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施工体系図とは?書き方・作成義務・掲示のルールをわかりやすく解説

施工体系図とは何かを、書き方・作成義務・公共/民間の掲示ルール・施工体制台帳との違いまで建設会社向けに解説する記事のアイキャッチ

建設現場の入口に貼り出された、会社名が枝分かれした図を見かけたことはありませんか。あれが施工体系図です。

施工体系図は、工事に関わる元請・下請各社の施工分担を、元請を頂点とした樹形図で示した書類で、法令上の条件に該当する工事では作成と掲示が義務づけられています。この記事では、施工体系図とは何かという基本から、作成義務が生じる条件、樹形図の書き方と記載例、公共工事と民間工事で異なる掲示場所のルール、施工体制台帳との違いまで、元請として作成する立場で押さえておきたいところを整理しました。自社の現場で何を、どこに掲示すればいいのかが、ひととおり分かる内容です。

施工体系図とは?施工体制台帳との関係

施工体制台帳(文字でまとめた一覧)と施工体系図(元請を頂点とした樹形図)が同じ情報を別の形で表すことを対比したインフォグラフィック

施工体系図は、ひとつの工事現場で現に施工している元請・下請各社の施工分担を、元請を頂点とした樹形図(ツリー図)で示した書類です。元請から一次下請、二次下請へと、誰がどの工事を担当しているかが一目で分かるように描きます。

作るのは、発注者から直接工事を請けた元請です。民間工事では一定額以上の下請契約を締結した特定建設業者、公共工事では金額にかかわらず下請契約を締結した元請の建設業者が対象になります。元請が作成する施工体制台帳とセットの関係にあり、台帳にまとめた情報を、現場の関係者が見て理解しやすいように図にしたものが施工体系図、と考えると分かりやすいです。

つまり、下請各社から集まった再下請負通知書の情報が施工体制台帳に整理され、その台帳をもとに施工体系図が描かれる、という流れになります。台帳が「文字でまとめた一覧」なら、体系図は「図で見せる全体像」にあたります。台帳そのものの中身は施工体制台帳とは何かを解説した記事でくわしく扱っています。

施工体系図の作成が必要なケース

施工体系図の作成義務が生じる条件を、公共工事(金額不問)と民間工事(下請総額5,000万円・建築一式8,000万円以上)で示したインフォグラフィック

施工体系図を作る義務があるのは、施工体制台帳の作成義務がある工事と同じです。根拠は建設業法第24条の8で、施工体制台帳の作成義務がある現場では、あわせて施工体系図の作成と掲示も求められます(出典:建設業法 第24条の8(e-Gov法令検索))。

作成義務が生じる条件は、工事の種類で変わります。

  • 公共工事:元請の建設業者が下請契約を締結した場合、下請代金の額にかかわらず義務が生じます(出典:入札契約適正化法 第15条(e-Gov法令検索)
  • 民間工事:元請が特定建設業者で、下請代金の総額が 5,000万円以上(建築一式工事は 8,000万円以上)の場合に義務が生じます

この民間工事の金額基準は、2025年(令和7年)2月1日施行の政令改正で引き上げられた最新の数字です。直前は4,500万円・7,000万円(さらに以前は4,000万円・6,000万円)でしたので、古い資料の金額のまま判断しないよう気をつけてください(出典:国土交通省「建設業の各種金額要件や技術検定の受検手数料を見直します」)。

自社の工事に作成義務があるか迷ったときは、施工体制台帳の作成義務をくわしく解説した記事で金額や対象を整理していますので、あわせて確認してみてください。

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施工体系図の書き方と記載内容

A工務店(元請)からB建設・C電工、さらにB建設からD鉄筋へと契約関係を線で結んだ施工体系図の樹形図の例

施工体系図は、元請を一番上に置き、そこから下請各社へ枝分かれする形で描きます。記載する主な項目は、施行規則で定められています(出典:建設業法施行規則(e-Gov法令検索))。

  • 工事の基本情報:工事名称、工期、発注者名
  • 元請の情報:商号・名称、配置した監理技術者(または主任技術者)の氏名、監理技術者補佐を置く場合はその氏名、専門技術者がいればその氏名と担当工事
  • 各下請の情報:商号・名称、代表者名、一般建設業・特定建設業の別、許可番号、請け負った工事の内容と工期、特定専門工事への該当の有無、配置した主任技術者や専門技術者の氏名

描くときのポイントは、契約のつながりがそのまま線になることです。元請が直接契約した一次下請は元請から線を引き、一次下請が契約した二次下請は一次下請から線を引きます。階層が増えるほど枝が深くなりますが、誰と誰が契約しているかを正確に反映するのが基本です。

技術者名の記載漏れや、工期の更新忘れは指摘を受けやすい部分です。下請の追加や交代があったら、その都度すぐに描き直すようにします。

記載例:樹形図のイメージ

具体的にイメージしてみます。たとえば、A工務店が元請として「○○ビル新築工事」を請け負い、躯体をB建設(一次下請)に、電気をC電工(一次下請)に出したとします。さらにB建設が鉄筋をD鉄筋(二次下請)に出した場合、図は次のようなつながりになります。

  • 一番上に「A工務店(元請・監理技術者名)」を置く
  • そこから「B建設(躯体工事・主任技術者名)」と「C電工(電気工事・主任技術者名)」へ線を引く
  • B建設の下に「D鉄筋(鉄筋工事・主任技術者名)」へさらに線を引く

各社の枠の中に、担当する工事内容・工期・配置技術者の氏名を書き込みます。線は必ず契約している相手どうしを結びます。A工務店とD鉄筋は直接契約していないので、両者を線で結ぶことはしません。この「契約のつながり=線」という原則を外さなければ、階層が深い現場でも図は破綻しません。

施工体系図の掲示と保管

施工体系図の掲示場所を、公共工事(工事関係者+公衆の見やすい場所)と民間工事(工事関係者の見やすい場所)で比較したインフォグラフィック

施工体系図は、作って終わりではなく、原則として工事目的物を引き渡すまで現場に掲示しておく義務があります。請負契約に基づく債権債務が引渡し後も残る場合は、その債権債務が消滅するまで掲示が必要です。ここが施工体制台帳との大きな違いで、体系図は工事関係者が確認できる場所に掲示します。

掲示する場所は、公共工事と民間工事で変わります。

  • 公共工事:工事関係者が見やすい場所に加えて、公衆が見やすい場所にも掲示する(入札契約適正化法による上乗せ)
  • 民間工事:工事関係者が見やすい場所に掲示する

紙で貼る代わりに、デジタルサイネージなどのICT機器を使った掲示も、必要なときに確認できることや文字が読み取れることなど、国土交通省が示す要件を満たせば認められています。

掲示期間が終わった後は、施工体系図は元請が営業所ごとに保存すべき「営業に関する図書」のひとつとして、目的物の引渡しから10年間保存することが定められています(建設業法施行規則第26条・第28条)。掲示物を外したらそのまま処分、ではなく、施工体制台帳などの関係書類と一緒に整理して残しておきましょう。

現場で掲示する書類には、施工体系図のほかに「建設業の許可票(標識)」や労災保険関係の標識もあります。これらは別物で、施工体系図が「誰がどの工事を担当しているかの全体図」なのに対し、許可票は「その会社が建設業の許可を受けていることを示す札」です。役割が違うので、まとめて1枚で済ませることはできません。掲示が必要な書類をひととおり洗い出し、抜けがないようにそろえておくと安心です。

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施工体系図に関するよくある質問

下請が増えたら作り直す?

はい。工事の途中で新しい下請が加わったり、技術者が交代したりしたら、施工体系図はその都度すみやかに更新します。掲示してある図が現場の実態と食い違っていると、是正の指導を受ける原因になります。常に最新の状態を貼り出しておくのがルールです。

作成・掲示しないとどうなる?

施工体系図の作成や掲示を怠ると、建設業法違反になります。立入検査などで不備が見つかれば是正指導の対象となり、悪質な場合は指示処分や営業停止といった監督処分につながることもあります。単なる事務の手間ではなく、現場を適正に進めている証拠として求められている書類です。

手書きでないとダメ?

決まった作り方はありません。エクセルや専用ソフトで作っても問題なく、掲示もデジタルサイネージなどが認められています。大事なのは形式ではなく、契約関係と技術者の配置が正確に反映され、関係者が見て分かることです。下請が多い現場では、ひな型を用意して使い回すと、更新のたびに一から描き直す手間を減らせます。

施工体制まわりの事務と原価管理を効率化するには

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まとめ

施工体系図は、現場で施工する元請・下請各社のつながりを元請を頂点に図で示し、原則として工事目的物の引渡しまで掲示しておく書類です。最後に要点を整理します。

  • 作るのは元請。施工体制台帳をもとに、契約関係を樹形図で描く
  • 作成義務の条件は施工体制台帳と同じ(公共工事は下請契約があれば金額不問、民間工事は特定建設業者が下請総額5,000万円・建築一式8,000万円以上となる場合)
  • 記載するのは工事の基本情報、元請と各下請の商号、工事内容・工期、配置技術者の氏名
  • 掲示場所は公共工事が「工事関係者+公衆の見やすい場所」、民間工事が「工事関係者の見やすい場所」
  • 下請の追加や技術者の交代があれば、その都度すぐに更新する

まずは自社の工事に作成義務があるかを確認し、義務がある現場では、台帳の整備と一緒に体系図も最新の状態で掲示するところから始めてみてください。

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