「freeeの会計データをもっと手軽に確認できたらいいのに」「毎月の請求書処理を自動化したい」。そう感じたことのある方に知ってほしいのが、freee MCPという仕組みです。MCP(Model Context Protocol)は、AIと外部サービスをつなぐ標準規格。freeeがこの規格に対応したMCPサーバーをオープンソースで公開したことで、AIに話しかけるだけでfreeeの会計・人事労務・請求書などの操作が可能になりました。この記事では、freee MCPの基本的な仕組みから導入手順、会計業務や請求書管理の自動化活用法、さらには導入時のよくあるトラブルと解決策まで、実務で使える情報をまとめています。リモート版ならURLを指定するだけで比較的始めやすいので、まずは全体像をつかむところから読み進めてみてください。
本記事の情報は2026年4月時点のものです。最新の仕様や機能はfreee公式サイトおよびGitHubリポジトリをご確認ください。
freee MCPの概要と基本情報

会計ソフトや人事労務ソフトのデータを、AIに「話しかけるだけ」で操作できたら便利だと思いませんか。freee MCPは、まさにそれを実現するための仕組みです。ここではMCPの基本と、freeeがこの技術を提供するに至った背景を解説します。
MCP(Model Context Protocol)とは
MCPとは「Model Context Protocol」の略で、AIモデルと外部のサービスやデータをつなぐための標準的な通信規格です。Anthropic社(AIアシスタント「Claude」の開発元)が2024年に提唱し、オープンな仕様として公開しました。
従来、AIに外部サービスの情報を読み書きさせるには、サービスごとに個別のAPI連携プログラムを開発しなければなりませんでした。MCPはその「つなぎ方」を標準化し、一度対応すればさまざまなAIクライアントから同じ方法でアクセスできるようにしています。
わかりやすくたとえるなら、USB規格に似た存在です。USB以前はプリンターもマウスもそれぞれ専用のケーブルが必要でしたが、USBの登場で1つの規格に統一されました。MCPはAIと外部サービスの接続において、同じ役割を担っています。
(参考:Anthropic「Model Context Protocol」公式サイト)
MCPが解決する課題とその重要性
中小企業の経理担当者が「今月の売掛金一覧を出して」「先週の仕訳データを確認したい」と思ったとき、通常はfreeeにログインし、画面を操作して情報を探す必要があります。APIを使えば自動化も可能ですが、プログラミングの知識が求められるため、現場では手作業のままというケースが少なくありません。
MCPを使えば、AIクライアント(Claude DesktopやClaude Codeなど)を通じて、自然な言葉でfreeeのデータを操作できるようになります。「先月の未入金の請求書を一覧にして」と指示するだけで、AIがfreeeのAPIを呼び出し、結果を返してくれるわけです。
つまり、プログラミングの知識がなくても業務データを活用できる。これがMCPの大きな利点です。
freee MCPの開発背景
freee株式会社は2026年3月、AIエージェントからfreeeの基幹業務を操作できるMCPサーバー「freee-mcp」をOSS(オープンソースソフトウェア)として公開しました。GitHub上で誰でもソースコードを確認・利用できます。
その後、2026年3月下旬にはローカル環境へのインストールが不要な「リモート版」の提供も始まりました。技術的なハードルが下がったことで、エンジニア以外のユーザーにも利用の道が広がっています。
OSSとして公開した背景には、MCPエコシステム全体を活性化し、freeeのサービスをAI時代の業務基盤として位置づけたいという狙いがあるようです。
(参考:freee株式会社プレスリリース「AIエージェントからfreeeの基幹業務を操作可能にするMCPサーバー『freee-mcp』をOSSとして公開」)
freee MCPの機能と特徴

freee MCPは会計処理だけでなく、freeeが提供する複数のサービスに横断的にアクセスできます。ここでは具体的な機能と、従来の方法との違いを見ていきましょう。
MCPの主な機能と対応サービス
freee MCPが対応しているfreeeのサービスは以下のとおりです。
| 対応サービス | 主な操作例 |
|---|---|
| freee会計 | 仕訳の作成・検索、勘定科目の一覧取得、試算表の出力 |
| freee人事労務 | 従業員情報の取得、勤怠データの確認 |
| freee請求書 | 請求書の作成・一覧・ステータス確認 |
| freee工数管理 | 工数の記録・集計 |
| freee販売 | 見積・受注・売上の管理 |
| freeeサイン | 電子契約の作成・管理(OSS版のみ対応) |
これらの操作を、AIクライアントからの自然言語指示でおこなえるのが最大の特徴でしょう。「今月の交際費の仕訳一覧を出して」と伝えるだけで、freee会計から該当データを取得してくれます。
従来の連携手法との違い
freeeにはもともとREST APIが用意されており、プログラムからデータを操作すること自体は可能でした。ただし、APIを直接使うにはエンドポイントの仕様を理解し、認証トークンを管理し、リクエストを正しい形式で送らなければなりません。エンジニアでなければ難しい作業です。
freee MCPを使うと、こうした技術的な作業をAIが肩代わりしてくれます。利用者は「何をしたいか」を自然言語で伝えるだけ。AIがMCPサーバーを通じて適切なAPIを選び、パラメータを組み立てて実行する流れです。
もう一つ見逃せない違いとして、MCPは標準規格のため、Claude Desktop以外のMCP対応AIクライアント(CursorやCline等)からも同じfreee-mcpサーバーに接続できる点があります。特定のAIに依存しない柔軟な設計です。
MCPエコシステムの広がり
MCPはfreeeだけの技術ではありません。2026年4月時点で、GitHub、Slack、Google Drive、PostgreSQLなど多数のサービスがMCPサーバーを公開しています。
これらを組み合わせると、「freeeの請求データをGoogleスプレッドシートにまとめて、Slackで報告する」といった複数サービスをまたぐ業務フローも、AIへの指示だけで実行できる可能性が出てきます。
MCPサーバーの一覧は、Anthropicが運営する公式のModel Context Protocol Registryで確認できます。コミュニティベースの「Awesome MCP Servers」なども参考になりますが、一次情報としてはまず公式Registryをチェックし、自社で使っているサービスに対応したMCPサーバーがあるか探してみてください。
freee MCPの導入と設定方法
ここからは実際の導入手順を解説します。ローカル版とリモート版の2つの方法があり、自社の環境に合ったほうを選べます。
導入に必要な準備
freee MCPを利用するには、以下の準備が必要です。
- freeeアカウント: 会計・人事労務など、操作したいサービスの契約が必要
- MCP対応のAIクライアント: Claude DesktopやClaude Code、Cursorなど
- freeeアプリの登録(ローカル版を使う場合): freeeアプリストアでアプリを新規作成し、コールバックURLに
http://127.0.0.1:54321/callbackを設定して、Client IDとClient Secretを取得
ローカル版の場合はNode.jsが動作する環境も必要です。一方、リモート版ならこうした事前準備は不要で、Claude Desktopからfreee公式のMCPサーバーURLを指定し、freeeにログインするだけで使い始められます。
ローカル版とリモート版の接続方法
ローカル版は、自分のPCでMCPサーバーを起動する方式です。まずターミナルで以下のコマンドを実行し、対話式ウィザードでClient ID・Client Secret・事業所の選択などをおこないます。
npx freee-mcp configure
このときブラウザ経由でOAuth認証がおこなわれ、アクセストークンが自動で保存されます。以後のトークン更新もfreee-mcpが自動で処理します。
続いて、Claude Desktopの設定ファイル(claude_desktop_config.json)に以下を追加してください。
{
"mcpServers": {
"freee": {
"command": "npx",
"args": ["freee-mcp"]
}
}
}
設定後、Claude Desktopを再起動すれば接続完了です。
リモート版は、freeeが提供するクラウド上のMCPサーバーに接続する方式で、PC側にNode.jsなどの環境を用意する必要がありません。Claude Desktopの「カスタマイズ」→「カスタムコネクタを追加」から、以下のURLを指定します。
- URL:
https://mcp.freee.co.jp/mcp
接続後にfreeeへログインすれば、そのまま利用を開始できます。フィッシング対策として、freee公式が案内するURL以外は指定しないよう注意してください。
(参考:freee株式会社「OSSとして公開した『freee-mcp』のリモート版の提供を開始」)
Agent Skills(API リファレンス・操作レシピ)の導入
freee公式は、MCPサーバー(APIの呼び出し口)とセットでAgent Skills(APIリファレンス・操作レシピ集)を配布しており、両者を組み合わせて利用する前提になっています。Agent Skillsを入れておくと、AIがfreeeのAPI仕様や使い分けを正しく理解し、より精度の高い操作がおこなえます。ローカル版・リモート版のどちらを使う場合でも併せて導入してください。
Claude DesktopとClaudeへの導入手順:
- freee-mcp の Releases ページから最新の
freee-api-skill.zipをダウンロード - Claude Desktopを開き、「カスタマイズ」→「スキル」からダウンロードしたzipファイルをアップロード
Claude Codeを使う場合は、ターミナルで以下のコマンドを実行すれば導入できます。
npx skills add freee/freee-mcp
よくあるトラブルと解決策
導入時につまずきやすいポイントをまとめました。
認証エラーが出る場合
Client IDやClient Secretの入力ミス、あるいはコールバックURLの設定不備が原因の多くを占めます。freeeアプリストアのアプリ設定を開き、コールバックURLが http://127.0.0.1:54321/callback になっているかを確認のうえ、npx freee-mcp configure を再実行して認証をやり直してください。アクセストークンはfreee-mcpが自動でリフレッシュするため、通常は手動での再発行は不要です。
「サーバーに接続できません」と表示される場合
ローカル版では、Node.jsと npx コマンドが使える状態になっているかをまず確認してください。node -v と npx -v で応答が返らない場合は、Node.jsのインストールや環境変数(PATH)の設定を見直します。リモート版の場合は、ファイアウォールやプロキシの設定が接続をブロックしていないかを確認しましょう。
操作を実行しても結果が返ってこない場合
freeeは製品・プラン・ユーザー権限の組み合わせによって、利用できる機能やAPIが異なります。実行したい操作が対象APIでサポートされているか、契約中のプランで制限を受けないかを、freee公式ヘルプで確認してみてください。
権限エラーが発生する場合
freeeのアプリ登録時に必要な権限スコープを設定していないと、データの読み書きが拒否されます。会計データを操作するなら「会計」の権限、請求書なら「請求書」の権限をそれぞれ許可する必要があります。
freee MCPを活用した業務自動化の実践

ここからは、freee MCPを使った具体的な業務自動化の例を紹介します。日々の経理・労務作業をどのように効率化できるか、イメージをつかんでください。
会計・経理業務の自動化例
会計業務での活用例としては、以下のようなものがあります。
- 仕訳の一括確認: 「今月の旅費交通費の仕訳を一覧にして」と指示すると、該当する仕訳データをまとめて取得
- 試算表の確認: 「前月の損益計算書を見せて」と伝えれば、PLの概要を表示
- 勘定科目の検索: 「消耗品費の科目コードを教えて」のような細かい問い合わせにも対応
手作業でfreeeの画面を何度もクリックして探していた情報が、一言の指示で手に入ります。月末の締め作業や税理士への報告資料の準備で、特に時間短縮の効果を実感できるはずです。
請求書管理の効率化
請求書まわりの業務は、MCPとの相性がよい分野です。
たとえば「未入金の請求書を一覧にして」と指示すれば、ステータスが「未入金」の請求書だけを抽出してくれます。「A社宛の請求書を過去3か月分まとめて」のように、取引先や期間で絞り込む操作も自然言語で可能です。
新規の請求書作成も、「B社宛に10万円の請求書を作成して、件名は『4月分コンサルティング費用』で」と伝えるだけ。AIがfreeeの請求書作成APIを呼び出し、下書きを作成してくれます。最終確認は人間がおこなうので、誤送信のリスクも抑えられます。
人事労務・工数管理への活用
freee人事労務と連携すれば、従業員の勤怠データや給与情報の確認もAI経由でおこなえます。
- 「今月の残業時間が20時間を超えている従業員を教えて」
- 「先月の有給休暇の取得状況を一覧にして」
こうした問い合わせのたびに管理画面にログインして検索する手間がなくなるのは、大きなメリットです。
工数管理では「今週の各プロジェクトの工数をまとめて」といった集計作業が典型的なユースケースでしょう。工数データをCSV出力して手動で集計していた作業が、AIへの一言で完了します。
ただし、人事データには機密性の高い情報が含まれるため、アクセス権限の管理は慎重におこなってください。誰がどのデータにアクセスできるか、freeeの権限設定とMCPのスコープ設定を適切に組み合わせて運用することが大切です。
freee MCPだけでは見えない「案件別の利益」を押さえるには

ここまで紹介してきたように、freee MCPは試算表・仕訳・請求書・工数といったデータを自然言語で引き出せる便利な仕組みです。一方で、AIが取り出せるのはあくまで「freeeに入力された範囲のデータ」であり、会計側では会社全体の損益は見えても、現場ごと・案件ごとの採算までは自動では浮かび上がってきません。
freee工数管理でプロジェクト別の工数を追えたとしても、「その工数が売上に対していくらの原価になっているのか」「この案件は黒字なのか、赤字なのか」を判断するには、売上・外注費・材料費・人件費を案件単位で紐づける仕組みが別に必要です。
工事業や受託開発、設備メンテナンスのように案件ごとに収支が発生するビジネスでは、この部分が弱いと「freeeの数字は整っているのに、なぜか手元にお金が残らない」という状態が起きやすくなります。
そこで検討したいのが、案件別の粗利管理に特化したクラウドソフト「uconnect」です。シリーズ累計3,000社以上に導入されており、小規模〜中規模の事業者でも無理なく運用できる設計になっています。freee MCPと組み合わせる場合、次のような役割分担が現実的です。
- 案件単位の収支を可視化: 見積・発注・請求のデータを案件ごとに集約し、現時点の粗利をリアルタイムで把握できる。赤字の芽を早く拾える
- freee会計との仕訳連携: uconnect側でまとめた売上・原価を仕訳データとしてfreeeへ流せるため、同じ数字を二重に打ち込む手間が減る
- 部門・担当者別の切り口: freeeの試算表では見えにくい「誰の・どの現場の利益率」まで追えるので、経営判断の材料になる
freee MCPで全社の数字をAIに気軽に問い合わせつつ、日々の案件管理はuconnectで押さえる。この分担にすると、経理の効率化だけで終わらず、利益の出し方そのものを見直す動きにつなげやすくなります。
初期費用は無料で、月額7,920円(税込)から利用できます。IT導入補助金の対象にもなっており、30日間の無料トライアルが用意されているので、まずは動いている案件を1〜2件登録して使用感を確かめるところから始めるとよいでしょう。
詳しくはuconnect公式サイトをご覧ください。
まとめ
freee MCPは、AIを通じてfreeeの会計・人事労務・請求書・工数管理などの業務データを自然言語で操作できる仕組みです。プログラミングの知識がなくても、Claude Desktopなどのツールから「話しかけるだけ」で業務を効率化できる点に、大きな可能性を感じた方も多いのではないでしょうか。
この記事のポイントを整理します。
- MCPはAIと外部サービスをつなぐ標準規格で、freeeはOSSとしてMCPサーバーを公開している
- ローカル版とリモート版があり、リモート版なら環境構築なしで利用開始できる
- 会計仕訳の確認、請求書の作成・管理、勤怠データの集計など、日常業務の時間短縮に直結する
- 導入時は認証トークンの管理と権限スコープの設定がポイント
まずはClaude Desktopにfreee MCPを接続して、「試算表を見せて」のような簡単な操作から試してみてください。日々の経理作業を見直すきっかけになるでしょう。
本記事の情報は2026年4月時点のものです。freee MCPの機能やサービス内容は随時更新されるため、最新情報はfreee公式サイトおよびGitHubリポジトリをご確認ください。
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