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竣工図とは?施工図・設計図との違いと保存義務・管理方法を解説

建設会社向けに竣工図とは何か・施工図や設計図との違いを解説する記事のアイキャッチ

「あの物件の竣工図、どこにありましたっけ」。OB顧客から修繕の相談が入ったとき、最初に始まるのが図面探しです。竣工図は工事完了時点の建物の実際の状態を記録した図面で、引き渡し後の建物に関わる全員が頼りにする資料になります。

この記事では、竣工図とは何かという基本から、施工図・設計図との違い、施工中の変更記録から竣工図を作成する流れ、建設業法に基づく保存義務、電子化による管理方法までを、建設業の実務目線で解説します。

新人や施主への説明にも、自社の図面管理を見直すたたき台にも、そのまま使える形でまとめました。

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竣工図とは

竣工図の3つの価値(維持管理・修繕の基礎資料、改修・リフォームの判断材料、法的手続き・売買の根拠資料)を示す図

竣工図とは、工事が完了した時点の「実際の建物の状態」を正確に反映した図面のことです。設計図をベースにしながら、施工中に発生した変更をすべて盛り込んで作成するため、完成した建物と1対1で対応する唯一の図面になります。

竣工図の基本的な定義

どんな工事でも、着工から完成までの間には大なり小なり変更が発生します。設備の配管ルートが現場合わせで変わった、施主の要望で建具の位置が動いた、地中の障害物で基礎の形状を調整した。こうした変更を反映しないまま設計図だけが残ると、「図面と現物が違う建物」ができあがります。

竣工図は、この変更をすべて反映した完成形の記録です。平面図・立面図・断面図といった意匠図に加え、構造図、電気・給排水・空調などの設備図まで、工事の内容に応じた一式で構成されます。

竣工図が持つ重要性

竣工図の価値は、引き渡しのあとにこそ発揮されます。

  • 維持管理・修繕の基礎資料: 配管や配線の位置が分からなければ、修繕のたびに壁や床を壊して探すことになる
  • 改修・リフォームの判断材料: 構造や設備の現状が分かるから、改修の可否と費用を正確に見積もれる
  • 法的手続き・売買の根拠資料: 定期報告や不動産取引で建物の現況を示す資料になる

裏を返せば、竣工図がいい加減だと、この先何十年にもわたって建物に関わる全員が困り続けます。施工した会社にとっては、自社の仕事の正確な記録であり、施主からの信頼とアフター対応の効率を左右する書類だと考えてください。

竣工図と施工図・設計図の違い

設計図・施工図・竣工図を作成時期と役割(計画・手順・結果)で比較した表

「設計図・施工図・竣工図は何が違うのか」という質問は、新人からも施主からもよく出ます。3つの図面は作成時期・目的・作成者が異なるので、まず対比表で整理しましょう。

項目設計図施工図竣工図
作成時期着工前施工中(工事の進行に先立って)工事完了時
目的建物の計画・契約の根拠を示す現場で施工できるよう詳細を具体化する完成した建物の実際の状態を記録する
主な作成者設計者(設計事務所等)施工者(現場担当・専門工事業者)施工者(元請)
内容の性質「こう建てる」という計画「こう作る」という手順・納まり「こう建った」という結果

設計図・施工図の役割

設計図は、建物の意図と基本計画を示す図面で、工事請負契約の根拠になる書類です。全体像と仕様を定める一方、現場でそのまま作業できるほどの細部までは描かれていません。

そこで施工中に作られるのが施工図です。躯体図や設備の施工図など、納まり・寸法・取り合いを現場レベルまで具体化した図面で、職人が直接参照する実務資料になります。設計図と現場の間をつなぐ翻訳版と考えると分かりやすいはずです。

竣工図ならではの特性

竣工図が設計図・施工図と決定的に違うのは、「計画」ではなく「結果」を描いた図面である点です。施工中の設計変更・現場変更をすべて反映するため、変更履歴の管理がそのまま竣工図の精度になります。

工事中の変更が反映されていない竣工図は、名前だけ竣工図の設計図にすぎません。あとから見た人は「竣工図だから現物と一致しているはず」と信じて使うため、反映漏れは将来の改修や修繕での事故・手戻りに直結します。

なお、竣工図として整える図面の範囲は工事の内容によって変わります。建築一式であれば意匠図・構造図・設備図の一式、設備改修であれば該当する系統図と平面図、というように「その建物の現況を再現するのに必要な範囲」で構成を決めます。

竣工図の作成プロセス

竣工図ができるまでの流れ(変更記録→自社検査→完了検査・竣工検査→最終修正→引き渡し)を示すフロー図

竣工図は、工事完了後にゼロから描き起こすものではなく、施工中の変更記録を積み上げて完成させるものです。流れを順に見ていきます。

  1. 施工中の変更記録: 設計変更・現場変更が発生するたびに、変更内容・理由・承認者を記録し、図面に反映していく
  2. 自社検査(社内検査): 工事完了時に、図面と現物に食い違いがないか社内でチェックする
  3. 完了検査・竣工検査: 建築確認を受けた建物では検査機関による完了検査を受け、施主立会いの竣工検査で仕上がりを確認する
  4. 竣工図の最終修正: 検査での指摘・是正内容を反映し、竣工図として仕上げる
  5. 引き渡し: 竣工図書一式として整理し、施主へ引き渡す(自社控えも保存する)

検査と竣工図の関係

竣工図の精度を最終確認する機会が、引き渡し前の検査です。図面と現物の不一致は、このタイミングで直しておかないと永久に残ります。とくに天井裏・壁内・地中に隠れる設備配管は、施工中の写真とあわせて位置を記録しておくと、竣工図の信頼性が大きく上がります。検査の進め方は竣工検査の記事で詳しく解説しています。

引き渡し時には、竣工図は鍵や保証書と並ぶ重要書類として扱われます。施主に渡して終わりではなく、自社でも同じものを保存し、どの工事の竣工図がどこにあるかを管理しておくことが、後述する保存義務とアフター対応の土台になります。

作成時のチェックリストとミス防止

竣工図のミスは「変更の反映漏れ」がほとんどです。完成間際にまとめて反映しようとすると、数カ月前の変更が抜け落ちます。次のチェックリストを社内の標準にしておくと、反映漏れを防ぎやすくなります。

  • 設計変更・現場変更の記録がすべて図面に反映されているか(変更一覧と突き合わせる)
  • 設備の埋設位置・隠蔽部の配管配線ルートが実際の施工どおりか(施工中の写真と照合する)
  • 使用した建材・機器の品番が最終的に採用したものになっているか
  • 図面番号・改訂記号・作成日が整理され、最新版がどれか一目で分かるか
  • 施主に渡す一式と自社控えの内容が一致しているか

ポイントは、完成後にチェックするのではなく、変更が起きた時点で図面に反映する運用にすることです。「あとでまとめて直す」が反映漏れの最大の原因になります。

竣工図の活用シーン

机上に広げた図面を指さしながら確認する人の手元の写真

竣工図が実際に働く場面を知っておくと、作成と保存にかける手間の意味が明確になります。

保守管理・修繕・リフォームでの役割

築10年を過ぎたあたりから、建物には修繕やリフォームの相談が増えてきます。このとき竣工図があるかどうかで、対応のスピードと費用がまったく変わります。

たとえば漏水などの設備トラブルが起きた場合、竣工図で配管ルートが分かれば、調査範囲を絞って最小限の解体で原因にたどり着けます。図面がなければ、壁や床を広く開けて探すしかありません。リフォームでも、撤去できる壁とできない壁の判断、設備の切り回しの検討など、竣工図が判断の起点になります。電気設備の増設相談を受けたときも、既存の配線ルートと分電盤の位置が図面で確認できれば、現地調査の手間を大きく減らせます。

施工した会社にとっては、竣工図が整理されていること自体が営業資産です。「あの会社は記録がしっかりしているから、修繕もリフォームも任せられる」という評価は、OB顧客からの追加受注につながります。10年前に引き渡した住宅の水回りリフォームの相談を受けたとき、竣工図を開きながらその場で概算の話ができる会社と、「まず現地を調べてから」としか言えない会社では、受注までの速さに大きな差がつきます。

法的手続き・売買・資産管理での必要性

竣工図は、次のような法的・商取引の場面でも求められます。

  • 定期報告: 建築基準法に基づく特定建築物の定期調査・検査では、建物の現況を示す図面が調査の基礎資料になる
  • 不動産売買・賃貸: 建物の現況を示す資料として、取引時の重要な判断材料になる
  • 災害時の対応: 被災後の安全確認や復旧工事で、構造・設備の現況把握に使われる

いずれの場面でも、「図面が現物と一致している」ことが前提です。竣工図の精度は、建物の資産価値の一部だと言ってよいでしょう。

竣工図の保存義務

竣工図の保存義務のポイント3点(元請は完成図を10年間保存、建築士事務所は設計図書を15年保存、実務上は建物がある限り保存)をまとめた図

竣工図は「あると便利な書類」ではなく、法令で保存が義務付けられている書類です。

建設業法上の保存期間

建設業法では、発注者から直接工事を請け負った建設業者(元請)に対し、作成した完成図(竣工図)を含む「営業に関する図書」を、目的物の引き渡しから10年間保存することを義務付けています(出典:建設業法施行規則)。営業に関する図書には、完成図のほか発注者との打合せ記録や施工体系図が含まれます。

また、設計・監理を行った建築士事務所には、建築士法に基づき設計図書等を15年間保存する義務があります。自社が元請なのか、設計事務所を兼ねているのかによって適用される義務が変わるため、自社の立場で必要な保存期間を整理しておきましょう。

保存義務の期間が過ぎても、建物は使われ続けます。修繕・リフォーム対応やOB顧客との関係を考えると、実務上は「建物が存在する限り保存する」つもりで管理するのが現実的です。

保存方法の選択肢

保存方法は、紙の原本保管と電子データ保管の2つに大別されます。

  • 紙媒体: 原本性は明確だが、保管スペースを取り、経年劣化・紛失・災害による滅失のリスクがある
  • 電子データ: 省スペースで検索しやすく、バックアップで滅失リスクを抑えられる。CADデータとPDFを併せて保存しておくと後の改修時に扱いやすい

現在はスキャンやCADデータでの電子保存が主流になりつつあります。電子化する場合は、ファイル名と保存場所のルールを決めて「どの工事の竣工図か」をすぐ特定できる状態にしておくことが、保存義務対応としても実務としても大切です。

たとえば「引渡年_工事名_図面種別_版数」のような命名規則を決めておくだけで、数年後の検索性が段違いになります。過去の紙図面についても、問い合わせの多い物件から順にスキャンしていけば、無理なく電子化を進められます。

竣工図の保存体制を整えても、工事ごとの原価や請求のデータが担当者のExcelに散らばったままでは、過去工事の問い合わせにすぐ答えられません。見積から発注・請求までの帳票と工事別の原価を一元管理し、工事台帳も自動で作成できるのが工事管理システムuconnectです(30日間無料・初期費用0円)。

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竣工図の管理方法

建設現場でタブレットに表示した図面を確認する作業員の手元の写真

保存義務を満たすだけなら倉庫に積んでおけば済みますが、それでは活用できません。「必要なときに、最新版が、すぐ出てくる」状態を作るのが竣工図管理のゴールです。

電子化・クラウド管理のメリット

竣工図をクラウド上で管理すると、次のようなメリットがあります。

  • 検索性: 工事名・年度・顧客名からすぐに図面へたどり着ける
  • 共有のしやすさ: 修繕の現場からスマートフォンで図面を確認でき、事務所に戻る手間がなくなる
  • 版管理: 改訂履歴を残せるため、「どれが最新版か分からない」事故を防げる
  • 災害対策: 事務所が被災しても図面データが失われない

紙の山から目当ての図面を探す時間は、積み重なると無視できません。過去の工事の問い合わせにその場で答えられる体制は、アフター対応の質を確実に引き上げます。

施工管理アプリ・図面管理ツールの活用

図面の電子管理には、汎用のクラウドストレージから、施工管理アプリの図面管理機能、図面専用の管理ツールまで選択肢があります。従業員数十名までの会社であれば、まずはクラウドストレージにフォルダ規則を決めて集約するだけでも効果は十分に出ます。

大事なのはツールの高機能さよりも、全工事の竣工図が1カ所に集まっていることです。担当者ごとに保存場所がバラバラという状態を解消することが、管理改善の第一歩になります。工事写真・検査記録・打合せ記録も同じ工事フォルダにまとめておくと、竣工図とセットで建物の履歴を追える状態になります。

もうひとつ意識したいのが、引き渡し後の更新です。自社で修繕や改修を請け負ったら、その内容も竣工図に反映しておきます。竣工図を「一度作って終わりの書類」ではなく「建物の現況を映し続ける台帳」として育てていくと、次の相談が来たときの対応力が上がっていきます。

竣工図に関するよくある質問

最後に、竣工図についてよく聞かれる質問に答えます。

竣工図と施工図の違いを一言でいうと?

施工図は「これから作るための図面」、竣工図は「作り終えた結果の図面」です。施工図は工事中の作業のために描かれ、竣工図は完成後の維持管理のために残されます。役割が違うので、施工図があるからといって竣工図を省略してよいことにはなりません。

竣工図は誰が作成するのですか?

一般的には、工事を請け負った施工者(元請)が作成します。施工中の変更を把握しているのは施工者だからです。設計変更の内容によっては設計者の確認を得ながら反映します。下請工事の範囲で発生した変更も元請に集約し、竣工図に反映される流れを作っておくことが大切です。

竣工図の作成に必要な情報は何ですか?

ベースとなる設計図・施工図に加えて、施工中の設計変更・現場変更の記録、設備や配管の最終的な埋設・隠蔽位置の情報、採用した建材・機器の仕様書が必要です。つまり、工事中の記録がそのまま竣工図の材料になります。記録が雑だと、竣工図作成の段階でいくら頑張っても正確なものは作れません。

竣工図を紛失してしまった場合はどうすればよいですか?

まず、施工した会社・設計事務所・管理会社など、関係者の控えを確認します。見つからない場合は、現地調査をもとに現況図を作成し直すことになりますが、隠蔽部の調査には相応の費用がかかります。自社が施工した建物について施主から問い合わせを受けるケースもあるため、自社控えの保存と管理はその意味でも重要です。

竣工図の作成は外注できますか?

CADオペレーターや図面作成の専門会社に、竣工図の清書・修正を外注することは可能です。ただし、外注できるのはあくまで「作図作業」であって、どこがどう変わったかという変更情報は施工者にしか分かりません。変更記録の整理と内容の確認は自社で行い、作図の手間だけを外注する、という切り分けで考えると失敗がありません。

図面とあわせて工事の記録を一元管理するには

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ここまで見てきたとおり、竣工図の管理で大事なのは「全工事の記録が1カ所に集まっていて、必要なときにすぐ出てくる」状態を作ることです。そして同じことは、図面だけでなく工事のお金の記録にも当てはまります。見積書・発注書・請求書・原価のデータが担当者ごとにバラバラだと、過去工事の照会にも、進行中の工事の採算確認にも時間がかかります。

そこで役立つのが、工事管理システム「uconnect(ユーコネクト)」です。工事ごとの売上と原価を一元管理し、竣工図とあわせて残したい「工事のお金の履歴」が日々の業務の中で自動的に整っていきます。

竣工図の管理と並行して整えやすい機能は、次のとおりです。

  • 工事台帳の自動作成: 工事ごとの受注金額・原価・粗利の記録が台帳として自動で整い、保存書類の管理が楽になる
  • 帳票の一元管理: 見積から発注・納品・請求・領収までの書類が工事単位でまとまり、過去工事の照会にすぐ答えられる
  • 工事別のリアルタイム粗利管理: 進行中の工事の採算をいつでも確認でき、赤字の兆候を早期に発見できる
  • 工事原価の自動集計: Excel転記の手間と入力ミスがなくなる

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自社の業務フローに合うかは、導入適合性チェック(自社の業務とのマッチ率を事前に判定できるサービス)で確認できます。竣工図の整理と同じ姿勢で工事のお金の記録も一元化したい方は、uconnect公式サイトをのぞいてみてください。

まとめ

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 竣工図は、施工中の変更をすべて反映した「完成した建物の実際の状態」を示す図面で、設計図(計画)・施工図(手順)とは役割が異なる
  • 竣工図の精度は施工中の変更記録で決まる。変更が起きた時点で図面に反映する運用と、チェックリストによる最終確認で反映漏れを防ぐ
  • 修繕・リフォーム・法的手続き・売買まで、引き渡し後の建物に関わるあらゆる場面で竣工図が判断の起点になる
  • 元請には建設業法に基づき完成図を含む「営業に関する図書」の10年保存義務がある。実務上は建物が存在する限り保存するつもりで管理する
  • 管理のゴールは「必要なときに最新版がすぐ出てくる」状態。まずは全工事の竣工図を1カ所に集約することから始める

竣工図の質は、工事中の記録の質そのものです。まずは進行中の現場で、変更記録の残し方と図面への反映ルールを見直すところから始めてみてください。

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