請求書ソフトを探して検索すると、「おすすめ○選」がずらりと並びます。ただ、並んだ製品を上から選ぶだけでは、建設業では出来高請求や工事ごとの原価管理でつまずくことが少なくありません。建設業の請求は、他業種とは仕組みそのものが違うからです。
この記事では、建設業向けの請求書ソフト計10製品を「発行・電子化特化型」「受領・支払管理型」「工事原価・収支管理型」の3つのタイプに分けて整理し、freeeやMisoca、uconnectなど実在する製品の料金と機能を比較します。あわせて、失敗しない選び方の5つのチェックポイントや、導入のメリット・注意点もまとめました。
読み終えるころには、自社の課題に合うのはどのタイプで、どの製品を検討すればよいかが見えてくるはずです。料金は2026年6月時点の各社公式情報をもとにしています。
建設業に「請求書ソフト」が必要な理由|一般的なソフトとの違い

請求書ソフトと一口にいっても、建設業に向いているものと、そうでないものがあります。理由はシンプルで、建設業の請求は他業種と比べて手続きが複雑だからです。一般的な物販やサービス業の「納品したら全額請求」とは、仕組みそのものが違います。
まずこの違いを押さえておくと、ソフト選びで遠回りせずに済みます。ここでは、建設会社が請求書ソフトを検討するときに知っておきたい3つのポイントを整理します。
出来高請求・部分請求という建設業特有の商習慣
建設業の工事は、数か月から年単位で進むものが珍しくありません。そのため、工事の進み具合に応じて代金を分けて請求する出来高請求(部分請求)が一般的です。たとえば基礎工事が終わった段階で30%、躯体が終わって50%、といった形で請求していきます。
この「契約金額に対して、今いくら請求済みで、残りいくらか」を管理するのは、Excelや手書きだと意外に手間がかかります。請求漏れや二重請求が起きやすいのも、まさにこの部分です。一般的な請求書ソフトは1回完結の請求を前提にしているため、出来高の残額管理までは追いきれないことが多いのが実情です。
たとえば請負金額1,000万円の工事で、これまでに600万円を3回に分けて請求していたとします。次の請求でいくら計上すべきかは、過去の請求履歴を1件ずつ追わないと正しく出せません。複数の現場が同時に動いていれば、この管理は現場の数だけ増えていきます。建設業向けのソフトを選ぶうえで、この出来高の残額をどう扱えるかは外せない視点です。
インボイス制度・電子帳簿保存法への対応が必須に
2023年10月1日にインボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まりました。仕入税額控除を受けるには、原則として一定の事項を記載した帳簿と適格請求書等の保存が必要です。適格請求書には、登録番号、適用税率、税率ごとに区分した消費税額等を記載します。さらに2024年1月からは、所得税・法人税法上の保存義務者がメールやクラウドなどで請求書等に相当する電子データを授受した場合、その電子取引データを所定の要件に従って電子保存する必要があります。紙で授受した書類まで電子化が義務付けられたわけではありません(出典:国税庁「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」、国税庁「電子取引関係」)。
手書きやExcelのままだと、こうした法対応を一つひとつ自分で確認しなければなりません。インボイス制度・電子帳簿保存法に対応した請求書ソフトを使えば、必要な記載項目を備えた請求書を作成し、電子取引データを保存要件に沿って管理しやすくなります。法改正のたびに様式を見直す負担を抑えられるのは、対応ソフトを導入する利点です。
工事ごとの原価・利益管理とつながる
請求は、単に「お金をもらうための書類づくり」ではありません。いくら請求して、その工事にいくら原価がかかったのかを突き合わせて初めて、現場ごとの利益が見えてきます。請求データと原価データがバラバラだと、「忙しかったのに利益が残らない」という状態に気づくのが遅れがちです。
建設業向けのソフトには、請求と原価をひとつの工事台帳でつなぐタイプもあります。請求業務の効率化だけを求めるのか、利益管理まで一気通貫でやりたいのか。ここが、次に説明する「タイプ選び」の入口になります。
建設業向け請求書ソフトは「3つのタイプ」で選ぶ

建設業向けの請求書ソフトは、見た目こそ似ていても、得意な領域が大きく異なります。製品名だけで比べると迷子になるので、まずは3つのタイプに分けて考えるのがおすすめです。自社の一番の悩みがどこにあるかで、選ぶべきタイプが決まります。
| タイプ | 主な役割 | こんな会社に向く |
|---|---|---|
| ①発行・電子化特化型 | 請求書・見積書の作成、送付、電子保存を効率化 | まずは請求書づくりの手間とミスを減らしたい |
| ②受領・支払管理型 | 協力会社から届く請求書の受領・承認・支払管理 | 下請け・外注が多く、受け取る請求書の処理が大変 |
| ③工事原価・収支管理型 | 請求に加えて工事ごとの原価・粗利まで一元管理 | 現場ごとの利益を見える化し、経営に活かしたい |
①は「自社が出す請求書」を、②は「自社が受け取る請求書」を、③は「請求と原価の両方」を扱うイメージです。同じ「請求」でも、出す側か受け取る側かで必要な機能が変わります。多くの建設会社は①から始めて、規模が大きくなるにつれて③を検討する流れが多く見られます。
ここからは、タイプごとに代表的な製品を比較していきます。料金は2026年6月時点で各社の公式サイトに掲載されている内容をもとにしています。最新の料金やプランは、必ず公式サイトでご確認ください。
請求書ソフトをタイプで選ぶとき、請求と工事ごとの原価をまとめて管理したいなら工事原価・収支管理型が候補になります。見積から請求までの帳票を一元化し、工事別の粗利をリアルタイムに把握できるのが工事管理システムuconnectです(シリーズ累計3,000社突破)。
【発行・電子化特化型】おすすめ請求書ソフト比較

まずは、請求書や見積書の作成・送付を効率化する発行・電子化特化型です。比較的低コストで導入でき、無料プランを持つ製品もあります。「とにかく請求書づくりをラクにしたい」という会社が、まず手をつけやすい入口です。
| 製品 | 料金(税抜) | 無料プラン・お試し | 特徴 |
|---|---|---|---|
| freee請求書 | 0円/スタンダード基本料1,980円〜(年払い・一括送信料別) | 無料プランあり | 会計ソフトと連携しやすい |
| マネーフォワード クラウド請求書 | 月2,480円〜(年払い) | 1か月無料 | バックオフィス全体を統合 |
| Misoca | 年8,800円〜 | 無料プランあり(月10通) | 弥生製品との連携が強み |
| board | 月1,200円(個人)/月2,400円〜(法人) | 30日間無料 | 見積から請求までの一元管理 |
| MakeLeaps | 1,000円/ユーザー〜 | 無料プランあり | 取引先・書類の一括管理 |
いずれも建設業に特化したソフトではなく、業種を問わず使える汎用タイプです。出来高請求や工事台帳との連動までは想定していない点には注意してください。
freee請求書
freee請求書は、会計ソフト「freee会計」を提供するフリー株式会社の請求書サービスです。請求書単体の製品として、無料プラン、スタンダード、アドバンスが用意されています。年払い時の基本料金はスタンダードが月額換算1,980円、アドバンスが月額換算10,000円(いずれも税抜)です。一括発行・送信を使う場合は月額換算4,750円からの送信料金が加わるため、スタンダードの料金例は月額換算6,730円からとなります(出典:freee請求書「料金プラン」)。見積書から請求書への変換もスムーズなので、請求書づくりから会計処理まで一気につなげたい会社にぴったりです。
主な機能は次のとおりです。
- 見積書・請求書・納品書・領収書などの作成と送付
- 取引先や金額を選ぶだけのテンプレート入力
- インボイス制度・電子帳簿保存法への対応
- freee会計との自動連携による経理処理の効率化
スマホアプリにも対応しているため、外出先で請求書を確認・発行できるのも便利な点です。まずは無料で使い勝手を試せるので、はじめての一本としても選びやすいでしょう。すでにfreee会計を使っている、あるいはこれから会計までクラウド化したい会社には、特に相性の良いサービスです。
マネーフォワード クラウド請求書
マネーフォワード クラウド請求書は、株式会社マネーフォワードが提供するサービスです。会計・給与・経費などを含むバックオフィス向けサービスとあわせて利用でき、請求書の作成から送付、入金管理までを効率化できます。法人向けは、年払いの「ひとり法人プラン」が月額換算2,480円、「スモールビジネスプラン」が4,480円、「ビジネスプラン」が6,480円(いずれも税抜)です。1か月の無料期間も用意されています(出典:マネーフォワード クラウド請求書「料金・プラン」)。
料金にはクラウド請求書だけでなく複数のバックオフィス向けサービスが含まれます。IPO準備・中堅〜大企業向けの「クラウド請求書Plus」は要問い合わせです。経理や給与もまとめてクラウド化したい会社に適しています。
Misoca(ミソカ)
Misocaは、弥生株式会社が提供する請求書サービスです。月10通までは「ずっと無料」で使えるプランがあり、有料プランもプラン15が年8,800円+税(初年度無料)からと、コストを抑えやすい料金体系になっています(出典:Misoca 公式サイト)。初期費用はかかりません。
弥生会計など弥生シリーズとの連携が強みで、すでに弥生製品を使っている会社なら相性が良いはずです。請求書の枚数がそれほど多くない一人親方や小規模の会社なら、無料プランのままでも十分まかなえるでしょう。
board(ボード)
boardは、ヴェルク株式会社が提供する、見積・発注・請求などを一元管理できるサービスです。個人事業主は月額1,200円のPersonalプラン、法人は月額2,400円のBasicプランから利用でき、30日間の無料お試しもあります(いずれも税抜。出典:board「利用料金」)。見積書から請求書までの流れを一本化したい会社に使いやすい設計です。
書類作成だけでなく、案件ごとの売上や入金の見込みを管理できる点も特徴です。発注書や注文請書にも対応しているため、見積から発注、請求までの一連の書類をひとつの画面で扱えます。少人数でバックオフィスを回していたり、案件単位でお金の流れを把握したかったりする会社には、心強い一本になるはずです。
MakeLeaps(メイクリープス)
MakeLeapsは、リコーグループのメイクリープス株式会社が提供する請求書・見積書管理サービスです。無料プランのほか、個人向け月額1,000円、法人向け月額1,300円(いずれも1ユーザーあたり・税抜)などのプランがあります。法人プランは登録する取引先数に応じた料金も加わります(出典:MakeLeaps「料金プラン」)。取引先や書類をまとめて管理しやすいのが持ち味です。
請求書の発送代行など、書類のやり取りを効率化する機能もそろっています。なお、似た名前の帳票配信サービスに「楽楽明細」(株式会社ラクス)がありますが、こちらは請求書の作成というより、すでにある帳票を電子で配信・発行することに特化したサービスです。役割が違うので、混同しないようにしておきましょう。
【受領・支払管理型】協力会社の請求書処理を効率化するソフト

下請けや協力会社が多い建設会社では、「自社が受け取る請求書」の処理に手を焼くことがよくあります。月末になると協力会社からの請求書が紙やPDFでばらばらと届き、内容の確認・承認・支払いに追われる——。こうした課題を解決するのが、受領・支払管理型のソフトです。
| 製品 | 料金 | 主な機能 | 提供会社 |
|---|---|---|---|
| DigitalBillder | 要問い合わせ | 協力会社からの請求書受領・承認・保管、相殺・査定・保留金対応 | 燈株式会社 |
| ANDPAD請求管理 | 要問い合わせ | 請求書の回収・振り分け、出来高査定・相殺・承認 | 株式会社アンドパッド |
このタイプは、請求書を「出す」のではなく「受け取って処理する」ことに主眼があります。発行型ソフトとは目的が異なるので、自社のどちらの業務が大変かを見極めて選んでください。
DigitalBillder(デジタルビルダー)
DigitalBillderは、燈株式会社が提供する建設業向けのクラウドサービスです。見積・発注・受領請求書処理・経費精算・原価管理を1つにまとめた統合型で、なかでも協力会社から届く請求書の受領・処理に強みがあります。建設業特有の工種ごとの管理や相殺、査定、保留金の扱いにも対応している点が、汎用ツールにはない強みです(出典:DigitalBillder 公式サイト)。
公式サイトでは料金の詳細が公開されていないため、導入を検討する際は問い合わせが必要です。受け取る請求書の枚数が多く、毎月の紙の山に手を焼いている会社ほど、効果を実感しやすいでしょう。
ANDPAD請求管理
ANDPADは、施工管理アプリとして広く知られる株式会社アンドパッドのサービスです。その中の請求管理機能では、協力会社からの請求書回収・工事ごとの振り分けから、出来高査定、立替経費の相殺、承認までに対応しています。注文番号や工種を請求書に紐付け、査定結果をCSVで基幹・会計システムへ連携することもできます(出典:ANDPAD請求管理 公式サイト)。
料金は公開されていないため、詳細は問い合わせが必要です。すでにANDPADを利用している会社は、既存の運用との連携方法も含めて確認するとよいでしょう。
協力会社から受け取る請求書だけでなく、自社が出す請求書や工事ごとの原価までまとめたい会社もあるはずです。見積・請求・入金・原価を工事単位でつなぎ、Excelの二重入力から抜け出せるのが工事管理システムuconnectです(30日間無料・初期費用0円)。
【工事原価・収支管理型】請求と原価をまとめて管理する建設業特化ソフト

「請求書づくりだけでなく、工事ごとの利益までしっかり見たい」。そんな会社に向くのが、工事原価・収支管理型です。請求・入金に加えて、見積・実行予算・原価・粗利までを工事単位でつなげて管理できるのが特徴です。建設業に特化した製品が中心になります。
| 製品 | 料金 | 形態 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| uconnect | 初期0円・月額7,920円〜(税込) | クラウド | 工事別の粗利をリアルタイム管理、帳票一元管理 |
| アイピア | ライト:初期12万円+月1万円〜(税抜)/原価管理はベーシック以上 | クラウド | 見積・原価・発注管理はベーシック以上で利用可能 |
| どっと原価 | 月13,000円〜(税抜・クラウド版) | クラウド/インストール | 実行予算・原価・請求管理(見積・発注等はオプション) |
このほか、株式会社レッツの「レッツ原価管理Go2」、株式会社システムサポートの「建て役者」、株式会社エルラインの「LAPRI」なども、工事原価・収支管理型に分類されます。いずれも料金は要問い合わせのため、機能とあわせて比較検討してみてください。
uconnect(ユーコネクト)
uconnectは、株式会社unlimitedが提供する建設業向けの工事管理システムです。工事ごとの売上・原価・粗利をリアルタイムに把握でき、工事台帳の自動作成や原価の自動集計に対応しています。見積から請求までの帳票を一元管理できるため、請求業務と利益管理を切り離さずに進められます(出典:uconnect 公式サイト)。
主な機能は次のとおりです。
- 工事別の売上・原価・粗利のリアルタイム管理
- 工事台帳の自動作成と工事原価の自動集計
- 見積から請求・入金までの帳票一元管理
- 工事別・部門別・担当者別の粗利分析
- 弥生会計・freee・MFクラウドとの会計ソフト連携
料金は初期費用0円、月額7,920円(税込)からで、30日間の無料お試しが用意されています。工事完成基準での会計処理や出来高管理を行う場合は、オプションの「工事完成基準機能」(月額5,500円・税込)を追加できます(出典:uconnect「料金プラン」)。一人親方から年商10数億規模まで、幅広い建設会社で使われています。請求書づくりだけでなく、工事ごとの利益管理まで一本化したい会社に向いた、建設業特化のシステムです。
アイピア
アイピアは、株式会社アイピアが提供するクラウド型の建設業向け管理システムです。上位プランでは、見積・積算から原価・発注、工事台帳、入金・請求・支払までを一元管理できます。料金はライトプランが初期費用12万円+月額1万円(5ユーザー・税抜)から、ベーシック月額2万円、プロフェッショナル月額3万円と段階的に用意されています。ライトプランでは見積・原価・発注管理などを利用できず、これらはベーシック以上が対象です。ベーシックとプロフェッショナルの初期費用は要問い合わせです(出典:アイピア「費用」)。
見積・積算機能が充実しているため、見積書づくりに時間を取られている会社ほど効果を感じやすいはずです。顧客情報や案件の進捗もあわせて管理できるので、営業から請求までの流れを一つにまとめられます。リフォームや工務店など、見積から請求まで幅広くカバーしたい会社に向いています。無料プランはないため、まずは資料請求やデモで自社業務に合うかを確認するとよいでしょう。
どっと原価
どっと原価は、株式会社建設ドットウェブが提供する原価管理に強いシステムです。クラウド版の「どっと原価3」と、パッケージ(インストール)版の「どっと原価NEO」があります。実行予算・原価・請求管理などを標準機能とし、見積作成・発注管理・支払管理・会計連動などはオプションで追加できます。クラウド版の「どっと原価3(ライト)」は、利用者1ライセンスで参考月額13,000円(税抜)です(出典:建設ドットウェブ「価格」)。
実行予算に対して原価がどこまで使われているか、といった管理を重視する会社に向いています。原価の集計や分析の機能が細かく、現場ごとの採算をしっかり追いたい中堅規模の会社で導入されることが多い製品です。自社サーバーで使いたいか、クラウドで使いたいかで、版を選べるのも特徴です。すでに会計ソフトを使っている場合は、連動できるかどうかも確認しておきましょう。
失敗しない建設業向け請求書ソフトの選び方【5つのチェックポイント】

タイプと製品の見当がついたら、最後に細かい部分を確認します。導入してから「思っていたのと違った」とならないために、次の5点をチェックしておきましょう。
①インボイス・電子帳簿保存法に対応しているか
これは大前提です。インボイス制度の登録番号や税率別の消費税額がきちんと記載でき、電子取引データを法律の要件どおりに保存できるかを確認してください。クラウド型なら、法改正のたびに自動でアップデートされるものが多く、対応の手間を抑えられます。
②会計ソフト・既存システムと連携できるか
請求データを会計ソフトに手入力で転記していると、二度手間とミスのもとになります。freeeやマネーフォワード、弥生など、自社が使っている会計ソフトと連携できるかは必ずチェックしましょう。CSVでのデータ取り込みに対応しているかも、確認しておくと安心です。
③現場でも使える操作性とサポート体制か
どれだけ機能が豊富でも、現場の担当者や事務員が使いこなせなければ意味がありません。画面のわかりやすさは、実際に触って確かめるのが一番です。あわせて、電話・チャット・メールなど、困ったときに相談できるサポート窓口があるかも見ておきましょう。導入初期の設定支援があると、立ち上がりがスムーズになります。
④料金体系が自社規模に合うか(人数課金に注意)
月額だけを見て安いと判断すると、後で割高になることがあります。とくにユーザー数に応じて課金されるソフトは、使う人が増えるほど費用がふくらみます。初期費用・月額・追加ユーザー料金・オプション料金まで含めた、トータルのコストで比べてください。中小企業なら、IT導入補助金の対象になる製品を選ぶと、初期負担を抑えられる場合もあります。
⑤出来高請求・工事台帳など建設業の商習慣に対応しているか
汎用の請求書ソフトでは、出来高請求や工事ごとの原価管理までは対応していないことがほとんどです。自社に出来高請求や工事台帳の管理が必要なら、工事原価・収支管理型のソフトか、オプションで対応できる製品を選ぶ必要があります。まずは自社の業務フローを書き出し、必要な機能をリスト化してから比較すると、選び間違いを防げます。
建設業が請求書ソフトを導入する3つのメリット

ここまで選び方を見てきましたが、そもそも導入すると何が変わるのでしょうか。建設会社にとってのメリットを、改めて3つに整理します。
請求業務の時間短縮とミス削減
手書きやExcelでの請求書作成は、件数が増えるほど時間がかかり、転記ミスも起きやすくなります。ソフトを使えば、取引先や金額を選ぶだけで請求書が整い、過去のデータも流用できます。月末の締め作業にかかっていた時間を、大きく減らせるはずです。
たとえば、これまで1枚の請求書作成に15分かかっていた会社が、月50枚を発行しているとします。1枚あたり5分に短縮できれば、月に約8時間、年間で100時間近い時間が浮く計算です。空いた時間を見積もりや現場管理に回せれば、受注機会を増やすことにもつながります。
法改正対応の自動化
インボイス制度や電子帳簿保存法のように、経理まわりのルールは数年ごとに変わります。クラウド型のソフトなら、こうした法改正に自動で追従してくれるものが多く、自社で様式を作り直す必要がありません。IT担当者がいない会社ほど、この恩恵は大きく感じられます。
工事ごとの原価・利益が見えるようになる
請求と原価をつなげて管理できるタイプなら、工事ごとにいくら儲かったのかがはっきりします。「売上は大きいのに利益が薄い現場」を早めに見つけられれば、次の見積もりや工事の進め方を改善できます。請求業務の効率化にとどまらず、経営判断のスピードが上がるのが、建設業ならではの効果です。
請求書ソフト導入で失敗しないための注意点

導入の効果を最大限に引き出すために、つまずきやすいポイントもおさえておきましょう。便利なツールも、入れ方を間違えると定着しません。
データ移行と既存業務の棚卸し
既存の取引先データや請求履歴をどう移すかは、最初に考えておきたい点です。CSVでの取り込みに対応していれば、移行はぐっとラクになります。あわせて、いまの請求業務の流れを一度棚卸ししておくと、ソフトに合わせて無駄な手順を整理できます。
古いフォーマットをそのまま移すのではなく、この機会に項目を見直すと、導入後の運用がすっきりします。導入支援サービスがある製品なら、初期設定やマスタ登録を手伝ってもらえるので、移行のハードルはさらに下がります。
現場への定着がカギ(無料トライアルの活用)
新しいツールは、現場が使ってくれて初めて意味を持ちます。いきなり全社で本契約するのではなく、無料トライアルで一部の現場や担当者から試すのがおすすめです。実際の請求業務でストレスなく使えるか、自社のフォーマットを再現できるかを、契約前に確かめておきましょう。
タイプの選び間違いに注意
「請求書ソフト」とまとめて検索すると、発行型ばかりが目に入りがちです。しかし、本当に困っているのが協力会社からの請求書処理なら受領・支払管理型を、利益管理なら工事原価・収支管理型を選ぶ必要があります。自社の一番の課題に立ち返って、タイプから選び直してみてください。
建設業向け請求書ソフトに関するよくある質問
最後に、導入を検討する方からよく出る質問をまとめました。
無料で使える請求書ソフトはある?
はい、あります。freee請求書やMisoca、MakeLeapsなどには無料プランが用意されており、月あたりの発行枚数などに制限はあるものの、コストをかけずに始められます。まずは無料で使い勝手を試し、足りなくなったら有料プランへ移る、という進め方もできます。
会計ソフトがあれば請求書ソフトは不要?
会計ソフトにも請求書の作成機能が付いていることはありますが、建設業の出来高請求や工事台帳まではカバーしきれない場合が多いです。請求の手間や工事ごとの利益管理に課題があるなら、専用の請求書ソフトや工事管理システムを併用したほうが効率的です。会計ソフトと連携できる製品を選べば、二重入力も防げます。
スマホ・タブレットからでも使える?
クラウド型のソフトであれば、スマホやタブレットから請求書の確認・作成ができるものが多くあります。現場とオフィスが離れがちな建設業では、移動中や現場から操作できるかどうかが、使い勝手を大きく左右します。モバイル対応の有無は、製品選びの段階で確認しておきましょう。
出来高請求や部分請求に対応している?
汎用の発行型ソフトは、1回完結の請求を前提にしていることが多く、出来高請求の残額管理までは対応していないことがあります。出来高請求が必要なら、工事原価・収支管理型のソフトを選ぶか、出来高管理のオプションがある製品を検討してください。契約金額に対する請求の進み具合を管理できるかが、判断の分かれ目になります。
導入にはどのくらいの期間がかかる?
クラウド型の発行・電子化特化型なら、申し込み後すぐに使い始められるものが多く、当日から請求書を発行できる製品もあります。一方、工事原価・収支管理型は、取引先や工事のマスタ登録、既存データの移行などが必要なため、本格運用までに数週間ほど見ておくと安心です。導入支援サービスがある製品を選ぶと、立ち上げがスムーズになります。
料金の相場はどのくらい?
発行・電子化特化型は、無料プランから月額数千円程度で始められるものが中心です。工事原価・収支管理型は、機能が広い分やや高めで、月額1万円前後から、規模に応じて数万円になることもあります。ユーザー数で課金される製品も多いため、使う人数を見込んだうえで、初期費用も含めた総額で比べることをおすすめします。
見積から請求までを一元管理する工事管理システム

記事の中でも触れたとおり、請求と原価がバラバラに管理されていると、工事ごとの利益はなかなか見えてきません。請求書づくりの効率化だけでなく、現場ごとの採算まで一本化したい会社には、建設業特化の工事管理システムが選択肢になります。
工事管理システム「uconnect」は、見積から発注、請求、入金までの帳票をひとつの流れで管理できるクラウドサービスです。工事ごとの売上と原価を入力するだけで、粗利をリアルタイムに把握でき、二重入力の手間も省けます。
- 見積から請求までの帳票を一元管理(重複入力を排除)
- 工事別の売上・原価・粗利をリアルタイムに把握
- 工事台帳の自動作成と工事原価の自動集計
- 弥生会計・freee・MFクラウドとの会計ソフト連携
初期費用は0円、月額7,920円(税込)から始められ、30日間の無料お試しも用意されています。中小規模の建設会社ならIT導入補助金の対象になる場合もあり、初期負担を抑えて導入できます。自社の業務フローに合うかどうかは、導入前にマッチ率を判定できるサービスで事前に確認できます。
まとめ|自社の課題に合ったタイプから選ぼう
建設業向けの請求書ソフトは、製品名で比べる前に、まずタイプで絞り込むのが失敗しないコツです。最後に要点を整理します。
- 請求書づくりの手間を減らしたいなら発行・電子化特化型(freee請求書・Misoca・boardなど)
- 協力会社からの請求書処理が大変なら受領・支払管理型(DigitalBillder・ANDPADなど)
- 請求と工事ごとの利益をまとめて管理したいなら工事原価・収支管理型(uconnect・アイピア・どっと原価など)
- 選ぶときは、インボイス・電帳法対応/会計ソフト連携/操作性とサポート/料金体系/建設業の商習慣対応の5点を確認する
- 本契約の前に、無料トライアルで現場の使い勝手を試す
まずは自社の請求業務で一番困っていることを書き出し、それを解決できるタイプから比較を始めてみてください。
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