積み上がっていきます。こうした原価を工事別に集計し、粗利をリアルタイムで把握できるのが工事管理システムuconnectです(シリーズ累計3,000社突破)。

機能と価格を見る →

法定福利費の計算方法と負担割合

標準報酬月額×保険料率で保険料を求め、会社と従業員が折半する計算の仕組み図

種類がわかったところで、実際にいくらになるのかを計算してみます。ポイントは「何に料率を掛けるか」と「会社と従業員でどう分けるか」の2つです。

標準報酬月額をもとにした計算式

社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金)は、毎月の給与そのものではなく「標準報酬月額」に料率を掛けて計算します。標準報酬月額とは、給与を一定の幅で区切った等級ごとの金額のことで、原則として毎年4〜6月の給与をもとに決まります。賞与については「標準賞与額」に料率を掛けます。

基本の計算式はシンプルです。

  • 社会保険料 = 標準報酬月額 × 保険料率
  • 事業主負担分 = 社会保険料 × 1/2(労使折半の保険の場合)

雇用保険と労災保険だけは、標準報酬月額ではなく実際に支払った賃金総額に料率を掛けて計算します。ここが社会保険と違うので注意してください。

従業員負担と事業主負担の内訳

健康保険は全国平均9.90%で計算しています。なお雇用保険は本来、標準報酬月額ではなく実際の賃金総額に料率を掛けますが、ここでは便宜上、月額30万円をそのまま用いています。

保険事業主負担率月あたり事業主負担
健康保険4.95%14,850円
厚生年金9.15%27,450円
子ども・子育て拠出金0.36%1,080円
子ども・子育て支援金0.115%345円
雇用保険(建設の事業)1.05%3,150円
合計(労災を除く)15.625%46,875円

40歳以上なら介護保険(事業主負担0.81%)が加わり、労災保険料も業種別の料率に応じて全額会社負担で上乗せされます。したがって、全国平均を使った目安は、40歳未満で労災保険を除き約15.6%、介護保険の対象者で約16.4%です。労災保険率や実際の健康保険料率によって総負担は変わるため、一律に「16〜17%」とは限りません。この負担は、後述する見積や工事原価の考え方にも直結します。

保険料率は毎年見直される

法定福利費でつまずきやすいのが、料率が毎年見直される点です。厚生年金の18.3%のように固定されているものもありますが、健康保険・介護保険・雇用保険の料率は年度ごとに改定されます。

令和8年度も、協会けんぽの健康保険料率が全国平均で前年度の10.00%から9.90%へ引き下げられ、介護保険料率は1.62%へ引き上げられました。さらに前述の子ども・子育て支援金が新設されています。古い料率のまま計算していると、納付額がずれてトラブルの原因になります。協会けんぽや厚生労働省の公式サイトで、毎年3〜4月に最新の料率を確認する習慣をつけておくと安心です。

法定福利費の会計処理と仕訳

給与支給時に従業員負担分を預り金、納付時に会社負担分を法定福利費に計上する仕訳の流れ図

「計算はできたが、帳簿にどう載せればいいのか分からない」という声も多い部分です。給与から天引きするタイミングと、実際に納付するタイミングがずれるため、仕訳を具体例で押さえておきましょう。

法定福利費の仕訳方法と勘定科目

健康保険・厚生年金保険などは、従業員負担分を給与から天引きし、会社負担分と合わせて原則として翌月末までに納付します。一方、雇用保険・労災保険は原則として年度更新で申告・納付するため、納付時期と仕訳を分けて考える必要があります。以下は、前項と同じ料率を単純適用し、税金などの控除と端数処理を省略した例です。

まず給与支給時、従業員負担分は会社がいったん預かる形になるため、「預り金」という負債の勘定科目で処理します。

  • (借)給与手当 300,000/(貸)預り金 44,445・普通預金 255,555

この44,445円は、健康保険14,850円、厚生年金27,450円、子ども・子育て支援金345円、雇用保険1,800円の合計です。健康保険・厚生年金保険などを納付するときは、預かっていた従業員負担分と会社負担分を次のように処理します。会社負担分に使う勘定科目が「法定福利費」です。

  • (借)預り金 42,645・法定福利費 43,725/(貸)普通預金 86,370

雇用保険について、上記1カ月分に対応する金額だけを例示すると、労働保険料の納付時は次の仕訳になります。実務では、概算保険料の申告・納付時や確定精算時など、自社の計上方法に応じて処理します。

  • (借)預り金 1,800・法定福利費 3,150/(貸)普通預金 4,950

このように、法定福利費の勘定科目に載るのは会社負担分だけで、従業員負担分は預り金を通過するだけという点がポイントです。従業員負担分まで法定福利費に含めてしまう誤りは意外と多いので、気をつけてください。

税務上の取り扱いと損金算入

税務上、会社が負担した法定福利費は全額を損金に算入できます。社会保険料の事業主負担は、事業を営むうえで必要な費用と認められているためです。適切に計上すれば、その分だけ課税所得が圧縮され、法人税の負担も抑えられます。

一方で、従業員から預かった保険料(預り金)は会社の費用ではなく、あくまで一時的に預かっている負債です。ここを費用として二重に計上しないよう、仕訳の段階で区別しておくことが節税と正確な決算の両立につながります。判断に迷う取引があれば、顧問税理士に確認しておくと確実です。

法定福利費の仕訳や工事原価の集計をExcelで続けると、月次の締めに手間がかかりがちです。見積から請求までの帳票を一元管理し、工事別の原価と粗利を自動で集計できるのが工事管理システムuconnectです(30日間無料・初期費用0円)。

機能と価格を見る →

【建設業】見積書への法定福利費の内訳明示

建設業の見積書に材料費・労務費・法定福利費を内訳明示したイメージ図

ここからは建設業に特有の、けれども見落とせないテーマです。建設業では、法定福利費を見積書のなかに「内訳」としてはっきり示すことが求められています。他業種の解説記事ではあまり触れられない、受注者側が知っておくべき実務の核心部分です。

なぜ建設業で内訳明示が求められるのか

かつて建設業界では、元請から下請への支払いのなかで法定福利費が総額に埋もれてしまい、下請企業が社会保険料を十分に確保できないという問題がありました。これが技能労働者の社会保険未加入につながり、業界全体の課題になっていたのです。

そこで国土交通省は「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」を策定し、元請は下請が負担する法定福利費を適正に見積り、下請は法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)を提出するよう促してきました(出典:国土交通省「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」)。法定福利費を別枠で明示することで、社会保険加入に必要な原資をきちんと確保しよう、という狙いです。

さらに一歩進んだのが、令和7年(2025年)12月12日に全面施行された改正建設業法・入契法です。建設業法では、建設業者が請負契約を締結する際、「材料費・労務費・法定福利費(事業主負担額)・建退共の掛金・安全衛生経費」などの内訳を記載した見積書を作成することが努力義務となりました。注文者から請求された場合は、契約成立までにその見積書を交付しなければなりません。一方、公共工事の入札では、入契法第12条により、これらを入札金額の内訳書へ記載することが義務づけられています(出典:国土交通省「改正建設業法等改正法の完全施行」国土交通省「公共工事の発注における入札金額の内訳」)。

見積書での計算・記載手順

見積書に載せる法定福利費の計算は、国土交通省が示す標準的な方法に沿うのが基本です。もっともシンプルな算出式は次の形です。

  • 保険ごとの法定福利費 = 労務費総額 × 各保険の事業主負担率

対象になるのは、現場で働く技能労働者にかかる健康保険・介護保険・厚生年金保険・子ども・子育て拠出金・子ども・子育て支援金・雇用保険・労災保険の事業主負担分です。令和8年度からは、子ども・子育て支援金も見積書の法定福利費に含めます(出典:国土交通省「『労務費に関する基準』を踏まえた取引の考え方」)。保険によって対象者や算定基礎が異なるため、加入状況を勘案して保険ごとに算出し、必要に応じて注文者と協議して最終額を決めます。

記載の手順を整理すると、次のようになります。

  1. 見積対象の工事にかかる労務費総額を把握する
  2. 保険ごとの事業主負担料率を確認する(最新年度の料率を使う)
  3. 労務費総額に料率を掛けて保険ごとの法定福利費を算出する
  4. 見積書の内訳欄に「法定福利費」として金額を明示する

各社の業界団体が業種別の標準見積書のひな形を公開しているので、自社に近いものを土台にすると作成がスムーズです。

元請・下請で注意すべきポイント

内訳明示のルールが機能するには、元請と下請の双方が正しく運用することが前提になります。

元請の立場では、下請から提出された法定福利費を、合理的な理由なく値引きの対象にしないことが大切です。法定福利費は技能労働者の社会保険加入に不可欠な原資であり、ここを削ると下請の社会保険未加入を招きかねません。下請の立場では、標準見積書を使って法定福利費を堂々と内訳明示し、総額のなかに埋もれさせないことがポイントです。

法定福利費は諸経費や一般管理費に紛れ込ませず、独立した費目として扱う——これが建設業の見積で信頼を得る基本姿勢になります。見積の段階から法定福利費を含む原価を正しく積み上げておけば、受注後に「利益が残らない」という事態も避けられます。

法定福利費の負担を抑える助成金・軽減制度

産前産後・育児休業中の保険料免除やキャリアアップ助成金など負担軽減制度の一覧図

法定福利費は義務である以上、恣意的に減らすことはできません。ただし、一定の条件を満たせば保険料が免除される制度や、雇用に関する助成を受けられる場面はあります。使える制度は取りこぼさないようにしましょう。

活用できる免除・助成制度

代表的なのが、産前産後休業・育児休業等の期間中の社会保険料免除です。従業員が産休・育休を取得している間は、申請により健康保険料と厚生年金保険料が本人負担分・事業主負担分ともに免除されます。免除期間中も被保険者資格は続き、将来の年金額にも影響しません(出典:日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」)。対象者がいる場合は忘れずに申請してください。

また、有期雇用の従業員を正社員化した場合に利用できる「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」があります。令和8年度には、短時間労働者を新たに社会保険へ加入させ、労働時間の延長などで収入を増やした場合を対象とする「短時間労働者労働時間延長支援コース」も設けられています。従来の「社会保険適用時処遇改善コース」は、令和8年3月末までに取組を行った事業主が対象です。これらは法定福利費そのものを減額する制度ではなく、要件を満たす雇用・処遇改善の取組を助成する制度です(出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金」)。

申請の流れと相談・確認先

制度の内容や料率は年度ごとに変わるため、最新情報を一次情報で確認するのが鉄則です。窓口は制度ごとに分かれています。

  • 健康保険・厚生年金・保険料免除の手続き:年金事務所、協会けんぽ
  • 雇用保険・労災保険、雇用関係の助成金:都道府県労働局、ハローワーク
  • 見積や会計処理を含む総合的な相談:社会保険労務士、税理士

申請には期限や必要書類が定められていることが多いので、対象になりそうな制度を見つけたら、早めに管轄の窓口へ問い合わせておくと手続きがスムーズです。

見積の法定福利費と工事原価を一元管理するには

法定福利費は労務費の一部として工事原価に積み上がり、見積書では内訳を明示することが求められます。その前提になるのが、工事ごとの原価を正確に把握できていることです。その前提になるのが、工事ごとの原価を正確に把握できていることです。Excelで工事別の原価を集計していると、入力の手間や転記ミスで、月次の締めのたびに原価と粗利の把握が後手に回りがちです。

工事管理システム「uconnect」は、工事別に売上・原価・粗利をリアルタイムで見える化するクラウドツールです。法定福利費や労務費、外注費などの原価を工事ごとに集計し、粗利率まで自動で把握できます。見積から請求までの帳票も一元管理できるため、二重入力の手間を減らせます。

  • 工事別に原価・粗利をリアルタイムで把握できる
  • 見積から請求までの帳票を一元管理し、重複入力を防げる
  • 工事台帳で売上・原価・粗利・粗利率を一元管理できる
  • 弥生・freee・MFクラウドなどの会計ソフトと連携できる

初期費用は無料で、工事業プランは月額7,920円(税込、1ユーザー)から利用でき、30日間の無料トライアルも用意されています。2026年度は「デジタル化・AI導入補助金2026」を利用できるITツールとして案内されています。補助対象・申請枠・採択を保証するものではないため、申請前に最新の公募要領と登録状況を確認してください。自社の業務フローに合うかどうかは、オンラインの無料相談や無料トライアルで実際に確かめられます。

法定福利費に関するよくある質問

最後に、法定福利費についてよく寄せられる質問をまとめました。

Q. パート・アルバイトの法定福利費も会社が負担するのですか?
A. 労働時間や勤務日数などの加入条件を満たせば、パート・アルバイトも社会保険の対象になり、会社は事業主負担分を支払います。近年は社会保険の適用範囲が拡大しているため、短時間労働者でも加入対象になるケースが増えています。加入条件は最新の基準を確認してください。

Q. 法定福利費と法定福利厚生費は同じ意味ですか?
A. ほぼ同じ意味で使われます。どちらも法律で義務づけられた社会保険料などの事業主負担を指します。会計上の勘定科目としては「法定福利費」が一般的です。

Q. 見積書に法定福利費を書かないと違法になりますか?
A. 民間工事を含む建設工事では、法定福利費などを内訳明示した見積書の作成は建設業法上の努力義務です。ただし、注文者から請求された場合、その見積書の交付は義務です。公共工事の入札金額の内訳書には、入契法第12条にもとづく記載義務があります。対象と場面によって法的な位置づけが異なるため、一律に「書かなければ直ちに違法」とは言えませんが、標準様式を使って適切に明示してください。

Q. 労災保険料はなぜ従業員負担がないのですか?
A. 労災保険は、業務や通勤が原因のけが・病気を使用者の責任で補償する制度のため、保険料は全額を事業主が負担すると法律で定められています。

まとめ

法定福利費は「法律で義務づけられた社会保険料などの事業主負担」であり、任意の福利厚生費とは明確に区別して扱う費目です。最後に要点を整理します。

  • 法定福利費に含まれるのは健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険・労災保険・子ども子育て拠出金など。労使折半のものと事業主全額負担のものがある
  • 令和8年度は健康保険料率が全国平均9.90%に引き下げ、子ども・子育て支援金(0.23%)が新設された。料率は毎年見直されるため、最新の数字で計算する
  • 会社負担の目安は、全国平均料率では40歳未満で労災保険を除き約15.6%、介護保険の対象者で約16.4%。仕訳では会社負担分だけを「法定福利費」に計上し、従業員負担分は預り金で処理する
  • 建設工事の見積書作成は努力義務、注文者から請求された見積書の交付と公共工事の入札内訳書への記載は義務。法定福利費は諸経費に丸めず独立した費目として積み上げる

まずは自社の所在地の健康保険料率と、建設業向けの雇用保険料率を確認するところから始めてみてください。正確な法定福利費を把握できれば、見積の精度も原価管理の質も一段上がります。

あなたにおすすめの記事

工事原価とは?4つの要素と計算・管理方法を建設業向けに解説

工事原価とは何かを、4つの要素(材料費・労務費・外注費・経費)・工事原価率の計算・建設業会計の特性・原価管理システムの選び方まで小規模・中規模の建設会社の実務目線で解説します。

労務費とは|建設業の人件費との違い・計算方法・削減のコツを解説

労務費とは製造・施工に直接かかわる労働の対価。本記事では建設業を中心に、人件費との違い・直接/間接の区分・内訳・計算方法・削減のコツ・価格交渉まで実務目線で解説します。

工事進行基準とは?計算・仕訳例から新収益認識基準との関係まで解説

工事進行基準の定義や適用範囲から会計処理・仕訳例まで、建設業の実務に役立つポイントをわかりやすく解説。新収益認識基準との関係も紹介します。

最新記事

建設会社向けに経営事項審査(経審)の流れ・総合評定値P点の計算・2026年7月改正を解説する記事のアイキャッチ
経営・会計

経審(経営事項審査)とは?流れ・点数と2026年改正を解説

経審(経営事項審査)とは何かを基礎から解説。申請の流れと必要書類、総合評定値P点の計算式、費用と有効期間1年7か月に加え、2026年7月施行の改正(社会保険項目の削除・自主宣言5点の加点)までまとめました。

カテゴリー

Back to top