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経審(経営事項審査)とは?流れ・点数と2026年改正を解説

建設会社向けに経営事項審査(経審)の流れ・総合評定値P点の計算・2026年7月改正を解説する記事のアイキャッチ

2026年7月1日、経営事項審査のルールが変わりました。社会保険の未加入による減点がなくなり、代わりに「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」で5点の加点が新設されています。これから受審する会社は、この改正後の基準で点数が計算されることになります。

経審は、公共工事を直接請け負うために必ず受ける審査です。ただ、点数がどう決まるのか、何を準備すればいいのかが分かりにくく、行政書士に任せきりで中身を把握できていない会社も少なくありません。

この記事では、経審の基本から申請の流れと必要書類、総合評定値P点の計算方法、費用と有効期間、そして2026年7月の改正内容までを一通り整理しました。あわせて、点数を上げるために日々の工事で何をすればいいのかも具体的に書いています。読み終えるころには、自社の結果通知書のどこを見て、次の決算までに何を手当てすればいいのかがはっきりするはずです。

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目次

経営事項審査(経審)とは?公共工事を直接請け負うために必要な審査

建設業許可と経審の役割の違いを左右2カラムで対比した図(許可は建設業を営む入口、経審は公共工事入札の入口)

経審を受けないと公共工事は請けられない

経営事項審査、通称「経審(けいしん)」は、国や地方公共団体が発注する公共工事を直接請け負おうとする建設業者が、必ず受けなければならない審査です(出典:国土交通省 関東地方整備局「経営事項審査制度の概要について」)。審査を行うのは、建設業許可を出している許可行政庁、つまり国土交通大臣または都道府県知事です。

ここで混同しやすいのが、建設業許可との関係です。許可は「建設業を営むための入口」、経審は「公共工事の入札に参加するための入口」で、まったく別の手続きになります。許可を持っているだけでは公共工事を直接受注できませんし、経審を受けていても許可がなければ意味がありません。両方そろって初めて、公共工事の土俵に上がれます。

もうひとつ押さえておきたいのが、経審は「合否」を判定する審査ではないという点です。決算書の数字や技術者の人数、加点項目への取り組み状況などを決められた計算式に当てはめ、総合評定値(P点)という1つの点数を出す仕組みになっています。落ちる・受かるではなく、何点だったかが結果として通知されます。

なお、審査の対象になるのは元請として公共工事を直接請け負う場合です。下請として公共工事に入るだけなら、経審は必須ではありません。

経審を受けることで得られる4つのメリット

「公共工事をやるつもりはないから関係ない」と考えている会社も少なくありません。ただ、経審で得られるものは入札資格だけではないというのが実際のところです。

  • 公共工事の入札参加資格が得られる:発注者ごとの資格審査(指名願い)を出す前提条件になります
  • 点数が対外的な信用のものさしになる:P点は公表されるため、金融機関や取引先が自社を見る材料になります
  • 自社の経営指標を客観的に棚卸しできる:自己資本比率や利益の出方を、業界共通のものさしで確認できます
  • 民間工事の元請選定でも参考にされることがある:発注者によっては経審の点数を業者選定の目安に使っています

特に3つ目は、公共工事をやらない会社にとっても意味があります。経審の点数は建設会社の経営体力をそのまま反映するので、「自社がどのくらいの水準にいるのか」を毎年測定する健康診断のように使えます。

【2026年7月改正】経審のここが変わった

2026年7月1日施行の経審改正3点(社会保険の減点項目削除・自主宣言制度5点加点の新設・建設機械9機種から11機種へ拡大)を並べたインフォグラフィック

まず、直近の改正内容を表で整理します。2026年(令和8年)7月1日施行の改正で、社会性等(W点)の中身が大きく入れ替わりました(出典:国土交通省「経営事項審査の主な改正事項(令和8年2月6日公布)」)。

改正項目改正前改正後
雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入状況各未加入で-40点(W1-1〜W1-3)審査項目から削除
建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度の宣言の有無なし5点(新設)
就業履歴を蓄積するための措置の実施状況全建設工事15点/全公共工事10点全建設工事10点/全公共工事5点
建設機械の保有状況(W7)の対象機械9機種11機種に拡大
W素点の合計最高237点/最低-210点最高237点/最低-90点

この改正は令和8年7月1日以降の申請に適用されます。すでに施行済みなので、これから受審する会社は改正後のルールで点数が計算されます。表の見方としては、上の3行が「担い手の育成・確保」に関する見直し、4行目が災害対応力の評価、そして最下行がそれらの結果として動いたW点のレンジです。以下、順に中身を見ていきます。

社会保険加入の減点項目(各-40点)が廃止された

これまでW点には、雇用保険・健康保険・厚生年金保険それぞれの未加入に対して-40点、最大で-120点という減点措置がありました。これが2026年7月から審査項目そのものごと削除されています。

背景はシンプルです。令和2年10月1日以降、建設業許可・更新の要件に社会保険加入が追加されました。許可の更新期間は5年なので、令和7年10月1日以降に許可を持っている建設業者は、そもそも社会保険加入を満たしていることになります。経審の段階で改めて確認する必要が乏しくなった、というのが国土交通省の説明です。

実務上の影響としては、申請時の確認資料が減って事務が軽くなります。一方で、これまで社会保険にきちんと加入して減点を免れていた会社にとっては、その分の相対的な優位がなくなったとも言えます。W素点の最低点が-210点から-90点に切り上がったのは、この削除がそのまま効いているためです。

「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」で5点の加点が新設

代わりに新しく入ったのが、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無です。宣言していれば5点の加点になります。

加点の要件は2つあります。審査基準日(決算日)が宣言日以降であること、そして宣言書と誓約書が提出されていることです。ここが実務でいちばん間違えやすいポイントで、決算日を過ぎてから宣言しても、その年の経審には反映されません。次の決算日を待つことになるので、加点を狙うなら決算日より前に宣言を済ませておく必要があります。

宣言は国土交通省のポータルサイトから申請でき、受付は2025年(令和7年)12月12日に始まっています(出典:国土交通省「『建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度』が始まります!」)。手続き自体は自主宣言制度のポータルサイトで完結するので、費用をかけずに取りにいける加点です。

あわせて、CCUSの就業履歴を蓄積するための措置については配点が見直され、民間工事を含む全ての建設工事で15点から10点へ、全ての公共工事で10点から5点へと引き下げられました。宣言の5点と就業履歴の減点分をならすと、W1全体の最高点は77点で改正前と変わっていません。加点の取り方の中身が組み替えられた、と理解しておくとよさそうです。

建設機械の加点対象が9機種から11機種へ

建設機械の保有状況(W7)については、加点対象となる機械に「不整地運搬車」と「アスファルト・フィニッシャ」が追加されました。これで対象は9機種から11機種になります。

追加の理由として国土交通省が挙げているのが、令和6年能登半島地震での活用実績です。災害時の復旧対応に使われた実績が確認された機械を評価する、という考え方が背景にあります。加点は保有台数に応じて最大15点(14台以上保有する場合)です。

自社の保有機械を一度リストアップして、加点対象に入るものがないか確認してみてください。すでに持っている機械が対象に入っていたのに申告していなかった、というもったいないケースは実際にあります。

経審の流れと必要書類【決算から結果通知まで】

経審の申請手順を示す5ステップのフロー図(決算確定→決算変更届→経営状況分析の申請→経営規模等評価申請・総合評定値請求→結果通知書の受領)

決算日を起点にした5つのステップ

経審の手続きは、決算日(審査基準日)を出発点に進みます。全体の流れは次のとおりです。

  1. 決算を確定させる:審査基準日は原則として直前の事業年度終了日。ここの決算内容がそのまま点数になります
  2. 決算変更届(事業年度終了届)を提出する:許可行政庁へ。経審の前に必ず済ませておく手続きです
  3. 経営状況分析を申請する:国土交通大臣が登録した経営状況分析機関へ申請し、分析結果通知書(Y点)を受け取ります
  4. 経営規模等評価申請・総合評定値請求を行う:許可行政庁へ。分析結果通知書を添えて申請します
  5. 結果通知書を受け取る:X・Y・Z・Wと総合評定値P点が記載されたものが届きます

ここで見落としやすいのが2番目です。決算変更届を出していないと経営規模等評価申請を受け付けてもらえない自治体が多く、「決算から何年分もまとめて出す羽目になった」という話は珍しくありません。決算後4か月以内の届出が原則なので、決算のたびに片づけておくのが結局いちばん早道です。

決算変更届と経営状況分析申請でつまずかないために

決算変更届では、工事経歴書と直前3年の各事業年度における工事施工金額を提出します。このとき提出する財務諸表は、建設業法で定められた様式に組み替えたものが必要です。税務署に出した決算書をそのまま使えるわけではない点に注意してください。

完成工事高の計上区分や、完成工事原価報告書の材料費・労務費・外注費・経費への振り分けは、そのままY点やX1に影響します。日々の工事原価がどの科目に落ちているかを整理できていないと、この組み替え作業に毎年時間を取られます。

経営状況分析の申請先は、国土交通大臣が登録した経営状況分析機関です。どの機関に申請してもY点の計算方法は同じなので、手数料や処理スピード、電子申請への対応などで選ぶことになります。分析結果通知書が届くまでに1週間前後かかることが多いため、そこも逆算してスケジュールを組んでおきましょう。

経営規模等評価申請・総合評定値請求の必要書類

許可行政庁への申請で必要になる主な書類は次のとおりです。細かい様式や確認資料は自治体ごとに違うので、必ず申請先の手引きを確認してください。

  • 経営規模等評価申請書・総合評定値請求書
  • 工事経歴書、直前3年の各事業年度における工事施工金額
  • 経営状況分析結果通知書(原本)
  • 技術職員名簿と、資格を証明する書類の写し
  • 納税証明書(消費税および地方消費税など。求められるものは申請先によって異なります)
  • 各種加点項目の確認資料(建退共の加入証明、退職金制度の規程、防災協定の写しなど)

このうち手間がかかるのが技術職員名簿です。資格の種類や実務経験によって加点が変わるため、誰をどの業種で申請するかで点数が動きます。有資格者が複数業種に該当する場合、割り振り方を検討する余地もあります。

申請前セルフチェックリスト

初めて経審を受ける会社や、点数が伸び悩んでいる会社向けに、申請前に確認しておきたい項目をまとめました。このチェックは決算日の前に行うのがポイントです。決算が締まってからでは打てる手がほとんどなくなります。

確認項目見るところ
決算変更届過去の事業年度分をすべて提出済みか
完成工事原価の科目分類材料費・労務費・外注費・経費が実態どおりに分かれているか
完成工事高の計上業種ごとの振り分けが工事経歴書と一致しているか
技術者の資格監理技術者資格者証や講習の有効期限が切れていないか
建退共・退職金制度加入手続きが審査基準日までに完了しているか
自主宣言制度宣言日が審査基準日より前になっているか
保有建設機械11機種の対象に該当する機械を漏らしていないか
防災協定自治体や団体との協定を締結しているか

上から3つは決算そのものの話なので、決算作業に入る前、できれば期中から意識しておきたい項目です。下の5つは手続きさえ済ませれば取れる加点なので、決算日の2〜3か月前に一度棚卸ししておくと取りこぼしが減ります。

経審の点数(総合評定値P点)はどう計算されるのか

総合評定値P点の構成比を示す積み上げ帯グラフ(X1完成工事高25%、X2自己資本額等15%、Y経営状況20%、Z技術力25%、W社会性等15%)と計算式

P点の計算式とウエイト

総合評定値P点は、5つの評点を決められた比率で足し合わせて算出します。

P=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W

各評点の中身と点数レンジは次のとおりです。ここに並ぶのは素点を換算したあとの「評点」で、先ほどの改正表に出てきたW素点とは別の数字です(出典:国土交通省「経営事項審査の主な改正事項(令和8年7月1日施行)」)。

評点審査項目最高点/最低点ウエイト
X1(経営規模)完成工事高(許可業種別)2,309点/397点0.25
X2(経営規模)自己資本額、利払前税引前償却前利益2,280点/454点0.15
Y(経営状況)負債抵抗力、収益性・効率性、財務健全性、絶対的力量1,595点/0点0.20
Z(技術力)技術職員数(許可業種別)、元請完成工事高(許可業種別)2,441点/456点0.25
W(社会性等)担い手の育成・確保、営業継続、防災貢献、法令遵守ほか2,073点/-788点0.15
P(総合評定値)2,159点/163点

表を見ると分かるとおり、ウエイトが最も大きいのはX1(完成工事高)とZ(技術力)で、それぞれ25%です。この2つでP点の半分が決まります。つまり「工事をどれだけ受注しているか」と「技術者を何人抱えているか」が、点数の骨格をつくっているわけです。

X1(完成工事高)とX2(自己資本額・平均利益額)

X1は土木一式・建築一式といった許可業種ごとの完成工事高を評価します。単年度ではなく、2年平均か3年平均のどちらかを選べる仕組みで、一度選んだ方式は全業種に共通で適用されます。売上が伸びている局面なら2年平均、落ち込んだ年があるなら3年平均のほうが有利になることが多く、ここは毎年シミュレーションする価値があります。

X2は自己資本額と、利払前税引前償却前利益(EBITDA。営業利益に減価償却実施額を足したもの)の2つで構成されます。自己資本額は審査基準日時点か2年平均かを選択でき、利益は2年平均です。利益を出して内部留保を積み上げるという当たり前の経営努力が、そのまま点数として返ってくる項目になっています。

Y(経営状況分析)の8指標

Yは決算書から算出する8つの財務指標で決まります。4つの区分に2指標ずつ割り当てられています。

  • 負債抵抗力:純支払利息比率、負債回転期間
  • 収益性・効率性:総資本売上総利益率、売上高経常利益率
  • 財務健全性:自己資本対固定資産比率、自己資本比率
  • 絶対的力量:営業キャッシュフロー、利益剰余金

借入が多くて利息負担が重い、利益率が低い、自己資本が薄い——このどれかに当てはまるとY点は伸びません。逆に言えば、資金繰りと利益体質の改善がそのままY点の改善になります。8指標のうち純支払利息比率の係数がとりわけ大きいため、無駄な借入を減らすことの効果は思っているより大きいはずです。

Z(技術力)とW(社会性等)

Zは技術職員数と元請完成工事高で構成されます。技術職員は保有資格によって重み付けが変わり、1級国家資格者で監理技術者資格者証と講習受講の両方を満たす人がもっとも高く評価されます。資格取得を計画的に進めている会社ほどZ点は伸びていきます。

Wは社会性等と呼ばれる項目群で、担い手の育成・確保、営業継続の状況、防災活動への貢献、法令遵守、建設業の経理の状況、研究開発、建設機械の保有、ISO等の認証という8分類で構成されます。1つあたりの点数は小さいものの、手続きさえすれば取れる加点が多いのがWの特徴です。ここを丁寧に拾うかどうかで、同じ規模の会社でも数十点の差がつきます。

経審の評点を上げる実務的な打ち手

事務所のデスクで決算書とノートパソコンの数字を突き合わせながら経営指標を確認している様子

「今年は工事が忙しかったのに点数が下がった」経審の結果を見てそう感じた経営者は少なくありません。完成工事高は伸びているのに、利益が薄くてY点とX2が落ち、トータルではマイナスになるパターンです。売上を追うだけでは点数は上がらない、というのが経審の設計思想です。

決算のつくり方でY点とX2は動く

いちばん効くのは、当たり前ですが利益を残すことです。利益剰余金が積み上がれば自己資本比率も自己資本対固定資産比率も改善し、Y点の4区分のうち3つに好影響が出ます。X2の自己資本額も同時に上がるので、一石二鳥どころではありません。

そのうえで、決算作業で意識したい点をいくつか挙げます。

  • 不要な借入を減らし、純支払利息比率を改善する
  • 遊休資産や回収見込みのない売掛金を整理し、総資本を圧縮する
  • 完成工事原価と販売費及び一般管理費の区分を実態に合わせる
  • 決算日をまたぐ工事の売上計上時期を、根拠を持って処理する

最後の項目は税務と会計のルールに従う範囲での話で、恣意的な操作をすすめるものではありません。ただ、工事の完成引渡しがいつだったかを正確に管理できていないために、本来その期に計上できたはずの完成工事高が翌期にずれる、といったことは現場でよく起きています。

技術者の資格取得でZ点を積み上げる

Z点はウエイト0.25と大きいわりに、短期で動かしにくい項目です。だからこそ計画的に取り組む価値があります。

1級施工管理技士が1人増えるだけでも点数への影響はそれなりに大きく、若手に受験してもらう、受験費用と講習費用を会社が負担する、といった仕組みを整えている会社は着実に点数を伸ばしています。監理技術者資格者証の交付と監理技術者講習の受講がそろっているかも、毎年の確認事項に入れておいてください。

経審の点数は決算書から逆算されるため、期末に慌てても打てる手はほとんど残っていません。工事ごとの原価と粗利を進行中から把握し、利益の着地を見ながら期中に手を打てるのが工事管理システムuconnectです(30日間無料・初期費用0円)。

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加点項目(W点)を取りこぼさない

W点は、費用も手間も比較的小さい割にすぐ点数になる項目が並んでいます。自社に当てはまるのに未対応のものがないか、次のリストで確認してみてください。

  • 建設業退職金共済制度(建退共)への加入
  • 退職一時金制度または企業年金制度の導入
  • 法定外労働災害補償制度への加入
  • 自治体や業界団体との防災協定の締結
  • 建設業経理士など有資格者による経理体制の整備
  • ISO9001・ISO14001などの認証取得
  • 建設技能者を大切にする企業の自主宣言(2026年7月から5点)

どれも審査基準日までに手続きが完了していることが条件です。「来月加入しようと思っていた」では1年待つことになるので、決算日の3か月前には着手状況を確認しておいてください。

工事ごとの利益を見える化することが評点の土台になる

ここまで見てきたとおり、P点の6割(X1・X2・Y)は決算書の数字で決まります。そして決算書は、1年間の工事1件1件の積み重ねでしかありません。

赤字の現場が数件混ざっているだけで、粗利は簡単に削られます。問題は、それが分かるのが決算を締めたあとになりがちなことです。工事別の原価をExcelで月末にまとめている会社だと、どうしても1〜2か月遅れの情報で経営判断することになります。

工事ごとの実行予算と実績の差異を進行中に把握できていれば、赤字が見えた時点で追加の原価を抑える、増額変更を交渉する、といった手が打てます。実行予算の管理を仕組みにしておくことが、結果としてY点とX2を押し上げる一番の近道です。

経審の費用と有効期間【1年7か月ルール】

審査基準日から1年7か月の有効期間を示すタイムラインと、経営規模等評価申請・総合評定値請求の手数料を並べた図

法定手数料と経営状況分析の手数料

経審にかかる費用は、許可行政庁に払う法定手数料と、経営状況分析機関に払う分析手数料の2本立てです。法定手数料は次のように決まっています(出典:国土交通省「経営事項審査及び総合評定値の請求について」)。

申請の種類手数料
経営規模等評価申請8,100円+審査を受ける建設業1種類につき2,300円
総合評定値請求400円+審査対象業種1種類につき200円
両方を同時に申請する場合8,500円+業種数×2,500円

たとえば2業種で両方を申請するなら、8,500円+2,500円×2=13,500円です。ここに経営状況分析機関への手数料が加わりますが、こちらは機関ごとに料金設定が異なるため、申請先の公式サイトで最新の金額を確認してください。

行政書士に手続きを依頼する場合は別途報酬がかかります。初回や、業種数が多くて技術職員名簿が複雑な会社は、専門家に任せたほうが結果的に安く済むケースもあります。

有効期間は審査基準日から1年7か月

経審の結果通知書の有効期間は、審査基準日から1年7か月です(出典:国土交通省 関東地方整備局「経営事項審査制度の概要について」)。

ここで間違えやすいのが起算日です。結果通知書を受け取った日ではなく、審査基準日(決算日)から数えます。決算日が3月31日なら、有効期間は翌年10月31日まで。決算から経審の結果が出るまでに数か月かかることを考えると、実質的に使える期間はもっと短くなります。

決算日が1年で1回巡ってくるのに対し、有効期間は1年7か月。この7か月の余裕をどう使うかが受審サイクルの設計になります。毎年公共工事を請け負う予定なら、決算後できるだけ早く受審して、有効期間が切れ目なくつながるようにしておくのが基本です。うっかり空白期間ができると、その間は公共工事を直接請け負えません。

経審の結果は入札にどう効いてくるのか

P点が高いほど上位等級へ進む格付けの関係を、C・B・Aランクと工事規模で示した階段状のピラミッド図

P点が800点だった会社と1,000点だった会社で、何が変わるのか。この違いが最もはっきり表れるのが、発注者ごとの等級(ランク)格付けです。

P点で決まる等級格付け

多くの発注者は、入札参加資格審査でP点をもとに業者をA・B・Cといった等級に分けています。そして工事の規模ごとに「この金額帯の工事はAランクのみ」というように参加できる等級を決めています。

つまりP点は、参加できる工事の大きさを直接左右します。ランクの境目に近い点数の会社にとっては、数十点の違いが受注できる工事の規模を変えることになるわけです。格付けの基準は発注者ごとに違い、P点に加えて工事実績や地域要件などの主観的評価点を加味する自治体も多いため、狙っている発注者の資格審査要領を必ず確認してください。

経審の結果は公表される

経審の結果は、国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムなどで公表されています。自社の点数が誰でも見られる状態にあるということは、裏を返せば同業他社の点数も確認できるということです。

同じ地域・同じ業種でよく競合する会社の点数を見ておくと、自社がどのランクを目指すべきかが具体的になります。年に一度、競合数社の点数をチェックする習慣をつけておくと、目標設定の解像度が上がります。

経審に関するよくある質問

Q. 経審は毎年受けなければいけませんか。

公共工事を継続して直接請け負うのであれば、実質的に毎年の受審が必要です。有効期間が審査基準日から1年7か月しかないため、1年空けると有効期間が途切れます。公共工事を請け負う予定がない年は受けなくても差し支えありません。

Q. 建設業許可を取ったばかりでも経審を受けられますか。

受けられます。決算期を1期も終えていない新設法人でも、法人設立日(個人事業主の場合は創業の日)が審査基準日として扱われるため、受審自体は可能です。ただし完成工事高の実績がほとんどないためX1は最低水準にとどまり、P点も低く出ます。細かい取り扱いは申請先の許可行政庁の手引きで確認してください。

Q. 決算日を変更すると点数はどうなりますか。

決算期変更を行うと、その事業年度が12か月に満たなくなることがあります。完成工事高は年換算して評価する扱いになりますが、取り扱いは許可行政庁に確認してください。安易な決算期変更は点数を下げる要因になり得ます。

Q. 赤字だと経審は受けられませんか。

受けられます。赤字でもP点は算出されます。ただしY点とX2が下がるため、点数としては不利になります。Y点の下限は0点なので、赤字が続くとY点がほとんど期待できなくなる点は意識しておいてください。

Q. 業種を追加すると点数は上がりますか。

業種を増やすこと自体が点数を上げるわけではありません。P点は許可業種ごとに算出されるため、完成工事高や技術職員を分散させると、かえって1業種あたりの点数が下がることもあります。どの業種で入札に参加したいかを決めてから、実績と技術者を寄せる考え方が有効です。

Q. 2026年7月の改正で、過去に受けた経審の点数も変わりますか。

変わりません。改正は令和8年7月1日以降の申請に適用されます。すでに交付されている結果通知書の点数はそのままで、有効期間内は従来どおり使えます。

経審の点数につながる利益を、日々の工事から積み上げる

工事管理システムuconnect(ユーコネクト)のサービス紹介画像

経審の点数は、決算書ができあがった時点でほぼ決まっています。P点の6割を占めるX1・X2・Yは、すべて決算数値から算出されるためです。だからこそ、期末の対策より期中の利益管理のほうが効いてきます。

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  • 工事別の実行予算と実績原価の差異を、進行中に把握できる
  • 赤字になりそうな現場を早い段階で見つけ、期中に手を打てる
  • 工事台帳が自動で作成され、決算時の集計作業が軽くなる
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工事の進め方は会社ごとに違うので、導入前に自社の業務フローとどれくらい噛み合うかを確認できます。まず適合性を見てから判断するほうが確実です。

まとめ

最後に要点を整理します。

  • 経審は公共工事を直接請け負うために必ず受ける審査で、合否ではなく総合評定値(P点)という点数が出る
  • 2026年7月1日施行の改正で、社会保険加入の減点項目(各-40点)が削除され、自主宣言制度による5点の加点が新設された
  • P点は「0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W」で計算され、完成工事高と技術力のウエイトがそれぞれ25%と大きい
  • 手続きは決算変更届→経営状況分析→経営規模等評価申請の順。有効期間は審査基準日から1年7か月で、結果通知日からではない
  • 加点項目の多くは審査基準日までに手続きを終えている必要があるため、決算日より前に準備を終えられるかがものを言う

点数を上げたいなら、まずは直近の結果通知書を開いて、X1・X2・Y・Z・Wのどこが弱いのかを確認するところから始めてみてください。そのうえで、決算日の3か月前に加点項目のチェックリストを一度回す。この2つを毎年の習慣にするだけでも、点数の伸び方は変わってきます。

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