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完成検査とは?流れ・必要書類・通らない場合の対策を施工会社向けに解説

建設会社向けに完成検査の流れ・必要書類・不合格時の対策を解説する記事のアイキャッチ

完成検査の合否は、検査当日ではなく、完成通知を出す前の準備でほぼ決まります。公共工事でも下請工事でも、発注者側が「契約どおりに完成したか」を確認するこの検査に合格しなければ、引き渡しも請負代金の請求も先に進みません。

とはいえ「完成検査」という言葉は、建築基準法の完了検査や社内の竣工検査と混同されやすく、必要な書類や検査員が見るポイントを受検する側の目線で整理した資料は多くありません。

この記事では、完成検査の意味と根拠、完了検査・竣工検査・施主検査との違い、完成通知から引き渡しまでの流れ、必要書類の一覧、チェックポイント、不合格時の是正対応と工事成績評定への影響までを、小規模・中規模の建設会社の実務目線でまとめました。次の現場の検査準備を、工種ごとに前倒しで進めるための材料にしてください。

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完成検査とは?建設業での意味と位置づけ

完成検査を中心に「発注者が完成を確認」「引き渡しの前提」「請負代金請求の前提」「工事成績評定に反映」の4要素を示した図解

完成検査とは、請け負った工事が契約どおりに完成したかを、発注者側が確認する検査のことです。建設業でこの言葉が出てくる場面はおもに2つあります。公共工事で発注機関の検査員から受ける検査と、元請が下請工事の完成を確認する検査です。まずは定義と目的を整理します。

完成検査の基本的な定義

公共工事では、受注者が工事の完成を通知すると、発注者が受注者の立会いのもとで設計図書にもとづく完成確認の検査をおこないます。中央建設業審議会が定め、国土交通省が公開している公共工事標準請負契約約款には、発注者は完成通知を受けた日から14日以内に検査を完了し、結果を受注者に通知すると定められています(第32条)(出典:国土交通省「建設工事標準請負契約約款について」)。

自治体が発注する工事では、地方自治法にも根拠があります。請負契約について、給付の完了を確認するために必要な監督または検査をしなければならない、と職員の義務として書かれています(出典:地方自治法 第234条の2(e-Gov法令検索))。つまり公共工事の完成検査は「発注者の好意でやっている確認」ではなく、法律と契約で決まった手続きです。

民間工事や下請工事でも仕組みは同じです。建設業法では、元請負人は下請負人から工事完成の通知を受けた日から20日以内に、完成を確認するための検査を完了しなければならないとされています(出典:建設業法 第24条の4(e-Gov法令検索))。専門工事会社にとっては、元請の担当者が現場に来て出来形を確認する場面が「完成検査」にあたります。

完成検査の目的:引き渡しと請負代金支払いの前提

完成検査の目的は、発注者から見れば「契約した品質・数量の目的物を受け取れるか」の最終確認です。受注者から見ると、意味はもっと直接的です。検査に合格しないと引き渡しができず、請負代金の請求にも進めません

公共工事では、検査合格後に引き渡しがおこなわれ、受注者が請負代金の支払いを請求できるようになります。下請工事でも、元請の検査を経て引き渡しが成立し、その後に支払いという流れになります。検査の段取りが悪くて合格が1か月ずれれば、入金も1か月ずれます。資金繰りに余裕のない小規模な会社ほど、完成検査の遅れは経営にひびきます。

もうひとつ見落とされがちなのが、検査結果の「その後」です。公共工事では検査時の評価が工事成績評定に反映され、次の入札に影響します。完成検査は現場の終わりの儀式ではなく、次の受注につながる評価の場でもあります。

完成検査・完了検査・竣工検査・施主検査の違い

完成検査・完了検査・竣工検査・施主検査を「実施者」「タイミング」で比較した表

「完成検査」「完了検査」「竣工検査」「施主検査」は、現場でも混同されやすい言葉です。実施者と根拠がそれぞれ違うので、先に表で整理します。

検査実施者根拠目的タイミング
完成検査(公共工事)発注機関の検査員請負契約約款・地方自治法など契約どおりの完成確認、引き渡しと支払いの前提完成通知から14日以内
完成検査(下請工事)元請負人建設業法第24条の4下請工事の完成確認と引き渡し完成通知から20日以内
完了検査建築主事等・指定確認検査機関建築基準法第7条建築基準関係規定への適合確認、検査済証の交付工事完了から4日以内に申請
竣工検査(社内検査)施工会社契約・社内ルール引き渡し前の自主的な最終品質チェック完成検査・施主検査の前
施主検査(内覧会)施主(発注者)契約施主自身による仕上がりの確認竣工検査と是正の後

公共工事の完成検査(発注者検査)

公共工事の完成検査は、発注機関の検査員(工事検査官など)が、設計図書と施工記録をもとに出来形・品質・出来ばえを確認する検査です。国の直轄工事では、検査を命じられた職員は特別の必要がある場合を除いて監督の職務を兼ねられないと定められており(出典:予算決算及び会計令 第101条の7(e-Gov法令検索))、自治体でも同様の運用が一般的です。検査員は監督員とは別の職員が務めるのが原則で、工事中の経緯を知らない第三者の目で見られる点が特徴です。

検査の対象は現場だけではありません。施工計画書、出来形管理図表、品質管理資料、工事写真といった書類の整合性がかなりの比重を占めます。現場がきれいに仕上がっていても、書類が追いついていなければ指摘は出ます。

建築基準法の完了検査(検査済証)

完了検査は、建築確認を受けた建築物について、工事完了後に建築主が申請し、建築主事等または指定確認検査機関が建築基準関係規定への適合を確認する法定の検査です。申請は工事完了の日から4日以内に到達するようおこない、検査は申請受理から7日以内に実施され、適合していれば検査済証が交付されます(出典:建築基準法 第7条(e-Gov法令検索))。

申請者は建築主ですが、実務では施工会社や設計事務所が代理で申請書類を整えることが大半です。契約上の完成検査と法定の完了検査は別の手続きなので、建築工事では両方の日程を工程表に載せておく必要があります。

竣工検査・施主検査と、下請工事の完成検査

竣工検査は、施工会社が引き渡し前に自社でおこなう最終チェックで、法律上の名称ではありません。完成検査で指摘を受けないために、その前段階で不具合を洗い出しておく検査、と考えると位置づけがはっきりします。チェック項目や当日の進め方は竣工検査の記事で詳しく整理しているので、社内検査の段取りはそちらを参考にしてください。

施主検査は住宅工事などで施主が立ち会って確認する場です。一方、専門工事会社が受ける「完成検査」は、元請の担当者による確認です。建設業法の20日以内という期限は、下請が速やかに代金を請求できるようにするための規定なので、元請の検査がなかなか実施されない場合は、この条文を根拠に日程を求めることができます。

完成検査の流れ

完成検査の流れ(完成通知→日程調整→書類検査→現地検査→結果通知→引き渡し・請求)を示すフロー図

完成検査は「完成通知→日程調整→書類検査→現地検査→結果通知→引き渡し・請求」の順に進みます。公共工事を例に、受注者側がやることを段階ごとに見ていきます。

完成通知から検査日の調整まで

工事が完成したら、受注者は工事完成通知書(完成届)を発注者に提出します。発注者がこの通知を受けた日が検査期限(14日以内)の起点になります。完成後に通知を遅らせるのではなく、社内検査と書類整理を完成時点までに終え、完成後は速やかに通知できる工程を組むのが基本です。通知時点で書類が追いついていない状態は、検査当日の指摘に直結します。

通知後、監督員と検査日を調整します。検査員のスケジュールは混み合うことが多いため、完成予定の2〜3週間前には監督員に見込みを伝えておくと日程が組みやすくなります。あわせて、検査当日の立会者(現場代理人・主任技術者または監理技術者、必要に応じて協力会社の職長)を確保しておきます。

書類検査と現地検査(出来形・品質・出来ばえ)

検査当日は、まず書類検査からです。契約図書と施工計画書、出来形・品質の管理資料、工事写真、打合せ簿などを検査員が確認し、設計変更や協議の経緯が記録と一致しているかを見ます。書類を工種別・時系列に並べ、検査員の質問にすぐ該当ページを開けるようにしておくと進行がスムーズです。

続いて現地検査です。検査員が出来形管理図表から抜き取りで箇所を指定し、実測して寸法・数量を照合します。合わせて、仕上がりの状態(出来ばえ)や、設備の動作、安全対策の実施状況が確認されます。実測に使うスケール・レベル・スタッフなどは受注者側が準備し、測る担当と記録する担当をあらかじめ決めておきます。

検査結果の通知から引き渡し・請求まで

検査が終わると、合格または手直しの指示が通知されます。合格なら引き渡しに進み、工事完了報告書や請求書など引き渡し関連の書類を提出して、請負代金の請求へつながります。手直しを指示された場合は、期限内に是正して再確認を受けます(詳しくは後述)。

公共工事では、引き渡し後に工事成績評定の結果が通知されます。検査当日のやり取りだけでなく、工事全体の施工状況や書類の質が点数に反映される仕組みで、次の入札への影響は後述します。

完了検査(検査済証)の流れ

建築確認が必要な工事では、上記と並行して法定の完了検査を進めます。流れは、完了検査申請書と工事監理報告書などの書類を工事完了から4日以内に提出し、受理から7日以内に検査を受け、適合なら検査済証の交付を受ける、というものです。必要書類の例として大阪市では、完了検査申請書、確認申請書の副本、軽微な変更説明書、工事監理報告書、代理申請の場合の委任状などが挙げられています(出典:大阪市「完了検査(法第7条、法第18条20項)」)。

検査済証がないと、共同住宅などの特殊建築物や一定規模以上の建築物では原則として建物を使い始められません(建築基準法第7条の6)。引き渡し日から逆算して、完了検査の申請日程を早めに押さえておいてください。

完成検査に必要な書類

完成検査に必要な書類6項目(契約図書・施工計画書・出来形管理図表・品質管理資料・工事写真・完成図)をアイコン付きで示した図

完成検査で求められる書類は発注者や工事内容で変わりますが、公共工事の土木・建築工事で共通して用意するものは決まっています。まず一覧で押さえ、次に追加書類が必要になるケースを確認します。

基本的な必要書類一覧

分類書類役割
契約関係契約書・設計図書・特記仕様書、設計変更の協議書・変更契約書検査の基準そのもの。変更があれば変更後の図書で照合される
施工計画施工計画書、施工体制台帳・施工体系図計画どおりに施工したか、体制が適正だったかの確認
出来形出来形管理図表、出来形測定結果、数量計算書寸法・数量が規格値内かを確認する中心資料
品質材料の品質証明書、試験成績表(コンクリート強度・密度など)、品質管理図材料と施工品質の裏付け
写真工事写真(着手前・施工状況・出来形・完成)隠ぺい部など現地で確認できない部分の証拠
記録打合せ簿、工事日報、段階確認記録、休工・工程の記録協議・指示の経緯と工程の実績
完成工事完成通知書、完成図(竣工図)、産業廃棄物のマニフェスト写し完成の届け出と、引き渡し後に使う図書

書類の様式や提出方法は、発注機関の土木工事共通仕様書や書類作成マニュアルで指定されています。国土交通省の直轄工事では、検査に関する基準や書類限定検査の資料が公開されているので、対象となる基準を先に確認しておくと準備の抜けを減らせます(出典:国土交通省「監督・検査・工事成績評定・土木工事共通仕様書関係」)。

施工体制台帳や施工計画書は着工時に整えるものですが、検査では「最終版」が求められます。下請の追加や技術者の交代があったのに更新されていない台帳は、検査で指摘されやすい典型です。作り方は施工体制台帳の記事を参考に、変更のたびに更新する運用にしておきましょう。

追加書類が必要になるケース

次のような工事では、基本書類に加えて追加の資料が求められます。

  • 設計変更・工期変更があった工事: 変更協議の記録、変更数量の根拠、変更後の図面。変更前後の対応表を作っておくと検査員が確認しやすい
  • 建築確認の対象工事: 完了検査の申請書類一式と検査済証(または申請済みの控え)
  • 特定の材料・製品を使う工事: 認定書、ミルシート、出荷証明などの品質証明資料
  • 安全管理の記録を求められる工事: 安全教育・KY活動の記録、安全パトロールの記録
  • 週休2日や創意工夫を評価対象とする工事: 実施状況の記録と写真(工事成績評定の加点に関わる)

追加書類の要否は、発注機関ごとの仕様書と契約時の特記事項で決まります。着工時に監督員と「完成時に何を出すか」を確認しておくのが、もっとも確実な方法です。

検査書類をそろえる段階で、変更契約の金額や協力会社への発注額を探し回るのは時間の無駄です。契約から変更、発注、請求までの帳票を工事ごとにクラウドでまとめて管理し、完成検査後の請求にそのまま進めるのが工事管理システムuconnectです(30日間無料・初期費用0円)。

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完成検査でのチェックポイント

工事現場でコンクリート構造物の寸法をコンベックスで実測し、クリップボードに記録している検査の様子

「写真は全部撮ってあるはずだったのに、埋め戻した管の深さを示す写真だけ見つからなかった」。完成検査でよく起こるのは、こうした確認漏れが検査員の抜き取りに当たることです。検査員が何を見るかを知っておけば、準備の優先順位がはっきりします。

出来形と数量

検査員が最初に見るのは、出来形が設計図書の規格値に収まっているかどうかです。構造物の幅・高さ・延長、舗装の厚さ、埋設物の深さなどが、出来形管理図表の数値と現地の実測で一致するかを抜き取りで確認します。

実測箇所は検査員が指定するため、「測りやすい場所だけきれいに管理する」やり方は通用しません。管理図表の測点に合わせてマーキングを残しておき、どの測点を指定されても即座に測れる状態にしておきます。数量計算書と出来形の数量に食い違いがないかも、事前に社内で突き合わせておいてください。

品質と試験記録

品質面では、使用材料の証明書と試験結果が確認されます。コンクリートの圧縮強度、路盤の締固め密度、鉄筋のミルシートなどが代表例です。試験の頻度が仕様書の規定を満たしているか、規格値を外れたデータに対して処置が記録されているかも見られます。

隠ぺい部分は写真が唯一の証拠になります。配筋、埋設物、下地処理など、完成後に見えなくなる工程の写真は、黒板の内容(工種・測点・寸法)が読み取れる状態で撮れているかを検査前に全件確認してください。配筋の写真構図や記録の残し方は配筋検査の記事で解説しています。

出来ばえ・安全・設備機能

出来ばえは、仕上がりの見た目や納まりの丁寧さです。構造物の表面の状態、目地の通り、法面の整形、清掃の状況などが対象になります。数値で表せない分、検査員の印象に左右されやすい項目なので、検査前日に現場全体を回って清掃と片付けを済ませておきます。

設備を含む工事では、動作確認も検査の一部です。電気・給排水・空調などは実際に運転し、試運転記録と調整記録を提示できるようにします。安全面では、工事中の安全対策の実施記録や、引き渡し後に第三者が立ち入る箇所の安全性が確認されます。

完成検査が通らない場合の対策

完成検査で指摘を受けた後の流れ(指摘事項の確認→是正計画・手直し→是正報告→再検査→合格・引き渡し)を示すフロー図

完成検査で「不合格」と聞くと工事のやり直しを想像しがちですが、実際は手直し(修補)の指示が出て、是正後に再確認を受ける形がほとんどです。よくある疑問に沿って、対策を整理します。

指摘事項の確認と是正対応

「指摘を受けたら、まず何をすればいいのか」。最初にやるべきは、指摘内容を文書で正確に把握することです。検査員から口頭で伝えられた内容は、その場で監督員と確認し、場所・内容・是正の方法・期限を書面(修補指示書や打合せ簿)に落とします。

そのうえで是正計画を立て、協力会社に手配します。是正の前後は同じアングルで写真を撮り、是正報告書にまとめて提出します。手直し指示への対応の考え方や、費用負担の整理は是正工事の記事でも解説しています。

再検査の流れと注意点

是正が終わったら、監督員に報告して再確認(再検査)を受けます。再検査は指摘箇所に限って実施されることが多いですが、是正の内容によっては関連箇所も見られます。是正報告書には、指摘事項と対応内容が一対一で分かる形の一覧を付けると、再確認が短時間で済みます。

注意したいのは、是正期間が引き渡し日や工期に影響する点です。工期内に是正が終わらない場合の扱い(工期延長の協議や遅延の責任)は契約約款で決まっているため、指摘が出た時点で工程への影響を監督員と協議しておきます。是正を急ぐあまり、別の不具合を作らないことも大切です。

検査結果と工事成績評定への影響

公共工事では、施工状況、目的物の品質・出来ばえ、書類の整備状況などが工事成績評定の対象となります。評定結果の具体的な活用方法は発注機関や工事区分で異なりますが、競争参加資格や総合評価落札方式における企業・技術者の評価に使われる場合があります。最新の運用指針と各発注機関の入札説明書・評価基準を確認してください(出典:国土交通省「発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)について」)。

つまり、完成検査を「合格すればよい」と考えるか、「高い評価を取りに行く」と考えるかで、次の入札の土俵が変わります。指摘ゼロで通すことに加え、創意工夫や現場環境の改善の取り組みを記録で示せると、加点につながります。

完成検査を一発で通すための事前準備とよくある失敗

完成検査でよくある失敗3つ(書類の遅れ・設計変更の反映漏れ・写真不足)と対策を左右で対比した図

完成通知を出したあとで出来形管理図表の一部が未作成だと分かり、検査日を2週間先送りにした。工事そのものに問題はなかったのに、入金が1か月近く遅れた。こうした話は珍しくなく、完成検査のつまずきは施工の失敗より段取りの失敗で起こるケースが目立ちます。

よくある失敗事例3つとリスク管理

  • 書類の整備が完成通知に追いつかない: 工事写真の整理や出来形図表の作成を工事終盤にまとめてやろうとして間に合わないパターン。対策は、工種が終わるごとに写真整理と出来形の記入を終える「工種ごとの締め」を運用にすること
  • 設計変更が図面と書類に反映されていない: 協議で変更したのに、施工計画書や数量計算書が変更前のまま。対策は、変更協議のたびに「更新が必要な書類リスト」を確認して同時に直すこと
  • 隠ぺい部の写真が足りない: 埋め戻し後に「あの写真がない」と気づいても撮り直せない。対策は、撮影計画(何を・どの測点で・何枚)を施工計画の段階で作り、撮影後にチェックを入れること

いずれも共通するのは、「終盤にまとめて片付ける」計画になっていることです。リスク管理の基本は、検査の準備を工事期間全体に分散させることに尽きます。

事前準備チェックリスト

検査の2週間ほど前から、次の順で準備を進めると抜けが出にくくなります。

  1. 契約図書と変更契約の内容を最終確認し、変更箇所の対応表を作る
  2. 出来形管理図表・品質管理資料・工事写真を工種別に並べ、社内で相互チェックする
  3. 施工体制台帳・施工計画書を最終版に更新する
  4. 現場を実測して、管理図表の数値と一致するか自社で再測定する(社内検査)
  5. 清掃・片付け・仮設物の撤去を終え、検査の動線を確認する
  6. 検査当日の役割分担(説明・測定・記録・書類係)と、立会者の日程を確定する
  7. 完了検査の対象工事なら、申請書類と検査日を確認する

4の社内検査は、検査員の立場で自社の現場を見直す場です。担当者以外のスタッフや経営者が回ると、思い込みのない指摘が出やすくなります。

近年は、遠隔臨場や書類の電子提出など検査業務のデジタル化も進んでいます。公共工事では、ウェアラブルカメラの映像で段階確認や立会を遠隔でおこなう遠隔臨場が2022年度から本格実施されています(出典:国土交通省「建設現場における『遠隔臨場』を本格的に実施します」)。写真や出来形データを日々クラウドに保存する運用にしておけば、検査前の書類整理の負担そのものが小さくなります。

費用とスケジュールの目安

契約上の完成検査そのものに、受注者が発注者へ払う手数料はありません。費用として発生するのは、検査準備の人件費と、是正が出た場合の手直し費用です。工事写真の整理や書類作成に現場代理人が何日も張り付く状況は、見えにくいコストとして原価を押し上げます。

一方、建築基準法の完了検査は申請手数料がかかります。金額は建築物の延べ面積によって段階的に決まり、自治体や指定確認検査機関の手数料表で確認できます(出典:大阪市「完了検査(法第7条、法第18条20項)」)。見積の段階で諸経費に含めておかないと、そのまま利益を削る費用になります。

スケジュールは、公共工事標準請負契約約款では完成通知の受領から14日以内に検査を完了する扱いです。建築基準法の完了検査は申請受理から7日以内に実施されます。一方、是正・再確認に要する期間や検査済証の交付時期は、指摘内容や発注機関・検査機関によって異なるため、一律に「何日」とは見込めません。引き渡し希望日から逆算し、発注者や検査機関に所要日数を確認したうえで余裕を持った工程を組んでください。

完成検査に関するよくある質問

完成検査について、現場からよく挙がる質問と回答をまとめました。

完成検査は誰が行う?

公共工事では、発注機関の検査員(工事検査官など、監督員とは別の職員)がおこないます。下請工事では元請負人、民間の元請工事では発注者(施主や施主側の監理者)が実施者です。施工会社が自社でおこなう社内検査は「竣工検査」「自主検査」と呼び分けるのが一般的で、完成検査に備える位置づけになります。

検査を受けないとどうなる?

契約上の完成検査を受けなければ、引き渡しが成立せず、請負代金の請求ができません。公共工事では検査は発注者の義務でもあるため、受けないという選択肢は事実上ありません。逆に元請が下請工事の検査を20日以内に実施しないのは建設業法違反にあたるので、下請の立場で検査が遅れているときは、期限を根拠に実施を求めてよい場面です。

検査済証がないとどうなる?

建築基準法の完了検査を受けず検査済証がない建物は、共同住宅などの特殊建築物や一定規模以上の建築物では原則として使用を開始できません。将来の増改築や売却、融資の場面でも検査済証の提示を求められることが多く、施主に大きな不利益が残ります。施工会社としては、完了検査の申請と受検を引き渡し工程に必ず組み込んでおく必要があります。

自動車や高圧ガスの「完成検査」とは別物?

別物です。「完成検査」という言葉は、自動車メーカーが出荷前におこなう検査や、高圧ガス保安法にもとづく設備の検査でも使われますが、根拠法も手続きも建設業の完成検査とは異なります。検索で調べる際は「工事」「公共工事」「建設業法」といった言葉を添えると、建設業向けの情報にたどり着きやすくなります。

完成検査から請求までの工事情報を一元管理するには

工事管理システムuconnect(ユーコネクト)のサービス紹介画像

ここまで見てきたように、完成検査を一発で通すには、契約図書と変更の経緯、施工記録、是正の履歴といった工事の情報を、工事ごとに整理された状態で持っておくことが土台になります。検査に合格したあとも、引き渡しに向けた完了報告と請求、協力会社への支払い、最終的な粗利の確定と、事務作業は続きます。この情報が紙とExcelに散らばっていると、検査前後の数週間に現場代理人と事務担当の負担が集中してしまいます。

工事管理システム「uconnect」は、工事ごとの売上・原価・粗利をクラウドで一元管理するツールです。完成検査から引き渡し、請求にかけての実務では、次のような場面で役立ちます。

  • 工事台帳が自動で作成され、工事ごとの契約金額・変更契約・入出金の記録が整理された状態で残る
  • 見積から請求・領収までの帳票を一元管理でき、検査合格後の請求業務にすぐ移れる
  • 協力会社からの請求と支払予定を工事別に把握でき、下請工事の検査・引き渡し後の支払管理が漏れない
  • 工事原価が自動集計され、是正工事の追加費用を含めた最終的な粗利をその場で確認できる
  • クラウド型なので、現場と事務所が同じ最新データを見ながら検査前後の段取りを進められる

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まとめ

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 完成検査は、請負契約にもとづいて発注者側が工事の完成を確認する検査で、引き渡しと請負代金請求の前提になる
  • 公共工事は完成通知から14日以内、下請工事は建設業法により20日以内に検査が実施される。建築基準法の完了検査(検査済証)は別の手続きで、両方を工程に載せる
  • 検査は書類と現地の両方で、出来形・品質・出来ばえが見られる。設計変更の反映漏れと隠ぺい部の写真不足が指摘の定番
  • 不合格は手直し指示の形で出ることが多く、是正記録と再確認の段取りで対応する。公共工事では結果が工事成績評定と次の入札に影響する
  • 準備は終盤にまとめず、工種ごとに写真整理と出来形の記入を締める運用にする

完成検査の合否を分けるのは、施工の腕よりも記録の積み上げです。まずは進行中の1現場で、工種が終わるたびに写真と出来形をその日のうちに整理する運用を試してみてください。

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