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是正工事とは?発生原因と対応手順、無償対応の判断基準を解説

是正工事の意味と発生原因、無償対応の判断基準を建設会社向けに解説する記事のアイキャッチ

引き渡し前の検査で指摘を受け、無償での手直しを求められた。是正工事は、建設会社にとって避けては通れない場面です。とはいえ、どこまで無償で応じる義務があるのか、費用は誰が負担するのか、判断に迷いやすいテーマでもあります。

この記事では、是正工事の意味と発生原因、契約不適合責任という法的な土台、指摘を受けたときの実務手順、無償対応の原則と例外、費用負担の考え方、そして是正を減らすための品質管理と記録の整え方までを、小規模・中規模の建設会社の実務目線で解説します。

指摘を受けた当日から使える初動のポイントを押さえれば、交渉で不利にならない備えと、是正を長引かせない段取りを自社のルールに落とし込めます。

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是正工事の基本と定義

是正工事の定義を示した図(契約内容との食い違い・施工不良・法令違反を本来あるべき状態に直す工事)

まずは「是正工事」という言葉が指す範囲と、なぜこの工事が発生するのかを整理します。言葉の意味を正しく押さえておくと、指摘を受けたときに「どこまで対応すべきか」の判断がぶれなくなります。

是正工事とは何か

是正工事とは、完成した建物や施工中の工事に、契約内容との食い違い・施工不良・法令違反といった問題が見つかったとき、それを本来あるべき状態に直すために行う工事のことです。現場では「手直し工事」「ダメ直し」と呼ばれることもあります。

具体的には、次のような場面で発生します。

  • 社内検査や元請の検査で、仕上がりの不具合や図面との食い違いを指摘された
  • 引き渡し前の施主検査で、クロスの傷や建具の不調を指摘された
  • 完了検査や行政の立入調査で、法令に適合していない箇所を指摘された

内容は、クロスの補修やドアの建て付け調整といった軽微なものから、防水のやり直しや構造部分の補強といった大がかりなものまで幅広くあります。規模は違っても「指摘を受けて、正しい状態に直す」という構図は共通です。

なお、工事現場では安全管理の文脈でも「是正」という言葉を使います。足場の手すりの不備や通路の資材放置を注意される「是正指示」「是正報告」がその例です。この記事では、主に工事の品質や適法性に関わる手直しとしての是正工事を中心に解説します。

是正工事の目的と重要性

是正工事の目的は、契約どおり・法令どおりの品質で建物を引き渡すことに尽きます。ただ、受注者側の目線で見ると、それ以上に会社の経営に直結するテーマです。

まず、お金の問題があります。是正工事の多くは自社負担で行うため、材料費も人件費も持ち出しになります。利益を10%見込んでいた工事で大きな手直しが発生し、集計したら粗利がほぼ消えていた。そんな事態は十分起こり得ます。是正対応が長引けば引き渡しが遅れ、請求・入金のタイミングもずれ込むため、資金繰りにも影響します。

もうひとつは信用の問題です。指摘への対応が誠実で早い会社は、むしろ評価が上がることさえあります。逆に、対応を渋ったり先延ばしにしたりすると、元請や施主との関係が悪化し、次の仕事につながらなくなります。是正工事は「起きてしまった後の対応力」が問われる場面だと考えると、位置づけがつかみやすくなります。

是正工事が必要となるケース

是正工事が必要となる3つのケース(契約内容との不一致・法令違反・施工不良)を並べた比較図

引き渡し前の検査で「ここ、図面と違いますよね」と指摘される。是正工事は、ある日突然、具体的な指摘として始まります。発生原因は大きく3つに分けられます。

発生原因典型例関係する主なルール
契約内容との不一致図面と違う仕様・寸法、指定外の材料の使用民法(契約不適合責任)
法令違反建築基準法・消防法などへの不適合建築基準法、消防法など
施工不良雨漏り、傾き、仕上げの不具合契約不適合責任+各種法令

それぞれ根拠になるルールが違い、対応の進め方や費用負担の考え方も変わってきます。順番に見ていきます。

契約不適合責任との関係

是正工事の法的な土台になるのが契約不適合責任です。2020年4月施行の改正民法で、従来の「瑕疵担保責任」に代わって導入された考え方で、引き渡した目的物が種類・品質・数量について契約の内容に適合しない場合、請負人は責任を負うと定められています(出典:民法(e-Gov法令検索))。

発注者は、不適合があった場合に修補などの追完請求(民法562条)ができ、応じられない場合には代金減額請求(563条)が可能です。あわせて、損害賠償請求や契約の解除(564条)も認められています。このうち「修補」に当たるのが是正工事です。つまり是正工事は、単なるサービス対応ではなく、契約上の義務の履行という位置づけになります。

注意したいのが期間の定めです。種類・品質に関する契約不適合については、注文者が不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないと、原則として責任を追及できなくなります(民法637条)。逆に言えば、受注者側は引き渡し後もこの期間は是正を求められる可能性がある、ということです。

この構図は元請と下請の間でも同じです。下請工事も請負契約ですから、下請の施工に契約不適合があれば、元請に対して是正の義務を負います。

法令違反の具体例

契約どおりに造ったかどうかとは別に、建物そのものが法令に適合していない場合も是正工事が必要になります。代表的なのは建築基準法への不適合です。

  • 居室の採光・換気の基準を満たしていない
  • 防火・耐火に関する仕様が基準に達していない
  • 内装制限や避難経路の規定に反している

建築基準法は、建築物の敷地・構造・設備・用途に関する最低基準を定めた法律で、完了検査で不適合が見つかれば検査済証が交付されず、是正が求められます(出典:建築基準法(e-Gov法令検索))。このほか、消防用設備の設置や点検を定めた消防法への違反も、是正指導の対象になります。

法令違反の是正は「直すかどうかを当事者間で相談する」余地がほとんどありません。放置すれば行政指導や命令の対象になるため、発覚した時点で速やかに是正計画を立てる必要があります。

違反建築物の定義と例

法令違反が建物単位に及ぶと「違反建築物」として扱われます。違反建築物とは、建築基準法やそれに基づく命令・条例に違反している建築物のことで、特定行政庁(建築主事を置く市町村の長や都道府県知事)は、工事の施工停止や、相当の猶予期限を付けたうえでの除却・改築・修繕などの是正措置を命じることができます(建築基準法9条)。

よくある例としては、次のようなケースがあります。

  • 建ぺい率・容積率の上限を超えて増築してしまった
  • 確認申請をせずに増改築や用途変更を行った
  • 完了検査後に、基準に反する改造を加えた

混同しやすいのが「既存不適格建築物」との違いです。建築時には適法だったものの、その後の法改正で現行基準に合わなくなった建物は既存不適格と呼ばれ、違反建築物ではありません。ただし増改築の際には現行基準への適合が求められる場合があるため、改修工事を請ける際は着工前の確認が必要です。

是正工事の実務手順

是正工事の実務手順5ステップ(指摘箇所の確認→原因の追究→是正計画の立案→是正施工と記録→完了報告)を示すフロー図

是正工事の成否は、初動でほぼ決まります。焦って手を動かす前に、確認→原因究明→計画→施工→報告という流れを押さえておきましょう。ここでは実務の手順を3段階に分けて解説します。

指摘箇所の確認と初動対応

指摘を受けたら、まず現場で指摘内容を自分の目で確認します。このとき必ずやっておきたいのが記録です。

  1. 現況の写真撮影: 指摘箇所の全体と近接の両方を撮る。日付がわかる形で残す
  2. 指摘内容の文書化: 誰から・いつ・どの箇所について・どんな指摘があったかをメモや書面に残す
  3. 指摘者との認識合わせ: 施主・元請・行政のいずれであっても、「どこを・どの状態にすれば是正完了とみなすか」のゴールをすり合わせる

初動で避けたいのは、範囲や原因を確かめないまま「すぐ直します」と口約束してしまうことです。誠意を見せたつもりでも、後から原因が自社の施工ではないとわかった場合に、費用負担の話がこじれる原因になります。対応する姿勢は示しつつ、範囲と原因の確認を先に行うのが鉄則です。

原因の追究と再発防止策

次に、なぜその不具合が起きたのかを掘り下げます。施工ミスなのか、図面や指示の誤りなのか、材料の欠陥なのか、それとも経年や使用方法によるものなのか。原因の切り分けは、後述する費用負担の判断に直結します。

原因分析では「誰がミスしたか」の犯人探しで終わらせず、なぜミスが起きる状況になっていたかまで掘り下げると再発防止につながります。たとえば配管の勾配不良が見つかった場合、「職人の施工ミス」で止めるのではなく、「勾配の指示が図面に明記されていなかった」「中間検査でチェックする項目に入っていなかった」という仕組みの穴まで特定できれば、次の現場に活かせます。

是正計画の立案から完了報告まで

原因が特定できたら、是正計画をまとめます。盛り込むのは、是正の範囲・工法・使用材料・工程・費用・体制です。規模が小さい手直しでも、書面やメールで残しておくと「言った・言わない」を防げます。行政からの是正指導の場合は、指定された様式・期限での計画書提出が求められることもあります。

施工中は、是正箇所の施工過程を写真で記録します。特に、仕上げで隠れてしまう部分(下地・配管・防水など)は、施工後には確認できないため必ず撮影しておきます。完了後は、施工前・施工中・施工後の写真を添えた完了報告書を提出し、指摘者の確認・再検査を受けて完了です。

この一連の記録は、単なる報告のためだけではありません。将来また不具合が指摘されたときに「前回の是正はここまで実施した」と示せる、自社を守る証拠にもなります。

是正工事における注意点

是正工事の無償対応が原則のケースと例外(経年劣化・注文者の指示・契約範囲外)を左右で対比した図

「是正してほしいと言われたら、全部無償でやらなければならないのか」受注者側にとって、いちばん悩ましいのがこの問題です。ここでは費用負担の原則と、トラブルを避けるための実務上の注意点を整理します。

無償対応の原則とその例外

自社の施工に起因する契約不適合であれば、無償での是正(修補)が原則です。契約どおりの品質で引き渡す義務を果たしていない以上、その手直し費用を発注者に請求することはできません。

一方で、すべての指摘に無償で応じる義務があるわけではありません。次のようなケースは例外です。

  • 経年劣化や使用方法に起因するもの: 引き渡し後の自然な劣化、施主の使い方による損耗は契約不適合ではない
  • 注文者の指示や支給材料に起因するもの: 注文者が提供した材料の性質や、注文者の指示によって生じた不適合については、請負人は原則として責任を負いません(民法636条)。ただし、材料や指示が不適当だと知りながら告げなかった場合は責任を免れない点に注意が必要です
  • 契約範囲外の要求: 契約や図面に含まれていないグレードアップの要求は、是正ではなく追加工事として扱う

下請の立場では、元請からの是正指示が「そもそも契約範囲に含まれていたか」の見極めも大切です。契約外の作業まで是正の名目で無償対応を求められた場合は、追加工事として費用を協議できる余地があります。だからこそ、後述する契約書と記録の整備が効いてきます。

トラブルを減らすための対策

是正工事のトラブルは、突き詰めると「認識のずれ」から生まれます。仕様の認識がずれたまま着工する、変更を口頭で済ませる、検査基準が人によって違う。このどれもが是正の火種です。

対策として効果が高いのは、次の3つです。

  • 着工前の仕様確認: 図面・仕様書の不明点は着工前に質疑で潰す。「たぶんこうだろう」で進めない
  • 変更の都度記録: 仕様変更・追加指示は、その場でメールや変更合意書に残す
  • 中間段階での確認機会: 隠れてしまう工程の前に、施主や元請に確認してもらう機会をつくる

どれも手間はかかりますが、是正工事のやり直し費用と比べればはるかに安い投資です。

書面による契約と記録の重要性

建設工事の請負契約では、契約内容を記載した書面の取り交わしが建設業法で義務づけられています(出典:建設業法(e-Gov法令検索))。それでも実務では、小規模な工事や長年の付き合いを理由に、注文書だけ・口頭だけで着工してしまうケースが残っています。

契約書と記録がない状態で不具合が指摘されると、「どこまでが契約内容だったのか」を証明する手段がなく、交渉で不利な立場に立たされます。逆に、契約書・仕様書・施工中の写真・打ち合わせ記録がそろっていれば、是正すべき範囲とそうでない範囲を根拠を持って線引きできます。記録は自社を守る最大の武器。是正工事の場面ほど、これを実感することはありません。

品質管理と検査体制の強化

建設現場でチェックリストを手に壁の仕上がりを検査している品質管理担当者の手元

是正工事は、起きてから上手に対応するより、起こさない仕組みをつくるほうがずっと安上がりです。ここでは、是正を減らすための品質管理と検査体制のつくり方を解説します。

品質管理の基本

品質管理の出発点は、「良い品質」の基準を明文化して全員でそろえることです。仕上がりの許容範囲、使用材料の指定、施工手順の要点をチェックリストにしておくと、職人や協力会社ごとの品質のばらつきが小さくなります。

小規模な会社では、ベテランの頭の中に品質基準がある状態になりがちです。それでも回っているうちは良いのですが、人が入れ替わった途端に不具合が増える、というのはよくあるパターンです。まずは指摘が多い工種だけでも、チェックポイントを紙1枚に書き出すことをおすすめします。

検査体制の構築と運用

検査は「最後に1回」では不十分です。仕上げで隠れてしまう部分こそ、隠れる前に確認する必要があります。実務では、次の3段階を基本に組み立てます。

  1. 工程内検査: 配筋・下地・防水など、後から見えなくなる工程の完了時に確認し、写真を残す
  2. 社内検査: 引き渡し前に、施主や元請の目線で自社チェックを行う
  3. 施主・元請検査への立ち会い: 指摘はその場で記録し、認識をそろえる

ポイントは、検査の項目と合否基準をあらかじめ決めておくことです。基準がないまま検査をすると、検査する人の感覚に左右され、見逃しや過剰な指摘の原因になります。

情報共有の仕組みづくり

是正工事の原因をたどると、施工技術ではなく情報伝達の失敗に行き着くことが多くあります。図面の変更が職人に伝わっていなかった、仕様変更を現場代理人しか知らなかった、前工程の不具合が次工程に共有されなかった。いずれも情報共有の問題です。

対策はシンプルで、情報の置き場所をひとつに決めることです。最新図面・仕様変更・検査記録・現場写真を、関係者全員が同じ場所で見られるようにする。紙や個別のメールでやり取りしていると、どうしても「最新版がどれかわからない」状態が生まれます。クラウド型のツールを使えば、事務所と現場で同じ情報をリアルタイムに確認でき、伝達漏れそのものを減らせます。

是正費用の集計をExcelへの転記に頼っていると、工事別の採算はどうしても月末締め後の後追いになります。売上と原価を工事ごとに入力するだけで粗利がリアルタイムに集計され、ITに不慣れな会社でも始めやすいのが工事管理システムuconnectです(30日間無料・初期費用0円)。

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是正工事のトラブル対処方法

事務所で契約書類・図面・現場写真を広げて是正対応を協議している建設会社スタッフの手元

是正工事で本当に消耗するのは、工事そのものよりも「もめごと」の対応です。費用は誰が持つのか、どこまで直すのか、いつまでに終えるのか。交渉が長引くほど、現場も経営も疲弊します。ここでは、トラブルになったときの考え方と対処法を解説します。

トラブルの原因と対策

是正工事をめぐるトラブルは、パターンがある程度決まっています。

トラブルのパターン起きる原因有効な対策
是正範囲の争い契約内容・検査基準があいまい契約書・仕様書の整備、ゴールの書面化
費用負担の争い原因の切り分けができていない原因調査の実施、記録の提示
工期・期限の争い是正の段取りが後手に回る是正計画の早期提示、進捗の共有

共通するのは、感情的な対立になる前に事実を示せる材料をそろえることです。契約書・図面・写真・打ち合わせ記録という客観的な材料を先にそろえ、それに基づいて協議する姿勢を見せるだけで、交渉の空気は大きく変わります。

費用負担の考え方

費用負担は「原因をつくった側が負担する」のが基本線です。自社の施工ミスなら自社負担、設計や指示の誤りなら設計者・指示者側、材料の欠陥ならメーカーや支給者側、というように、原因の所在と負担者を対応させて考えます。

実務でこじれやすいのは、原因が複合しているケースです。たとえば「図面の記載も不明確だったが、施工者として確認もしなかった」という場合、負担割合の協議になることもあります。ここでも決め手になるのは記録です。質疑書を出していたか、確認の機会があったかで、主張できる内容が変わってきます。

もうひとつ、受注者側で見落としがちなのが、是正費用の管理です。是正にかかった材料費・労務費・外注費をその工事の原価として記録しておかないと、工事ごとの本当の採算がつかめません。「あの現場は利益が出たはずなのに、決算を締めたら思ったより残っていない」という違和感の正体が、集計されていない是正費用だった、ということもあります。工事別の原価管理の基本は工事原価とはの記事で詳しく解説しています。

実例から学ぶ失敗と教訓

公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運営する「住まいるダイヤル」には、住宅の不具合や是正対応をめぐる相談が数多く寄せられており、専門家による紛争処理の事例も公開されています(出典:住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル))。こうした公開事例や実務でよく聞く失敗談からは、共通する教訓が読み取れます。

失敗の典型は、初動の口約束です。指摘を受けた担当者がその場を収めようと「全部直します」と請け合い、後から範囲を狭めようとして不信感を招く。このパターンは、最初に共同で現況確認を行い、是正範囲を書面で合意していれば防げたものです。

もうひとつの典型は、原因を究明しないままの表面補修です。雨漏りの浸入経路を特定せずにコーキングだけで済ませ、再発してクレームが深刻化するケースがこれに当たります。再発した時点で「原因を調べずに安易な補修をした」という事実が残り、その後の交渉は格段に難しくなります。

一方で、うまく収めている会社の共通点もはっきりしています。指摘当日の現地確認、原因調査の結果報告、是正計画の書面提示、完了後の写真つき報告という一連の流れを、淡々と実行していることです。特別なテクニックではなく、手順を省略しないことが最大のトラブル対策になっています。

協力会社との調整方法

是正の原因が協力会社の施工にある場合でも、施主や元請に対して窓口となるのは自社です。「下請のミスだから」と対応を丸投げすると、発注者からの信頼を失ううえ、協力会社との関係もこじれます。

調整の基本は、自社が主体となって是正計画をまとめ、協力会社には原因調査と是正施工で協力してもらう形をとることです。費用負担は、原因の程度に応じて誠実に協議します。一方的に全額を押し付けると、その場は収まっても、次の現場から職人を出してもらえなくなるかもしれません。日頃から検査基準や品質の考え方を共有しておくことが、いざというときの調整を楽にします。

是正工事を長引かせないためのポイント

是正工事を長引かせないための5ステップ(受付・現地確認→原因整理→方針合意→是正施工→完了確認)を示す階段状の図

是正工事は、放置する期間が長いほど状況が悪化します。対応の遅れが施主や元請の不信感を膨らませ、要求が厳しくなり、さらに対応が重くなるという悪循環に入るからです。ここでは、是正対応を最短で終えるための進め方をまとめます。

ステップやること長引かせないポイント
1. 受付・現地確認指摘内容の確認と記録指摘当日〜翌日に現地へ。スピードが信頼になる
2. 原因整理原因の調査と切り分け「調査中」でも中間報告を入れる
3. 方針合意是正範囲・工法・期限の合意書面やメールで残し、ゴールを固定する
4. 是正施工計画に沿った施工と記録隠れる部分の写真を必ず撮る
5. 完了確認報告書提出と再検査完了の確認をもらい、記録を保管する

原因整理の重要性

5つのステップの中で、時間がかかりやすく、かつ省略されやすいのが原因整理です。しかし、ここを飛ばして是正範囲の交渉に入ると、根拠がないまま押し引きするだけの消耗戦になります。

原因整理とは、「どこが」「なぜ」「誰の担当範囲で」不適合になったのかを、事実ベースで書き出す作業です。図面・仕様書・施工記録・写真を並べて、事実として確認できることと、推測でしかないことを分けます。この整理ができていると、施主や元請への説明に筋が通り、費用負担の協議も感情論になりにくくなります。

ステップごとの具体的な対応方法

各ステップを進めるうえで、実務のコツをひとつずつ挙げておきます。

  1. 受付・現地確認: 対応の早さがそのまま誠意として伝わります。すぐ是正できなくても、「今日見に行きます」の一言で相手の受け止めは変わります
  2. 原因整理: 調査に時間がかかる場合は、期限を切って中間報告を入れます。連絡がない期間が続くと、それだけで不信感が育ちます
  3. 方針合意: 「どの状態になったら完了か」を必ず合意します。ここがあいまいだと、是正後に「まだ直っていない」と蒸し返されます
  4. 是正施工: 通常の工事以上に記録を丁寧に。同じ箇所の再指摘に備えます
  5. 完了確認: 確認者のサインやメールでの完了確認をもらい、記録一式を工事書類と一緒に保管します

こうして見ると、是正対応の各ステップは特別な作業ではなく、日常の施工管理の延長にあります。日々の記録と共有の精度が、そのまま是正対応の速さに表れます。是正費用を含めた予算と実績の管理については、予実管理の記事も参考にしてください。

是正費用まで見える工事別原価管理のはじめ方

工事管理システムuconnect(ユーコネクト)のサービス紹介画像

ここまで見てきたとおり、是正工事は品質の問題であると同時に、工事別の採算をじわじわ削るコストの問題でもあります。ところがExcelでの原価管理では、突発的に発生する是正費用が集計から漏れやすく、「決算を締めたら思ったより利益が残っていなかった」という結果につながりがちです。

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まとめとよくある質問

最後に、この記事の要点と、是正工事についてよくある質問をまとめます。

是正工事の要点まとめ

  • 是正工事とは、契約との不一致・施工不良・法令違反を本来の状態に直す工事のこと
  • 法的な土台は民法の契約不適合責任。修補(是正)は契約上の義務の履行に当たる
  • 自社の施工に起因する不適合は無償対応が原則。ただし経年劣化・注文者の指示や支給材料に起因する場合など例外もある
  • 初動は「口約束せず、記録と認識合わせから」。原因整理を飛ばさないことが最短ルート
  • 契約書・写真・打ち合わせ記録の整備が、是正を減らし、交渉で自社を守る土台になる

まずは次の現場から、指摘を受けたときの記録の取り方と、隠れる工程の写真撮影をルール化するところから始めてみてください。

よくある質問

Q. 是正工事と補修工事・改修工事はどう違いますか?

補修工事は劣化や損傷を直す工事全般、改修工事は性能や機能を高める工事を指すのが一般的です。是正工事はこれらと異なり、「契約や法令に照らして本来あるべき状態になっていない箇所を直す」という原因面に着目した呼び方です。同じ作業内容でも、経年劣化の補修なら有償、施工不良の是正なら無償が原則、というように扱いが変わります。

Q. 是正工事の費用は誰が負担しますか?

原因をつくった側が負担するのが基本です。自社の施工ミスであれば自社負担、注文者の指示や支給材料に起因する場合は原則として請負人は責任を負いません(民法636条)。原因が複合している場合は、記録に基づいて負担割合を協議することになります。

Q. 引き渡し後、いつまで是正を求められる可能性がありますか?

種類・品質に関する契約不適合は、注文者が不適合を知った時から1年以内の通知が必要とされています(民法637条)。また、新築住宅については、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分に関して、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任が住宅品質確保促進法で定められています(出典:住宅の品質確保の促進等に関する法律(e-Gov法令検索))。契約書で保証期間を定めている場合は、その内容もあわせて確認してください。

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